1.1 過去と現在
説明回です。次の話から主人公の物語が始まります。
魔剛族とは他種族から物資を強奪することで生活している種族である。自種族での生産を行わない分、高い生命力、繁殖力そして成長速度を有していた。しかし他種族から強奪し、自種族は何も作り上げない。そんな種族が繁栄など出来るはずもなく年々魔剛族の数は減り続け滅ぶのも時間の問題だと思われた。
そんな種族を神が哀れんだのかある日、魔剛族の中にある赤ん坊が産まれる。その者は天才という言葉ではいい表せぬ程の逸材であった。年月が立ち成長するとその者は魔剛族を束ねる王となり、さらには魔剛族による世界統治まで成し遂げたのだ。そして人々はこの者を魔剛の王、魔王と呼び恐れるようになった。
魔王による恐慌支配が行われ魔剛族に膨大な量の物資が安定的に供給するようになると、魔剛族の数は爆発的に増大した。そして増えた数の魔剛と比例し人々への抑制は大きくなった。
人々は願わずにはいられなかった、救世主の登場を、魔王を倒してくれる者を。そしてある時魔王は倒されその報はすぐに人々の知られる所となった。人々は驚喜し、感謝した。魔王を倒してくれた者に。やがて魔王を倒した救世主は勇ましき者、勇者として呼ばれる存在となった。
みなこれで終わると、平和になるとそう信じていた。自分達を虐げていた元凶がいなくなれば、そう思うのは当然であろう。
しかしその思いは打ち砕かれた。魔王による統治を失った魔剛が世界各地で暴れ始めたのだ。
魔王が倒されて一年、世界は今だ平和から程遠い状態であった。