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憎悪と感謝と……  作者: アッキー
第3章 支配と解放と……
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3.6 地図の地

 魔剛の死体を漁り、トルクが手にいれたのはマキアナ地方北部バサバサ草原地帯の地図であった。

 地図の書き方は種族によって異なるが、方角を記し、まるで上空から見たように描く手法は人間独特の物である。その為ある人間の所有物がこの魔剛によって奪われたのは明白であった。

 そしてその地図には獣丸族の村の場所が記されていた。



 今リガンらはマキアナ地方北部にて、地図に記されていた獣丸の村目指して旅をしていた。

 リガンらが獣丸の村を目指す理由としては、そこに勇者に関しての情報があるかもしれないからだ。

 確かに魔王倒れた地である都市キリヤルまで行けば勇者に関する情報が確実に入手出来るだろう。だがキリヤルまでは遠く、それまでの旅の間に勇者の情報が手に入ればこしたことはない。

 噂好きであるが故に世界エラント中の情報を収集している獣丸、その村に行けば勇者に関する情報があるかもしれないのだ。リガンらにはそのような魂胆があったのだが一つ問題があった。

 それは地図に記された村が今だあるのか不明な点である。


 魔王が世界エラントを統治していた時代、旅に出ることは当然ながら不可能であった。そして魔王なき後も大勢の魔剛が世界エラント中で暴れ始め、旅に出る者は滅多にいない。

 つまりこの地図の村が確認されたのは魔王が統治する前、旅人が大勢いた時代となる。

 魔王が人間社会を完全に支配下に置いたのが約5年前、つまり最低それ以上の時が流れた事となる。

 今だその村がそこに存在しているかどうかそれが問題であった。


 ーE.W529年10月15日ー

 バサバサ草原は長い雑草に生い茂っており、木々は数えられる程しか生えていない。現在世界エラントは秋であり、草木は黄金の色をはせていた。

 見渡すかぎり黄金色の、その美しい光景に目を奪われながらもリガンらは歩いている。陽が低い早朝のことであった。

 トルクと比べ背が低いリガンにとって腰まである草むらは歩きづらいことこの上なく、歩く度に体力を消耗していた。

 しかしトルクの風邪が治った今、リガンは安心し、思考の海に入ることが出来た。

 

 この時リガンはトルクと少し壁を作って接していた。リガン自身トルクとどう接してよいか迷っていたということもある。

 トルクは口上手という訳ではなく、両者の間で会話が盛り上がるということはなかった。

 また勇者に関して異なる見解を示す二人が相容れる訳でもなく、旅をして一ヶ月も経とうというのに二人は他人行儀で旅をしている。

 そのような時に魔剛の強襲を受け、そしてトルクは殺したのだ。

 リガンは責めてやりたかった。何故殺したのかと、殺す事は無かったと。

 しかし助けてもらった身でそのように責められる訳がない。

 その相反する考えがよりトルクとの溝を広げる形となった。しかしその出来事がきっかけとなり、リガンはトルクの事が一つ分かった。それはトルクは魔剛を憎んでいるという事である。


 トルクが魔剛の死体を漁る時に見せた目は、明らかに魔剛に対し激しい憎しみを抱いている者の目であった。

 別に魔剛を恨む者は少なくはない。実際に被害を被った者が魔剛を憎むのは当然であろう。

 しかしトルクがあの時に見せたのは尋常ならざぬ憎しみであるように思われた。それこそ所有物を強奪された程度ではすまされぬ程の。

 トルクと魔剛この両者の間に何が合ったのかリガンは考え続けたが、結局の所結論は出なかった。


 そうこうしている内にリガンらの前、30m程先に草原が空けている場所が見えた。


「見えた、見えましたよトルク獣丸の村が」


 リガンの声が好調の色合いを示す。

 リガンとしてはここの長い草むらにはうんざりしており、これ以上歩きたくない一心である。そんな折りに草むらが開けた場所を発見したのだ。

 リガンは先程の思考を放棄して、一目散に走り出した。

 

 しかし近づくにつれ草むらの開けた場所、もとい獣丸族の村の様子、惨状が明らかとなった。近づいて行くごとに鮮明になる光景にリガンの足取りは自然と重くなる。


 リガンらがたどり着いた獣丸の村は見るも無惨な光景であった。

 獣丸の寝床である藁の家や、畑は見る形もなくなっている。そして恐ろしい事に獣丸達の亡骸が地面に大量に転がっていた。

 

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