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「えっ! 里彩ちゃんからか…。それで?」

『ええ…』

「いやあ、お嬢さん。またお会いしましたなあ~、はっはっはっはっはっ…」

 長左衛門は、さすがの怪獣で、人混みの中、豪快に笑った。何が可笑おかしいんだろうと、通行する皆の視線が一斉に長左衛門に注がれた。保は苦笑いした。他を威圧する威風堂々の和服姿、紋付ではないものの、着物に羽織袴はかま、帯に扇子差し、雪駄に白足袋、そしてステッキを携えて立つ姿である。外見は、明らかに都会と隔離された別世界の人に違いなかった。

「沙耶、じいちゃんは研究室で挨拶だけして帰るそうだ」

「ははは、帰りはしませんがな。友人宅で泊めてもらうんじゃ」

「あっ! そうだった。同窓会だったね」

「…まあ、そんなもんじゃな。ニ寮会です」

『そうでしたか。なんだ、襲われたんじゃなかったのね?』

「襲われた? …これは異なことを申される」

「沙耶!」

 保は沙耶をたしなめた。

『す、すみません!』

 沙耶は慌てて謝った。

『いや、いいんですぞ。いずれは親戚づきあいをすることもござろうてのう。ホッホッホッホッ…』

 長左衛門はふたたび声高に笑った。通行人など、まったく意に介していなかった。

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