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信長、悪魔を蹴散らし、サトシ大いに怒る

第一部


第7回


動物が人間に変化するねぇ、そんな事があったんだ。まあ俺的には害はないし、犬や猫なんかまだかわいいからいいんじゃないか。


(ふん、悪魔王か、好き放題しやがる)


全悪魔を率いる悪魔王とやら、俺はますます興味が湧いてきた。しかしいったいどんなバケモノか想像すら出来なかった。


(また休憩かい)


空を飛ぶと言うのはよほど疲れるのか、さっきから休憩ばかりで早い割りには対して進んでいないようだ。


それにここはいったいどこなんだろうか。いくら死後の戦国時代って言っても、地形はおなじはずだしな。


(もうすぐ先に街がある、そこで宿をとろう)


(ここはどこ、私は誰)


(いきなり記憶喪失か)


やかましい冗談に決まってるじゃないかと、ツッコミを入れたかったが、後々返しが面倒くさそうなので放置した。ユーモアがない。


(だいたい分かるだろう、大阪から北西の方角だ。まだ琵琶湖は越えてないんだぜ)


(もうすぐ京都ですか)


てことはやっぱり生前の日本と地形は同じなんだな。しかし見たことも無い建物ばかりや風景で不思議な気持ち。


ここは異世界じゃないし、と言って、そのまま過去にワープしたわけでもないし、まるで夢のような世界。まあいいや、さっさと悪魔王を倒して麗しの姫様と結ばれるだけさ。


また始まったよ妄想王。本当にこの男が救世主とはね。馬男は飛ぶ事に集中しているのか、黙ったままだった。


(ここが京都かぁ、ちょっとショックだな)


(どないした)


(これが本当に京都の景色?街が荒廃している)


イメージダウンだ。京都と言うからにはもっと都会的で綺麗な街並みと期待していたが、これはまるで大型で強い台風が通過したようだ。街がめちゃくちゃだ。


(台風にしてはひどいし、火事の焼け跡もあるからまるで焼き討ちの後みたいだ)


(ああそうさ。こないだまで戦があったからな)



(やっぱり。台風にしてはひどいと思ったけどいくさってなんですか、何があったんですか)


(悪魔だよ。悪魔がこの街に攻めて来たんだ)


(負けたんですか)


俺も鼻息が荒くなった。人間と悪魔の戦いだなんて、いつかどこかで目の当たりにすると思うが、冷静に聞く事は出来なかった。きっと何人もの命が。


(これだけの街だ。自警団を組織していたんだがな。普通の人間が悪魔に勝てるわけない)


(まさか全滅ですか)


(いや、あの男を見るなり逃げて行ったよ。おかげで死者は出なかった)


(織田信長ですか)


(俺のセリフ言うなぁー)


間髪を入れずに即答だ。相変わらずこの馬男のツッコミは切れがある。


しかし俺は漫才やるつもりはない。なんだか疲れたので適当に話を切り上げた。信長の武勇伝なんてどうでもいい。それより早く宿を探す事にした。


こんな街並みだ、そもそも宿があるかどうかも分からない、今はもう夕方だ。早く宿を探さないと夜になっちまう。


一番効率の良い方法は誰かに聞けば早い。これだけの大きな街になのに、なぜか俺の視界には誰も写っていなかった。


(みんな食われたのか、誰もいないよ。隠れてないでみんな出てらっしゃーい)


俺は冗談のつもりで言ってみたが、その冗談がまさか本当にあったなんて。


(そうだな、特に力の弱い者は悪魔たちに連れて行かれたよ)


(なんだってそんな、バカな)


俺は今まで悪魔なんてただの空想の生物だと半分冗談で聞いていたが、まさかあいつらここまでやるとは、怒りが込み上げる。


(まさか女、子供や老人も?)


馬男は目を伏せた。ただ黙ってうなずいた。

この先はもう聞くまでもない。サトシはここに来て初めて怒りと言う感情を抑える事が出来なかった。


(さっき死者は出ていないって)


(それは信長がいた時の話だ。信長が来る前、ここの住民たちは悪魔たち連れて行かれたんだ)


(人間狩りか悪魔ども、許さない。皆殺しだ)


俺は弱い者が一方的にやられちまうのはどうも納得出来ない。不条理だ、許さない。考えれば考えるほど、怒りの感情が高ぶっていく。それはまるで生前の一方的にパワハラを受けていたような気持ちだった。俺はいつの間にか無意識にその感情が重なっていた。


そういえば信長の顔も、職場の上司に似ていたしな。どうやらこの世界は現世と無関係ではないようだ。


近くで女の悲鳴が聞こえた。

二人、顔を見合わせる。


(あっちだ)


馬男に従って後をついて行く。当然速い。

しかし走りながら俺は悲鳴の事より別の事を考えていた。


この街に着いてどうも気になる事がある。


確かに馬男さんよ、旅客業の仕事となると道にも詳しくなるし、いろんな噂話しも耳にするだろうがな、あんたやけに詳しいな。まるでそこにいた当事者のように。


(なんでこんなに詳しいんだ)


分からなければ、直接聞けばいい。

俺は馬男にある事を尋ねた。

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