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誤字転生者黙示録  作者: 冒涜的な番人
少年期
2/5

初戦闘と初出会い

区切って書くと、意外と短くなってしまいますね。

服がなかなか乾かなかったので、木箱から服を拝借した。


『刻遠竜のローブ:ランクA+

 時空竜序列第三位:刻遠竜の翼膜から作られたローブ。製作者はアーカム。隠居後に作成。エンチャントは『オールシフトⅡ』『加速戦闘Ⅲ』『時間耐性Ⅱ』』


…ぶかぶかで、腕が通らない。

当たり前だ、大人の服を子供が着てるんだから。


さて、小屋の探索でいくつかわかったことと、目的ができた。

わかったことからいこう。


一つ、この世界は魔法、ポーションなどの物的証拠からファンタジー世界だ。しかし、異世界の影響も少なからず受けてるらしい。

二つ、俺は魔法を覚えることはできる。特に時空魔法:異空間収納は便利だ。イメージはアイテムボックスだ。魔法だから、無償では使えないが。今は50kgまで入りそうだ。

三つ、ここに住んでいたアーカムさんは、億単位で懸賞金がかかる何かをやらかした人物。その人物に関わってしまった。


次に目的だ。


一つ、アーカムさんから預かった遺書を『エミリー・エルティシエ』に渡す。そのためにはハイエルフを探す必要がある。

二つ、記憶を取り戻す。もとい、自分の過去にまつわる物を探す。これに関しては、望み薄だ。

三つ、食料、水の確保。かつ、この洞窟から出る道の探索。

あと、おまけで、ペイルライダーとイーグルの作成だ。


大まかにはこんな感じか。

まだ起きて一日も経ってないのに、波瀾万丈だな。

何度か死にかけてるが。

次は装備、持ち物の確認だ。


武器:ミスリルナイフ

服:ジーパンとパーカー(今は刻遠竜のローブ)

道具:解析虫眼鏡

   回復ポーション

   謎生物のシリンダー

異空間

・回復ポーション×2

・マナポーション×3

・EXPポーション×2

・幸福薬×1

・刻遠竜の長杖×1

・炎魔法の秘伝書

・水魔法の秘伝書

・ペイルライダー設計図×3

・イーグル設計図×2

・その他の設計図×20

・ネクロノミコン

・魔石-魔法-魔物大図鑑

・錬金術入門書

・死霊術入門書

・ヤバいポーション×3

・食料&パン

・エミリーへの遺書


こんなところだ。

合計45kg。

結構ギリギリだ。


前々から気になっていたEXPポーションを使おうと思う。


『EXPポーション

 特殊な魔素を一定量ずつ合成して作られるポーション。使用者の最大魔素を高める効果がある。』


「中身が緑色だけど、大丈夫だよな?」


ゴクゴク


一本目を飲み干す。少し苦味を感じるが、基本的にはライムとレモン味のようだ。そのまま二本目も飲み干す。


ゴクゴク


「ふぅ。まともに水飲んでなかったから、美味しく感じるなー。」


直後、体の内部に変化が。

体の芯が熱い。瞼が重い。眠い。

俺は、その場の床で倒れるように眠り込んだ。


--------------------


目を覚ます。

場所が地底湖のため、現在時刻がわからない。

だが、結構な時間を寝てた気がする。

よし、今日も活動開始だ。


まずは腹ごしらえ。

干し肉5切れと、黒パン1/6斤だ。

う~ん。上にチーズがあるとなお良し!

水がないので、口のなかパサパサである。

早く水を手に入れないと。


今日は周囲探索だ。

前回のようヘマをしないようにしないと。

着ていた刻遠竜のローブから、パーカーとジーパンにかえる。

こっちの服の方がしっくりくる。サイズ的に。

刻遠竜のローブを異空間に収納する。

驚いた事に150kgまで収納可能になっていた。

EXPポーションにより、最大保有魔素が三倍近く上昇したらしい。

体も前より軽い。探索が楽になりそうだ。


アーカムの隠れ家を出て1時間。

最初は光源をどうするか悩んでいたが、問題はなかった。

雷石。

この洞窟はこの魔石の鉱脈に入っているらしい。

石自体が僅かに発光しているので、光源いらずだ。

いくつか雷石を、魔法で抽出する。

結果。


雷石×5

雷晶×1


光源はあまり潰したくないので、程々に抽出した。


アーカムの隠れ家を出て3時間。

風の流れを感じる。出口が近そうだ。

だが、ここでトラブルが発生した。


『---うわぁぁぁ!!』


かなり遠くからだが、男性の悲鳴が聞こえた。

無視してもいいと思ったが、悲鳴の先が進行方向と被っているし、なにより俺にとって第一発見者だ。

急ごう。


着いた先は、天井から太陽光が差し込んでいる大空洞だった。

そこから落ちてきたのだろうか?

壊れた荷馬車がある。

その周囲には死体5人、男性1人、少女1人がいた。

死体は男性3人女性2人で、全員10歳以下の少年少女だ。

切り傷、打撲など傷がみられる。

生存している少女も、腹部の傷を受け瀕死だ。

男性は無傷ではあるが、動けないらしい。

死体は落下死したか、『あれら』に殺されたかだ。

あれら、つまるところゴブリンだ。

鬼のような形相、緑色の肌、ボロ布、魔物図鑑と一致する。

彼らを囲むように5匹いる。

彼らと違い、ゴブリンは剣など武装している。

…あまり、時間が無さそうだ。

俺はゴブリンの中に突っ込んだ。


--------------------


真っ先に狙ったのは弓を持っているゴブリンだ。

ミスリルナイフを握り、素早く背後を取り、喉を切る。

…手慣れている。経験かな?

