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3-3 同志として


 西側のバルコニーで、クレオはひとりたたずんでいた。海を染める夕日が格別だとジャン=ポールが言っていたが、彼女にはその意味が、今、わかったような気がした。



 ―― 独り……。






 クレオの心は傷ついていた ―― それは、他人の手による真っ赤な線が、毛細血管のようにいくえにも枝分かれして、彼女の心臓を柔らかく侵食していくような感覚 ―― 拒否反応を示しながらも、それは抗うことのできない感覚だった。

 バルコニーのうえの蛙手(カエデ)の葉は、紅葉を始めていた。葉先から侵食されて……、全体が鮮やかに染まると、役目を終えたそれは手首からもがれ、地面へ落ちる。二度と、若返りはしない。

 恐ろしいのは、その抗いがたい力がなんとも穏やかで柔らかいことだ。デリケートで美しく、包みこむような侵食は、それに抵抗し傷つけることをためらわせる。

 あるいは、彼がカルメンのような男だったなら、クレオは同等の意識をもって付き合えたのではないだろうか。かつて、彼女が可愛がっていた不良少年たちへしたように、いざとなれば、彼に拳をあげることもできたかもしれない。

 しかし、彼の優しさはどうしたって彼女のうえをいく。彼のもたらす安心感に、彼女は抗うことができない ―― ジュリアンを、傷つけることはできない ――。

 クレオは同志がほしかった。




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