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憎悪と感謝と……  作者: アッキー
第3章 支配と解放と……
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3.3 予告なき奇襲

 マリエルを出発してから約一ヶ月後のE.W528年9月25日。次第に肌寒くなる世界エラントにて、目的地のキリヤルに行くためリガンらはマキアナ地方に入っていた。


 マキアナ地方はエラント西部海岸側にある地方であり、偽勇者がいた街マリエルがあるラスルト地方と接している地方でもある。

 成り立ちが特殊であり極小なキリヤル地方を除けば、マキアナ地方を含む六つの地方が、巨大な世界エラントを分割している。

 その為一つ一つの地方が広大であり、それぞれの地方内部でも気候はおのずと変わる。

 今リガンらがいるマキアナ地方北西部はいわば世界エラントの内陸部にあたる。そのため海に比較的近い位置にあったラスルト地方西部のマリエルと比べ、昼夜の気温差が大きく、また雨が降る日数も少なくなっていた。

 降水量が少ないため森林が少く、草が生い茂る野原の環境になっている。

 その為今のリガンらの周りは、辺り一面の野原であり見渡しが良いことこの上なかった。


 何故このような場所にいるのか、それには理由がある。

 世界エラントには大まかな地形、地方が書かれた世界図は存在するものの、街の位置情報や通路が描かれた書かれた通路図や詳細図は存在しないのだ。

 その為、都市キリヤルへの方向は分かるものの、中継点となる街へのたどり着き方は分からないのである。

 補給なしでキリヤルへ行けるほど、旅路は楽ではない。ではどうやって旅をするのかというと、たどり着いた街や村でその周囲近隣の地図を入手するのだ。


 魔王がエラントを征服する前、近隣の街や村は交流があり、その名残として今現在もその周囲においてのみにおける詳細図や通路図は現存する。

 そしてその地図からキリヤル方向、南東方向の街への行き先を知り、そこへと行く。そこでもまた周辺の詳細図を手に入れ、南東方向の街へと行く。そこでもまた地図を……といった具合で渡り歩くのだ。

 しかしリガンらの入手する地図はどれも南東方向の街がなく東方向の街ばかりである。その為キリヤルに行く最短ルートではマキアナ地方中央部である所を北西部となってしまったのである。

 この時リガンらは東方向にあるカワタナ街という名の街目指して旅をしていた。


 旅をしている間もリガンとトルクの仲は決して良好とは言えなかった。

 リガンとトルクは勇者に関して相反した考えを持っていた分相容れることはなく、またトルクは自身の事を喋りたがらない。そのような関係で仲良くなれるはずがない。

 二人の旅路は終止無言であり、悪化もしなければ前進もしなかった。


 この日トルクは少し風邪ぎみであり、注意力が散漫な状態になっていた。

 トルクが風邪を引くことにリガンは少しばかり意外に感じたが、そのようなトルクも人の子であり、風邪を引いてもおかしくはないのである。

 トルクがそのような状態に有るため、本来ならリガンがトルクの代わりに辺りの警戒を行わなければならない。

 しかし先程も説明した通り辺り一面はめぼしい障害物がほとんどない野原であり、リガンは少しばかり気を緩めていた。

 そしてそれが仇となった。


 リガンらの歩く先に少し大きめの岩が転がっていた。

 しかしその程度の岩ならさほど珍しくはないため、リガンは特に警戒することなく、近づいて行く。

 そして岩の側を通りかかろうとした瞬間である。

 後ろに歩いていたトルクが突然リガンの首の柄を引っ張り、後ろに倒した。

 ドンッと大きな音がなり、リガンは地面に尻餅をついた。この時リガンらが歩いていたのはかつての旅人達や魔王支配下時代の魔剛達が踏み鳴らし作り上げた、草木があまり生えていない道である。

 その為リガンは少ない草に覆われた地面に尻をつくこととなった。

 尻に痛みを覚えリガンはトルクに向かって叫んだ。


「トルクっ!いきなり何するんですか」


 リガンは傷みに目を瞑りそう叫ぶ。しかし返事として返ってきたのは声ではなく甲高い金属音であった。

 金属と金属がぶつかり合う甲高い音にリガンは驚き目を開け、トルクの方を向く。

 そしてそんなリガンの目に入ってきたのは魔剛の攻撃を魔具で受け止めるトルクの姿であった。 

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