半戦国 半現代 半白髪④ 急展開
若者と中高年の間で火花が散り、いまにも一騒動起きそうになる。
そこで、幹部側の席で眠そうにしていた肥満男が面倒くさそうに切り出した。
「どうも双方の主張が食い違って要領を得ない。こうなれば、はっきり決着がつく形で城主を決定する」
全武将が不審さに駆られながら主席に目を向ける。
「諸君らには、我がG試作品のテストを兼ねて、合戦をやってもらう」
〝合戦〟という言葉を聞いて、各武将は様々な反応を示した。驚く者がいる一方で、場所が場所なだけに、ある程度予測していたのか冷静な者もいる。
再対決は当然だろうとふんぞり返る中高年たちに対し、またも賞金も結果もうやむやにされた、というイラ立ちと落胆を覚えた顔を春一郎が一応つくる。以前も、主席に座る男が一方的に普請対決の強制終了と城代対決を決定したのだが、その時と同様に肥満男が続ける。
「合戦と言っても、むろん、命のやりとりをするわけではない。だが、遊び気分でやられても困る。そのため、ある程度のリスクは負ってもらう」
リスクの度合いを測りかねて、武将たちの間に疑念が渦巻く。その説明については追々知らせる、と言って肥満男が続ける。
「ここにいる全武将は現在、年長者と若手でほぼ七対三に分かれている。そこでその現状に適した形で、戦国期に実際に行われた、ある合戦をモデルとして戦ってもらう。試作品とその合戦の都合上、勢力はきっちり対等とはならず、兵力と兵科もこちらが決定する」
不穏な気配を感じ、微かながら思わず春一郎が眉間にシワを刻む。
「双方は死力を尽くして戦い、そして勝った側の戦功第一人者が城主となる。果たしてその戦いとは――」
肥満男が間を開けもったいつける。
「ナガシノの戦いだ!」
それを聞いた途端、春一郎は顔を曇らせ、ややあって中高年たちは顔を明るくした。半白髪の若者へ、あからさまに得意げな顔を見せる者もいる。
長篠の戦いといえば、三〇〇〇挺の鉄砲を擁した織田・徳川連合軍三八〇〇〇が、戦国最強と謳われた騎馬隊ともども、一五〇〇〇の武田軍を撃破したといわれる戦いである。
それとまったく兵力が同等なのかは、現段階では不明なところだ。だが、「現状の武将の割れ方に適した形で合戦が行われ、勢力は対等とはならず、兵力と兵科も決定される」ということは、現時点においてすでに徒党を組む中高年たちより、少数派の春一郎たち若い世代の方が圧倒的に不利になる可能性が高い。
つい先刻までとは打って変わり、春一郎の胸中に疑念のような怒りが湧き起こる。そして彼は幹部席で満足げな顔を浮かべる肥満男を睨みつけていた。