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憎悪と感謝と……  作者: アッキー
第2章 彼と勇者と……
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2.3 警戒手段

 チッ光とは光を発する小さな虫である。

 羽虫の姿をしていながら強い警戒心を持ち、危険を感じると強力な光を発し仲間に伝えるのだ。

 それをリガンは夜間の間、警戒網として利用していた。チッ光8匹をリガンは手懐け、瓶にいれ旅の間持ち歩いていた。

 そして日が暮れ休息場所を定めるとチッ光8匹を自身を中心として円形の形で飛ばし警戒させるのだ。それは寝ている時も同じである。危険を感じ発したチッ光の光は人を起こすほど強いものであるため、寝ている間もリガンは重宝していた。


 しかしそんなチッ光は人間社会の間では活用されていない。その理由としてチッ光の手懐け方には特殊な技巧が必要であり今だ発見されていないからだ。

 リガンはチッ光の手懐け方をあの村で教わった。そのため普通の人ならばチッ光を操っている少女なんて見かけたら驚く筈なのだ。そしてリガンはトルクの驚きようを密かに期待していた。


 リガンとトルクが旅立って始めての夜、リガンが今だトルクに話相手として期待していた頃。

 日が暮れ休息場所として森から離れた平地に定めると、リガンは背負っていた背曩からチッ光が入った瓶を取り出す。そしてチッ光を瓶から放ち八方に飛び立たせた。

 リガンはこの時トルクがどのような反応をするか待ち焦がれていた。何故ならトルクの反応次第で話を盛り上げることが可能となるからである。チッ光は世界エラントのどこにでもいる虫であり、知名度は高い。そのためトルクが知らない筈はなく、ましてチッ光を操っている所を見たのなら驚くのは当然であろうと思われた。

 しかしそんな淡い期待を打ち砕くのがトルクである。彼は何の反応も示さなかった。そして今だトルクの人となりを掴めていなかったリガンがそのことを残念に思うのは当然であった。


「これを見ても驚かないんですか」


 気がついた時リガンはトルクにそう尋ねていた。勿論言われた方は何の事だか分かるはずがない。それはトルクも一緒であった。


「何を驚くんだ」

「だってチッ光ですよ、チッ光。ほらここやあそこやあっちにも」


 リガンは周囲に散っている8匹のチッ光を順番に指し示す。

 そしてそんなリガンの言わんとする所をトルクは理解したようである。しかしそれでもトルクの返答は期待はずれのものであった。


「驚いた方が良かったか」


 驚いた方が良かったかって、いや普通は驚くよ。

 リガンはそう思わずにはいられない。


「もしかしてあれが何か分かりませんか」


 もしもの可能性を考え、そうリガンは尋ねたがそんなごくありふれた虫をトルクが知らない訳はなかった。


「チッ光だろ、それがどうかしたか」

「えっ、いや私チッ光を使って回りに外敵がいないか調べているんですよ。それでも驚かないんですか」

「君の変わりようの方が驚くよ」


 トルクと旅立つことになり変装する必要がなくなったリガンは顔と体型を隠していた外套を脱ぎ、身長を誤魔化していた厚底の靴も脱いでいる。そのため変装していた姿と今のリガンは同一人物には見えない変貌ぶりであった。

 変装していた時は長身の不気味な男風であったのが、今や普通の女性旅人の格好をしている。

 サラサラとたなびく髪も、薄い唇も、平坦ではない胸も、それらの要素がリガンが女性であると強調している。


 変わりよう。つまりはリガンが女性的であると認める発言をトルクはしたのだが、彼の声音が抑揚を欠いていた為、リガンは素直に受け止めることは出来なかった。


「それはどうもいたしまして。けどトルク、チッ光の事を驚かないってことはトルクもチッ光を使っているの」

「使っていないが」

「じゃあ夜の対策として何を使っているの」


 リガンは気兼ねなく尋ねたのだが、返されたトルクの言葉は驚くべきものであった。それこそ逆にリガンが驚くほどの。

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