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虚飾性男子は恋すら喉を通らない  作者: 久栖ガマ
1章 それぞれの出発点
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引っかかり

入学式は(つつが)なく終了した。


そんな入学式の最中1つ気になったことがあった。どこからか視線を感じたのだ。俺は人の視線に少し敏感で、最初は気のせいかと思った。しかし絶え間なくそれを感じ、気になり当たりを見渡したところでその感覚が消失したことで、十中八九俺が見られていたのだろうと悟った。

この学校で面識のある人間は2人だ。曽我は自分の目の前に立っていた。じゃあ紅葉か?と思って振り返ると目が合い、控えめにだが手を振ってきた。そのときは気付かない振りをして前に向き直り思考を切った。


やはり紅葉が見ていただけかもしれないし、もしかしたら全く知らない人間が何かを思って見ていたのかもしれない。いやそもそも気のせいって線もまだあるだろう。まあこれ以上考えても答えはでないか。


今は目の前で話している先生の言葉に耳を傾けよう。


「そこに描いてある通りだ。この学校には食堂や売店などもある。館内図だけでも事足りるだろうが今日はホームルームが終われば後は帰るだけだ。学校を見て回るのもいいだろう」


俺含め生徒皆が目を落としているのは先程配られた冊子だ。そこまで分厚いというわけではないが館内図だけでなく様々な事が書かれている。


「あとは知ってる者もそうでない者もいるだろうが、この学校では皆部活に所属してもらうことになる。その冊子に活動している部の一覧も記載されているので、興味のある部活を確認し来週から始まる部活見学期間でいろいろ回ってみるといい。別に今日から回ってはだめとは言わないが、毎日活動しない部もあるし、見学に行っても練習などに追われて十分な説明を受けられるとは限らない。期間中であれば全ての部活が活動していて見学フリー、説明してくれる者も多いだろう。そこは各々で判断するといい。それとどの部に入るかは最長でも4月いっぱいで決めてもらう」


少し見渡してみたが、部活強制に驚いていた生徒は(こと)(ほか)少なく見えた。俺が情弱だっただけか。だが見学期間が設けられているのか。どこの部活に所属するかで大きく高校生活は変わるのはわかりきっているので、家に帰ってしっかりどんな部活があるか確認しておこう。


「何か質問はあるか?……ないな。とりあえず話は以上だ。まだ休日感覚が抜けていない者もいるかもしれないが、明日明後日の休みのうちに生活リズムを整えて、これからの学校生活に臨んでくれ。では今日はこれまでとする」


先生が退室していくと、曽我が話し掛けてくる。


「悠はあの女子と話してたとき、まだ入る部活決めてないって言ってたよな。柔道なんて興味ないか?」

「うーん柔道はいいかな。ってか今のところ文化部にしようと思ってる」

「そっかー。いやな、俺中学では柔道やってて先輩がこの学校でも柔道部にいるんだ。それでこの後見学に来てくれってことだったんだが。オッケー、じゃあ俺はこのまま見学に行くわ。また月曜にな!」

「ああ、じゃあな」


柔道か、ガタイがいいわけだ。

まあ俺の場合今日から部活見学に行く必要もないだろう。帰るか。


「悠~、一緒に帰ろ!」

「悪い、この後校内を見て回ろうかなって思ってた。先に帰ってていいよ」

「誰と見て回るの?」


あ、これミスった。


「一人で……」

「じゃあ一緒に見て回ろうよ~」

「オッケー……」


この流れだと、校内を見て回った後そのまま一緒に帰ることになるだろう。俺の咄嗟の機転は、より悪い結果を齎すことになったと悟った。


それにしても、高校に上がってから紅葉なんか積極的になってないか?中学の事件から一緒に登下校する仲ではなくなったのだが、この感じだとまた一緒に登校しようとか言い出しそうだ。まあこんな対応しているせいでもあるな。


「見て回るっていっても、食堂と売店に行こうとしてただけだから紅葉が他に行きたいところがなければそこだけかな」

「冊子に書いてあったけど、憩いの広場ってところ行ってみたい!」


あーなんか書いてあったな。


「わかった。じゃあその3か所回ってから帰るか」

「うん!」


そうして2人で教室をあとにする。

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