表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憎悪と感謝と……  作者: アッキー
第3章 支配と解放と……
68/381

3.34 故意の成功

 見張り台にいた実行係達の矢はトルクらには届かない、いや届かなかった。

 矢を放った瞬間トルクの口が動くのを実行係は見た。

 迫ってくる男トルクが魔具を持っていることはカタンの手下全員に伝わっており、また魔具は鞘から抜かない限り魔術を使えないというのもそのなかには入っていた。

 そして矢を放った時トルクは魔具である剣を鞘に納めていたままであった。


 それなのに魔術を発動したのだ。トルクの放った魔術は地面から氷の壁を作り出し、矢を弾き返す。

 そしてその壁の一部が壊れ、中から二人が走り出る。トルクの手には鞘に納まっていたはずの純白色の輝きを放つ剣が握られていた。


 一体いつ魔具である剣を引き抜き魔術を発動させたのか、疑問はあったものの今はトルクら二人を止めるほうが先決である。

 実行係は再び弓を引き絞り狙いを定め矢を放つ。

 しかしその攻撃もまた防がれた。

 トルクは詠唱を唱え、白き剣を横に凪ぎ払う。すると地面から氷の壁がせりあがり、再度矢を弾き返す。

 そして再びトルクが剣で自ら作り出した氷の壁から、出口を作り出し、脱出する。

 二回目の矢による攻撃を防ぎきったトルクらは、既に門のすぐ目の前にたどり着いていた。


 その事は門内側で待ち構えていた実行係達の目に入っており、臨戦態勢へと入る。そしてカタンと言えば全体が見渡せるよう、より後方から事を見守っていた。

 しかし門からトラルンへの侵入を防ごうとする余り一ヶ所に集まり過ぎていたのが誤りであった。無論カタンは分かっていながらあえて口出ししなかったのだが。

 トルクの後方にいたリガンは手にもっていた小袋を実行係達の足元に投げつける。

 地面にいきよい良くぶつかった小袋からは、黒い煙が舞い上がる。それはリガンが好んで使う催涙性のあるメガトリ粉ではなく、メカクシ粉による煙幕であった。

 

 突如として実行係達の視界を奪った黒い煙を、後方にいて逃れていたカタンは何もせずただ呆然と眺めている。

 その煙の中でカタンの前側の一点が崩れ、中から一人が飛び出してくる。その者はリガンであった。

 リガンこそ驚いた。メカクシ粉の煙から抜け出した先にカタンがいるのだから。

 リガンは止まるかどうか一瞬こそ悩んだものの、決断するとリガンは足を止めることなく力強く走り続けた。

 リガンとしても止まるよりも走り続ける、その方がカタンから逃げ切るのに確率が高いと考えたからだ。

 しかしそれでも恐怖がなかった訳ではない。

 昨日やられたカタンの魔術を今度は避けきる自信がリガンには完全にはなかったからだ。

 しかしそんなリガンの思いとは裏腹にカタンは無視した。まるでリガンをいないかのごどく無視し、一瞥すらない。

 そんなカタンにリガンは戸惑いこそ感じたもののチャンスだと思い、迂回しカタンの背後、建築地区へと無事侵入することに成功した。


 リガンを無視したカタンの目は、煙の中に立ちずさむひとつの人影しか入っていなかった。

 リガンが去った後、煙が徐々に薄くなり立ちずさむ人影の正体が判明する。

 立っているのはトルクだけであった。白き魔具である剣を携え一人立ちずさむ。

 その回りにはカタンの実行係達が倒れている。

 そしてその光景にカタンは思わず笑みを溢した。期待通りの男だと。

 しかしその笑みは長くは続かない。直ぐに顔をはりつめると、見張り台いる実行係に声をかける。

 

「何してる、早く女を追え!」


 見張り台に立ち、事態の成り行きに呆然としている実行係にカタンの叱咤が飛ぶ。

 カタンの叱咤に実行係らは姿勢を正し、ハイと純朴に答えると、見張り台から下り、リガンの後を追う。

 そして後にはトルクとカタン二人の男だけが残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