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第7話 オークの悲劇(残酷なので注意)

「知者さん、次は何と戦えばいい?」


『それでは、人型専用スキルを充実させるためにオークなどは如何でしょうか。オークならばゴブリンと違い最低限の住居の建築、鍛冶、裁縫などのスキルだけでなく、防御力も低俗モンスターながら比較的高くステータスの防御力の上昇加算にも期待できます。』


まぁ、建築や鍛冶、裁縫なんかはいらないけど。

ああいう仕事は魔王の仕事じゃないから。

まぁ、気分が向いたら趣味程度に何かやるのもいいかもね。


「まぁ、今回も手っ取り早く“ダンジョン魔法“ゴブリン召喚、ランダム×10000」


前回のゴブリンの時は、様子見と実験を兼ねて1000匹だったが、今回はステータス向上のために10000匹を用意した。

これだけあれば、これだけ殺せれば私の心も多少は満たされるだろう。

あぁ、楽しみだ。


「ブヒィ、ブヒブヒブフィ」


突然、召喚したオークの中でひときわ強そうなオークが私の前に跪く。

オークというのは、思っていたよりも猪よりだ。

茶色く硬そうな体毛に覆われ指輪物語のオークとは全くの別物だ。

まぁ、どうせ殺してしまうので、どうでもいいことだが。


それにしても、このオークはなぜ私の前で跪き汚い鳴き声を上げているのだろうか。

汚らわしい。

下等なオーク風情が騎士にでもなったつもりか。

本当に愚かしい。


『このオークは、「我らの王よ。あなたに絶対と永遠の忠誠を誓います。」と言っています』


へぇ、そうなのか。

それは、それは……


「“ダンジョン魔法“命令、跪いて動くな」


“ダンジョン魔法”命令により、オークたちは一斉に跪き動けなくなる。


「ブヒィ!ブヒブヒ!」


下等なオークが何か喚いているが、アリシアは次いで魔法句を唱える。


「“ダンジョン魔法“命令、何もしゃべるな、喚くな」


次いで唱えた“ダンジョン魔法”命令により、うるさかった動揺するような鳴き声も聞こえなくなり、一部のオークが身に着けているフルプレートアーマーがガチャガチャと耳障りに聞こえるだけである。


こうして、ゆっくりと10000匹のオークを見ると、ゴブリンと同様に多種多様なオークが見られる。

幼いオーク、女性のような服を着たオーク、男性のようなオーク、騎士のようなオーク、戦士のようなオーク、文官のようなオーク、王のようなオーク。

ゴブリンの時は、原始的な狩猟民族であるように見えたが、オークは軍隊と民など一つの国や都市を築けるように見える。


さて、まずは何からするべきか。

そういえば、オークは見た目、二足歩行の猪である。

ならば、食べられるのではないだろうか。

試す価値はあるだろうか?

この世界にきて一度も食事を取っていない。

ダンジョンコアであるダンジョン生命体であるため食事の必要がない。

だが、嗜好品としてならば食べられる。

少し味見をするのも悪くはないな。


それでは、どのオークを食べようか。

雄の豚は去勢しないと雄臭いと聞く。

ならば雄のオークも美味しくはないだろう。

ならば、ここは雌のオークに絞るべきだ。

子牛の肉や子豚の肉、羊の肉は柔らかいと聞く。

ならば、ここは雌の子供のオークを食べるべきだろう。


だが、どれが雌の子供か見分けがつかない。

鑑定40を使って一匹ずつ確認するのは面倒だ。

ならば、ここは知者さんの出番だろう。


「知者さん、この中に雌の子供のオークている?

 いれば、場所を教えてほしいんだけど。」


『雌の子供のオークは、あちらの白い布を被った雌オークの隣の幼生体です。』


知者さんに言われたオークを引きずり開けた場所へと連行していく。

さて、どう調理したものか。


『丸焼きがよろしいかと思われます。その方が贅沢感があってよろしいかと』


なるほど、さすが知者さんだ。

でも、いきたまま丸焼きにするのか?