生物を殺す事に抵抗がない。

ゴブリンはまだ俺の存在に気付いていない。

一番近いゴブリンに素早く急所の延髄を切る。

それにしても、このナイフすごいな。余裕で骨まで切れそうだ。

流石にゴブリンもこちらの存在に気付いた。


(この命のやり取り…懐かしいものを感じる。)


自分と等身のゴブリンが近い順に切りかかってくる。

俺は最初に切りかかって来たゴブリンのショートソードを受け流し、ショートソードを持っていた手を、上から握る。

ゴブリンの腕をひねり、完全に関節を極める。

極めたゴブリンを反対に向かせ、盾かわりにする。


(あれは確か、砂漠地帯の町の敵殲滅のときに…)

欠落したはずの記憶にノイズが走る。


盾となったゴブリンは、他二匹に切られ、息を引き取る。

俺はそのままゴブリンの死骸を盾にしたまま、生きてるゴブリンに向かい、ゴブリンの死骸ごと押し倒して首を延髄ごと刺し切る。

最後のゴブリンは戦況不利と、強敵の存在により、逃げ出す。

俺は死体になったゴブリンからナイフを引き抜き、逃げるゴブリンに投擲する。

投げたナイフはゴブリンの後頭部に突き刺さる。


(敵の殲滅が終わった後、俺は隠し部屋を見つけて…)

ノイズがより強くなる。


投げたナイフを回収する。

生存者を確認する。

一人は男性の大人。

20台ぐらいの青年で、金髪のウルフショート。ロングコートを着ている。銀の刺繍が所々に入っており、商人のような身なりだ。

いきなりの展開に、目を大きく開け、呆然としている。

一人は女性で少女。

俺と同じで、7.8歳ぐらいの少女だ。

黒髪のミディアムロングで、ボロ布を着ている。手足と首に枷と鎖が繋がれている。

また、さっきの戦闘のせいか、腹部に傷を追っており瀕死だ。うつ伏せになりながら、こっちをぼんやりと見ている。


(隠し部屋の中には少女がいて、俺はその少女を……)

ノイズがザザザと、不快な音をたてる。

アタマガイタイ


俺は少女に近づいていく、ナイフも握りながら。

少女はぼんやりと見ているだけだ。


(俺は少女を…、少女を……、どうしたんだ?)


気づくと、少女の目の前まで来た。

そこで俺は---


「君!!」


男が俺に声をかけたことで、意識がそれる。

頭からノイズが消え、遠くに見えた風景が消える。

俺は男性の方向を向く。


「僕の名前は、エイジス・ルクセルトだ。まず、助けてくれてありがとう。君がいなければ、僕と商品は死んでいた。…いや、商品は助からないかもしれないが、ありがとう。君の事を聞いてもいいかな。」


エイジス・ルクセルト。

恐らく、少女が商品で、彼は奴隷商人だろう。

ふと、少女に目が行く。

少女虚な目では口をパクパクしながら、天に向かって手を伸ばしている。

俺は………

それを他人事に感じず、助けなければいけないという使命感に駆られる。

俺はエイジスに向き直る。


「礼はいらない。代わりに報酬がほしい。」


「な、何かな?私に払えるものなら、払う事を約束しよう。」


「商品がほしい。そこの死体含めて。」


男の顔が明るくなった。

思っていたより大分良かったのだろう。


「ああ、それなら構わないさ。」


言質がとれたので、少女の方に向き直る。

少女相変わらず、天に手を伸ばしている。

少し顔色が悪くなってきた。

俺は少女の手を握る。

反対の腕で少女を抱き起こす。

少女の手を離し、麻袋から回復ポーションを取り出して飲ませる。

少女が窒息しないように、首も起こす。

虚な瞳は瞼を閉ざした。


--------------------


「それは……ポーションかい?」


エイジスが話しかけてくる。


「そうですけど、何かありました?」


「いや、君のような少年が高級品を持っている事に少し驚いてね。」


そうか、ポーションは高級品なのか。

使うときには気を付けなければ。


「そうですか。」


ポーションを飲ませた少女の体に変化が起こる。

傷口の肉が異常に盛り上がり、傷を塞ぎ始める。

最終的には、傷口も見えないほど綺麗に治った。


「さて、エイジスさん。私はこの洞窟を出ようと思っているのですが、貴方はどうしますか?」


「もちろん出るつもりさ。」


「なら護衛として雇いませんか?」


「……ああ、頼む事にしよう。」


「ええ、わかりました。」


エイジスは凄く渋い顔をしたが、渋々了承した。


「では、その子が起き次第出発したいのですが。よろしいでしょうか?」


「ああ、構わないよ。」


「では、準備されてはどうでしょう?落ちた荷物もあるようですが。」


「そうさてもらおう」


エイジスは踵を返して、馬車へ向かう。

その間に、俺は死体の少年少女を回収する。

異空間収納で収納する。

なので、死体は残らない。

ただ、重量がギリギリで、残りが5kgほどしか容量がない。

しかも身体が気怠い。

恐らく、保有魔素が多く消費され、残りが少ないせいだろう。

俺はエイジスが来るまで少女の側で座って待っていた。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

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