お前ら!もう勝手にしろよ!
よくある婚約破棄ものです。
砂糖吐き注意です。
それでは、お花畑劇場のはじまりはじまり~
大学四年生のある日、三年前に家業の繋がりで婚約者としてあてがわれた男に呼び出された私は、指定されたれた研究室に秘書の中山と一緒に入って行った。
すると、扉が閉まった瞬間に、「薫子。お前との婚約を破棄させてくれ」と言われて、面食らった。
奴の隣には、庇護欲をそそられる小柄で童顔な女がいた。
ああ、今年入学して来た「天使」とか言って騒がれてた女か。と心の中で呟く。
「お前には悪いが、俺は彼女を愛してしまった。彼女は俺がいないと駄目なんだ。お前は強いから独りででも生きていけるだろう?」
奴はちっとも悪いとは思ってない顔をして言った。
うわっ、キモッ。自分に酔ってやがる。「どうだ! 言ってやったぞ!」って感じが凄くムカつく。
ボッコボコに殴ってやりたい衝動を抑えようと、無表情の仮面を被るように必死に頑張った。
するとそこへ、新たな第三者が扉を開けて割り込んで来た。
「薫子さんは強いんじゃない。無理して強がってるだけだ」
はぁ? いきなり現れて、何言ってんだこいつ。という思いを隠し、なんとか困った表情を纏った。
「駿、お前は薫子さんのことを何も理解ってない!」
闖入してきた男は、奴の胸ぐらを掴んで言った。
いやいや、お前こそ私の何を理解っているんだ! との思いも隠して、成り行きを見守った。
「やめて下さい! 私が悪いんです! 駿先輩のことを好きになってしまったから、だから……」
彼女が上目遣いに潤んだ瞳をして闖入者を見た。
彼女を見た男は、怯んで掴んでいた手を離した。
天使の威力半端ない! 変に感動していた私は、次の彼女の口撃で観客席から一気に舞台上へと引き戻された。
「薫子先輩! ごめんなさい! 私は駿先輩がいないと駄目なんです! どうか許してください! お願いします!」
「優紀!」
奴は胸いっぱいという顔をして、彼女を抱き寄せた。
白けた顔で二人を見ていた私は、「うざい。勝手にやってろ!」と言って、早くこの場を立ち去りたかったが、その言葉も心の中に押しこめた。
すでに二人の世界に旅立っている奴らから視線を闖入者の方へ向けると、そいつが私のことを心配そうに見ていたので、仕方なくこの場を収めるために口を開いた。
「はぁ、私を見てくれない男も、私を暴こうとする男も、どちらもお断りだわ。ただ私にそっと寄り添ってくれる中山さえいてくれたら、それでいいのよ」
私は、奴、闖入者、彼の順に顔を向けた。
「えっ!?」
「はっ!?」
「なっ!?」
「薫子様!?」
皆が驚いた顔をして私を見た。
早くこの茶番を終わらせるのよ! との思いを込めて、彼にアイコンタクトを送った。
「薫子様、私もあなたさえいてくれたらそれだけで幸せです」
彼はうっとりとした顔をして私に言った。
さすが彼! 私のことをよく理解っている! それに、なかなかの演技力だわ。
そう思って見つめていると彼に抱き締められた。
あっ、なんか落ち着く。それにしても、彼の心音が早いような? これは、緊張? それとも……って、何、期待してるの! 私ってば! でも、彼となら……。
上目遣いに彼を見ると彼の顔が赤くなった。
「薫子様、そんな目で見ないで下さい」
彼が私の耳元で囁く。
途端に私の顔も火照ってきた。
その様子を見ていた闖入者が、「お前ら! もう勝手にしろよ!」と叫び、怒りの形相で去って行った。
その後、私は無事に婚約破棄し、秘書の彼と甘い日々を過ごしている。
拙い文章をお読み下さり、有難うございます。
婚約破棄ものを読んでたら、書きたくなって書いてしまいました。
恋は盲目といいますが、部外者にしてみたら本当に迷惑ですよね。まぁこの話の闖入者は、好きで首を突っ込んだので自業自得ですが。
ただ、これだけ恋愛に情熱を燃やせるのは純粋に凄いなぁと思ってしまいました。