第1話 異世界転生
それは突然だった。
何事もない平和で退屈で無価値な毎日をただ消費するクズの人生だった。
そして老衰で死ぬその時まで無価値でいるはずだったのだ。
「なのになぜだ..............
なぜなんだ。私は無価値かも知れないが、それで満足していたのに..............」
私は無価値で退屈な日常を過ごしていた。ただそれだけだったのに。今は、この何もない真っ暗闇の中に一人だ。なぜ、ここに閉じ込められたのかもわからない。どうしょうもないくらいにわからないのだ。
「空気は大丈夫なのだろうか、手を当ててもただの冷たい石壁だ。」
『大丈夫ですよマスター』
「なんだ、この頭の中から聞こえるような声は?」
頭の中から謎の声が聞こえる。
これは幻聴か。
暗闇に閉じ込められて頭でもおかしくなったのだろうか。
黒髪を毟るようにかき乱す××××。
『落ち着いてくださいマスター。これは幻聴ではなく正常です。』
透き通った鈴の音のような声が××××の頭の中に響き渡る。
「お前は誰だ、ここはどこなんだ、だれが私をここに閉じ込めたんだ!」
××××は取り乱したように長い黒髪をかき乱すように頭を振り乱し困惑する。
『私はマスターの異能 “知者”です。そして、ここは、この世界はマスターからすれば所謂、異世界にあたる世界になります。そしてマスターは誰かにここに閉じ込められたのではなく、この岩に閉ざされた暗闇に転生したのです。』
「転生だと..............
だが私は死んだ記憶がないぞ」
黒髪の女性××××は顎に手を当てて考え込む。
『覚えていないのは死の瞬間を覚えてしまっていると心や身体に悪影響が出てしまうため、脳が自己防衛のために忘却したものと思われます』
「そうかならばしょうがないな。で、ここが異世界ならば私はステータスやチートなんかも持っているのか?」
『はい、ステータスを確認するためにはステータスオープンと唱えてください』
黒髪の女性××××は右手を前に突き出し、ステータス句を唱える。
「ステータスオープン」
彼女がステータスオープンと唱えると、暗闇の中に黒を基調とした禍々しいデザインのステータスが投影される。
名前:未登録です。
年齢:20歳
性別:女性
種族:ダンジョン生命体
職業:ダンジョンマスター
異能:強奪、能力統合進化、知者
ダンジョンスキル:ダンジョン創造、ダンジョン操作
スキル:剣術10、槍術1、鑑定10、性技15、絶倫40、淫獣60
魔法:創造魔法、ダンジョン魔法
「ねぇ知者さん」
『何でしょうか淫獣様、あっ間違いましたマスター』
「..............いや、それは神の悪戯みたいなものだから」
私は決して淫獣などではない。
こころ覚えなどない..............
『一日にマスターベーションで絶頂100回という大記録を達成しているならば当然のスキルかと』
なぜ、それをこの“知者”は知っているのだろうか。
もしかすると、このスキルは私の頭の中からも知識を得ているのかもしれない。
「それよりも、この能力はチートかな?」
『はい、チートです』
拝啓、皆様
私は異世界でもやって行けそうです。