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憎悪と感謝と……  作者: アッキー
第3章 支配と解放と……
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3.11 魔術の仕組み

 魔術とは魔なる力が織り成す術である。


 しかしながら魔術の源である魔力を体内に有している種族は限られている。

 魔力を持つ種族の例としては、魔術に特化した貴術族、そして武術と魔術両方をあわせ持つ人間族がいる。


 体内に宿りし魔力を魔術という形で放出するためにはマク鉱石という特別な石を経由しなければならない。

 しかし鉱石の状態では指向性が分かりにくい。そのためマク鉱石を粉末上にし杖の中に織り込むことで、指向性を分かりやすくしているのだ。


 そして魔術を発動する際には、魔術士の想像力が出来を左右する事となる。

 正確なイメージを描くほど魔力の流れより発せられる魔術も具体的な形を取り精度が増すのだ。

 そして高度な魔術になればなるほど思考すべきイメージが難しくなる。故に高度な魔術ほど発生させられるのが難しくなるのだ。


 しかし魔術を発生される際、正確にイメージを浮かべるのは並大抵のことではない。何故なら同じ魔術を使おうとも常に同じイメージを取れるとは限らないし、またすぐにイメージを思い起こさせることは出来ないのだ。

 それらの問題を解決させるために考え産み出されたのが詠唱という手段である。

 言葉と思考を結合させることにより、特定の言葉を発することでその言葉に合ったイメージを瞬時に思い出させることが可能となったのだ。そして発する言葉が長ければ長いほど、連想されるイメージが大きくなり思い起こさせ易くなる。

 その言葉の事を詠唱といい、人によって異なる言葉を使う。何故なら人によって好みの問題や合う合わないがあり、同じ魔術を使うために同じイメージを思い浮かべても、そのイメージを思い起こさせる詠唱まで同じとは限らないのだ。


 また詠唱を見ることで相手の魔術士としての技量を見計らうことも可能である。力のある魔術士なら短めの詠唱でイメージを構築し魔術を発動、若しくは詠唱無しで発動出来るのだ。

 すなわち魔術士の技量は魔力の大小ではなくいかに素早く、かつ正確な思考、イメージを持てるかによるのだ。


 その点でいえばトルクの魔術士としての技量は不明瞭である。剣の、武術士としての腕は申し分の無いものではあるが、魔術では今だ剣の周囲を氷の魔力で包み込む芸当しか披露していないのだ。魔力を魔具である剣の周囲にとどめる位造作も無いことであり、詠唱無しでも可能であろう。

 故にトルクの魔術士としての力量は不明なままであった。


 老人の詠唱、そして魔術を見てリガンは安心する思いである。実力も無しに名乗る不届き者ではなく、しっかりと実力を伴った

医術士だと判明したからだ。

 トルクが息をすることが出来るよう顔の周辺を泡で包み込み、それ以外の体全身を透明な液体が包み込んでいる。そしてそれを可能にしているのが老人が発生させている魔術であった。

 しばらく後、病状が分かったのか再び詠唱を唱えるとトルクの体を包み込んでいた液体が戻りだし瓶の中に収容される。


「失神だな」


 老人がリガンを見ることなく、簡潔に答える。診断結果は男達が下したのと同じ物であった。

 半ばほっとした思いのリガンであったが、老人の話はまだ終わっていないらしい。老人の口が再び開く。


「失神した原因なんだが、どうやら昔の出来事を思い出してしまったらしい。それこそ失神するほどの酷い過去を」


 過去?リガンはその単語に引っ掛かりを覚えた。思えばリガンは

今だトルクの過去を一切知らないのだ。それこそ一ヶ月以上も一緒に旅をしているのに。

 そのためリガンがトルクの過去に興味を抱くのは至って当然の結果である。


「一体どんな過去を思い出したのか分かりませんか」


 リガンの少しばかり熱が入った問いに、老人は初めてリガンに顔を向ける。老人の表情は冷ややかであり、リガンを突き放す顔色をしていた。


「分からなくもないが、お嬢さんが知る権利はないし、まして私にも無い。知りたくば彼に聞けば良いだろう。時期目を覚ます筈だ」


 老人の言葉にリガンが言い淀むのと同時に、扉をノックする音が響く。どうやら診療は終わったか確認しに来たらしい。老人が検診が終わった事を伝え、かばんをもって扉に向かおうとする。


「ありがとうございます。見ず知らずであるトルクを診てくださって」  

 

 寝ているトルクの代わりにリガンが礼を言う。それに手をふり老人は答えた。

 老人の態度は素っ気ないものである。故にリガンは感謝こそすれど、人としては好きにはなれそうになかった。

 そんな事を思っていたリガンに、老人は彼女の横を通り抜ける際、小声で、それこそ扉の向こうにいる人物に聞こえない音量で忠告した。


「今すぐここを出た方がいい。彼を見棄ててでも」


 その内容に驚き、リガンは通り抜けた老人の方を振り向く。しかしすでに老人は扉に手をかけ、開けようとしている所であった。

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