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SとMとK 

作者: 道 バター

サクッと読めます。

M「自分は妙に根暗だ。」


S「確かにそうだよね。でも、Kよりスキだった」


M「えっ、…そうなの?」


S「そうなの…実は、ね」


M「…じゃあ、今はどうなん?」


S「…。」


彼女(S)が無言で席から立ち上り、こちらに近づいてくる。


~~~~


自分が今も悔いていることは、

今思うと人生の中で一番好きな女がいた時の話だ。


私の好きな女を私の親友も好きだった知ったこと

彼は、勉強も、運動も私より得意だったこと

劣等感から彼女に告白しなかったこと

親友がその子と付き合ったこと

なんなら私が彼女を親友に紹介したこと


…。


自分には、一つだけすぐれたところがある。


それは、「バランス感覚」だ。


小さいときに自転車はすぐに乗れるようになったし、偏食しないし、電車の揺れでよろめいたことがない。


まあ、それくらいが自慢だ。


そんなバランスだけの私がなぜか、今

大学時代のマドンナと食事をし、奇妙な状況になっている。


なぜに?

なんで?

…なんでだっけ?


たしか…


小、中、高、大学、就職といつの間にか社会人になっていた。


そんな、いつもの休日。


私は、休みの日でも、


いつもの時間に起きて、

いつもの時間に朝メシをいただき、

いつものように手帳を開いた。


そして、今日の私の一日が動き出した。


今日は映画を見に行く日だ。


これは私の中で決まっている。


いつものかどを曲がって、

いつもの駅へ向かい、

いつもの映画館へ行く。


…はずだった。


だが、いつもは鳴らないベルが今日は鳴った。


携帯端末の画面を見るといつもかけてくるKだ。

元恋敵で、高校からの親友のKだ。


M「はい、もしもし」


K「今日、飲み行こ」


M「ああ、解った」


K「じゃあ、場所は連絡する」


M「了解」


今をもって親友のKとの通話は終了した。


今日はいつになく淡白だ。


これが親友のKだ。


さっぱりしている。

白ワインみたいである。


しばらくしてメッセージが来た。


手帳とセットで持ち歩いている赤い色のペンで今日の午後からの予定を書き込む。


完璧に組みあがっていた黒字の予定に赤色の文字が割り込んできた。


手帳を眺めて、自然と少し口角を上げた後に、意識して無表情に戻る。


その後はいつものサイクルにもどり映画と外食を楽しんだ。

ちなみに昼に外で食べたものは回る寿司だ。

…とりあえず味の濃さを考えて白身から食べた、美味い。


夕方になって、Kと会う。


そして、なぜか昼間に行ったチェーン店の寿司屋にまた来た。

…とりあえず味の濃さを考えて白身から食べたし、やっぱり美味いが…、私の皿たちはサイドメニューがメインを張っている。

そんな、昼よりは寿司ネタに対する新鮮な気持ちが薄い私にKが話し掛けてきた。


K「あいつと別れた」


M「えっ!?…そうなの?」


K「そうなの!!!」


M「悪い悪い…、悪いついでに聞くけど別れた原因は?」


K「…わかんねぇーよ!!…突然言われた…んッスよ。」


M「弱気になるなよ、Kくん。原因は君が仕事に打ち込み過ぎていたことかな?あまり考えたくないけど、Sに新しい男が出来たのかな?…どう思う?」


私の言葉を聞き、動揺している様子のKが答えた。


K「考えても、わかんねぇよ!!…取り敢えず、今は俺を慰めろ!親友!!」


M「ああ、わかったよ」


Kの良い所は本音で物を言うところだ。

そんなKの本音に付き合ってその日は遅くまで飲んだ。

Kと別れた後に携帯にメッセージが来ていたことに気が付いた。


そこには一言「お寿司食べたい」と書いていた。


とりあえずKではない人からだろう。


送り主はKの大学からの昨日までの彼女だった。

内容はメッセージの通りメシのお誘いだ。


彼女とはたまに会い、Kの愚痴と惚気話の両方をご提供頂く。


折角のお誘いなので乗ることにした。

その意思を小粋なしゃれでくるんで返事をだした。


「ケチ!!」


と一言と書かれた…


「ガリなら奢るよ」はお気に召さないようだ。


まあ、そうだろう。


で、翌日

いつもの寿司屋(二日で三回目の来店)で話の流れからこんな状況になっている。


彼女はSかMかに分類するならSだろう…


私の横に立ち、私の肩を手で掴み、こうつぶやいた。


S「あなたはどっちだと思うの?」


読み間違えた、彼女はドSだ。

彼女に触れられ、少しドギマギしながら答えた。


M「そうだね…大学からの希望を込めて脈ありで」


ちょっとだけ反撃した。


彼女は驚いた振りをした後に、微笑んだ。


ドS「えっ…て気付いてたけどね。待ってたのに」


その顔を見て、無駄な抵抗は止め、心の中で両手の平を彼女に向けながら腕を上げた。


M「ごめん。」


微笑みを崩さぬまま、彼女が私の肩から手を離す。


S「ホントにね。でも、5年越しの希望、叶えます。よろしく」


M「よろしくと言いたいけど…まあ、とりあえず座りなよ」


私の隣に座り、彼女は短く問いかける。


S「K?」


M「そう、Kのこと、なんで別れたの?理由は?」


彼女はなんでもないことのように答えた。


S「なんとなくかな…」


5年間の恋のラストはなんとなく…。


呆気に取られて、沈黙してしまったあとに、気になることを確認した。


M「…じゃあ、そのあとの恋もそうなるんッスか?」


私の言葉を聞き、笑いながら、彼女は私の方を見ずに軽い感じで答えた。


S「ふふっ、今のところは違う…」


M「笑うな!あと、『今のところは』はいらないから!」


S「だから、よろしく!」


彼女は私の顔を見つめ、店の長椅子についていた手をひっくり返して手も挙げずに手の平を見せて来た。


M「だから?まあ、よろしく。」


テーブルの下で彼女の小さい手に自分の手を重ね、少し握った。

そうしたら、彼女が凄い力で握り返してきた、少し痛いが少し嬉しい。


今から完全に食われてる気がする…


これからが心配だ。


たが、じめじめとした5年越しの思いが明けた気がした。


「K、すまない、私は自分の心を偽るのを止める」と親友に心の中で懺悔していると彼女はボソボソと何かを口にしている。


S「(小声で)本当は、好きな人と一緒にいるってことが一番いいって気付いたから」


M「えっ、なんか言った?」


S「なんでもない!!」


M「そう??そいえば、この店のシメの一品はなんにする?お姫様。」


姫「そうねぇ…、選んで?私が気にいったら、褒めてあげる。」


M「マジで。」


彼女は少しワガママになった気がする…。


まあ、それも悪くない。

面白いと思って頂けたら、嬉しいです。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。

作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかります(笑

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