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遠方と交通事情を考慮にいれ、山盛教授は集合時間を少し遅らせたのだ。教授の送迎は、もちろん講師の但馬で、保と後藤は各々が別々に行くことになっていた。この日の保は首都高速→東名高速と、上を走ることにした。平日だから渋滞の心配も稀少と思えたし、高速代金は研究室の後払いが認められていたため。不慣れな一般道を走る必要はなかったのである。
保が大磯の別荘へ到着したとき、すでに但馬の車は来ていて、別荘前に教授と但馬の姿はあった。
「おう! 岸田君、来たね」
「後藤は、まだですね?」
保が二人に近づきながら言った。
「ああ。彼も、おっつけ来るだろう」
但馬が教授の口調を真似、少し偉ぶって言った。
その夜の保は寝つけなかった。馴れない潮騒のせいもあったが、それ以上に明日の最終飛行実験が脳裡を過ぎったからである。山盛教授は一人、砂浜に運ばれた飛行車を感慨深く眺めていた。夜とはいえ新月ではなかったから、月明かりが飛行車を照らしその輪郭を鮮明にしていた。
「なんだ、教授もおられましたか…」
「…ああ、岸田君か。ははは…、どうも寝つけなくてね」
「いや、実は俺もなんですよ。他の者と違い、乗るのは自分ですからね。海へ垂直にジャバッ! は戴けません」




