中隊長による精神教育の時間
中隊長たる私は、各小隊ごとに精神教育を実施するのだが
「気をつけ」
「中隊長に敬礼」
「頭、なか」
「直れ」
「おはよう」
「おはようございます」
「昨日から各小隊長以下諸君と面談し、お互いについて理解し合う第一歩を踏み出すことができた。今後、各員が小隊長の指揮、小隊陸曹の補佐のもと団結し、しっかりと任務遂行できる態勢を早期に構築できることを期待する。
そのため、今日はこの後、第1小隊は駐屯地講堂にて精神教育を行う。
内容は、まず我が中隊の目的、そして目指すべき目標についての説明、さらに各小隊ごとに付与されるテーマについての説明である。
これらのテーマの達成度合いや中隊目標への貢献度合いなどは、小隊全体としての評価につながるのでしっかり聞いて理解してもらいたい。
なお、本日は時間や講堂のスペースなどから第1小隊のみであるが、後日、第2、第3の各小隊についても行う予定であるのでこの点は各自了解されたい。では詳細等は先任より。
「気をつけ」
「中隊長に敬礼、頭、 中!
「直れ」
「では1小隊は講堂に前進、2及び3小隊は各小隊ごとに課業実施、別れ」
「別れます」
駐屯地講堂はPXと建家を同じくしており、PXの2階が講堂とされている。
ここにパソコンやプロジェクターを持ち込んで、1時間くらいの教育である。
やれやれ(^_^;)であります。
「では始めようか」
「我が中隊はこの通り、旧豊中駐屯地跡地を活用、再度開かれた豊中駐屯地に所在する、陸上自衛隊いや、自衛隊どころか世界初の人、犬猫、うさぎの混成部隊である。
目的はこのような部隊をどのように運用したら良いかを検証し経験を蓄積していくところにある。
目標はまず短期目標として編成完結。次は中隊検閲である。
最終的には第一線部隊の、各種戦闘職種の任務遂行を強力にバックアップできるようになることである。
現代は鉄砲を持った田舎者の数で戦争ができる時代ではない。また戦争が始まってから兵隊を集めてできる時代でもない。
つまりこの平和な今こそ、いざと言う時の備えが必要である。
特に今の日本は軍備の体系は、空は防空、海は対潜、対機雷戦、そして我が陸上は自国領域の防衛、特に危険性の高いとされた北海道方面に重点をおいて整備されてきた。
これ以外は、アメリカとの日米安保条約により補完するとされてきた。
このような体系で作られた故に、比較的軽い軍備ですんできたが近年はお隣の「四つ足ならば机以外は食材にする」国が連日領海を犯したり、我が国のEEZ内に自国のミサイルを撃ち込む国がいたりと、新たな脅威が生じたことが、我が自衛隊の在り方に大きな影響を与えたのである。
自衛隊(同じく領海を守る海上保安庁も)は仕事が増えてはいるもののなかなか量的な面の拡大は困難である(高齢化から社会保障費用の必要性の増加などからも)
つまり限られた兵力で、増える任務、増える業務内容に対応しなければならないのである。
非武装中立(>_<)や某国による領海侵犯などに目をつぶるような、変な理屈を振りかざす方々すらも、災害やその他有事の際も守るのが仕事の自衛隊なんである。
この困難な状態を少しでも改善する方策の一つが我らが臨時
混成訓練中隊の編成である。
先に発表されている「3原則」通り、我が中隊とその関連する部隊は第一線には投入されない。これは軍事的観点から言えば費用対効果の問題からでもある。諸君らの扱うロボットスーツと諸君らに与えられた訓練の手間やらはたかが100円位の弾の危険にさらすのは、余りにもコストパフォーマンスが低いのである。
そんなことより諸君らのもつ特徴ある能力を後方支援で十二分に発揮してもらうのが一番である。
それが諸君に今まで与えられてきた支援に報いる最上の方策である。
この後、それぞれが任務を解かれる日がいつか必ず来る。
そのときは、ちょっと狭いけど落ち着ける自分のケージに戻り、今まで大事にご飯やおやつをくれたり、一緒に「うさんぽ」に行った人たちと日々を共有する生活に戻って欲しい。
中隊長として一番望むのはその事である。
お互い生き物である。
体調の不良、病気などあればすぐ申告し無理すること無いように。
特にこの小隊はうさぎさん小隊である故に、メンタル面には特に注意はしているが、職務に影響のありそうな場合は早目早目の対応をしたい。
なお必要以上に他の小隊と張り合う必要もないが、他の小隊にはない「うさぎさん」らしさは忘れず頑張って欲しい。
各小隊の個性を生かして、中隊の任務を果たすことを忘れずにいて欲しい。
以上だ。
あーどの子も、可愛いから絶対怪我や病気させたくない!
気合いが入る中隊長であります