『いえ、生きたまま丸焼きにすると体内に血が残り、血なまぐささの原因となりますので、頸動脈を切断し、血抜きをしたほうが良いと思われます。』


なるほど。

では、さっそく雌の子供のオークの頭を掴み、首にミスリルソードを当てて、他のオークたちによく見えるようにしながら、一気に頸動脈を切り裂く。


これで、しばらくすれば食べられるはずだ。

それよりも、調理の準備をしなければ。

薪は火魔法があるからいらない。

必要なのは鉄の棒や棒を支える支柱などの丸焼きセットと包丁くらいだろう。

あぁ、あと調味料も欲しいか。


「“創造魔法”丸焼きセット、塩胡椒、ミスリルの包丁」


“創造魔法”を使用すると丸焼きセットが自動でセットされ、瓶入りの塩胡椒が私の右手の上に生成され、左手にミスリルの包丁が生成される。

---------------------------------------------------------------------------------------

『血抜きも終わりましたので、洗浄し内臓を取り出し皮を剥ぎ肉に鉄の棒を刺して火で焼いてください。』


やはり知者さんは、便利な異能だ。

血抜きの終わり時間まで正確に教えてくれる。


私は、知者さんに言われた通り、“水魔法“ウォーターボールで表面を洗浄し、ミスリルの包丁で腹を裂き内臓を取り出す。


ここまでは、何とかなったが包丁で皮って剥げるのかな?


『それでしたら問題ありません。オークの中に解体スキル持ちがいます。なので、そのオークに皮を剥がさせましょう』


オークに同族の子供の皮を剥がさせるのか。

知者さんもだんだん私の好みがわかってきたじゃないか。


『いえいえ、それほどでもありません。ちなみに解体スキル持ちは、あの前列の少し痩せたオークです。』


なるほど、では。


「“ダンジョン魔法”命令、そこのオークこっちにきて、この肉の皮を剥げ」


“ダンジョン魔法“により、オークに強制的に肉の皮を剥がせる。

その、オークの目は憎しみに染まり、アリシアを睨みつける。


「なんだ、この生意気なオークは、死ね」


アリシアは、オークにそう告げると、ミスリルソードで一振りに首を跳ねる。


『この雄オークの憎しみの目は、自分の娘を殺されたためであると考えられます。』


なるほど、この肉の父親ということか。

では、もったいないことをしたな。

もう少し、いたぶってやってもよかったのかもしれない。


『マスター、そろそろ肉を焼いては如何でしょうか?』


それも、そうだな。

肉に鉄の棒を刺し丸焼きの準備をする。

それから“火魔法”ファイアを使い、肉を焼く。


-------------------------------------------------------------------------------------

あれから、どれだけ時間がかかったのだろうか。

肉の丸焼きがこれほど時間のかかるものだとは思わなかった。


『丁度いい焼き加減ですよマスター』


それでは、さっそく食べてみよう。

ミスリルの包丁で肉を削ぐ。

少し、どんな味がするのか楽しみである。


「あむ………もぐもぐ…これって?」


『はい、野性味のある豚肉ですね。塩胡椒のかかった』


つまらない。

期待した私がバカだった。

だが、この肉にもまだ使い道はある。

憎しみのこもった目で見つめているオークどもに食わせるのだ。


「“ダンジョン魔法”命令、そこのオークキング、この肉を食え」


オークキングは憎しみのこもった目でアリシアを睨みつけるが、命令には逆らえず肉を口にする。


悲しさ、苦しみ、屈辱、様々な感情がオークキングの脳裏で入り乱れ、彼は涙する。

吐き出したいのに吐き出せない。

飲み込みたくないのに、飲み込んでしまう。

“ダンジョン魔法“命令には逆らえないのだ。


「そうか。そんなにうまかったか。泣くほどに。あはぁ……ふふふふ」


アリシアは愉悦に美し顔を歪ませる。


オークキングたちの運命は決まっていたのだ、アリシアに召喚されてしまった時から。


このあとオークたちは“ダンジョン魔法“命令により共食いをさせられ、最後に残ったオークキングには自害をさせた。


なんとも脆いものだ命など。

結局は誰かに消費されて最後は無価値に死ぬ。

その点、今回のオークたちは幸せだろう。

なぜならば最後に私の糧となれたのだから。

人生に意味を見出せたのだから。

これほどの喜びはないだろう。

私はこれからも多くの人に幸せを届けるのだ。

死とともに。


次回は落ち着いた内容になります。

たぶん………

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