1-1 物語の始まり
心に、ぽっかりと穴があいてしまったような感覚。
いつからだろう、ゲームなんか楽しくないと思うようになったのは。
子供の頃は、本当にゲームが大好きで楽しんでたと思う。
ううん、大きくなってもしばらくは純粋に楽しんでたはずなんだ。
新しいゲームが発売されれば、されるほど。
子供の頃に感じた、未知の世界へ踏み込むドキドキが。
知らない世界を魅力的な世界観で見せてくれるワクワクが。
あったはずなのになぁ―。
「ゲーム雑誌……カードゲーム特集ねぇ」
カードゲームはダメだ。
最初は面白くても次々と新しいカードが登場して
ゲームバランスが崩壊していく運命から逃れられない。
そんな欠陥ゲームだと私は思う。
「………」
流行りのオンラインRPGも。
最近のゲームは気づいたら効率の良い同じマップを何百週も何千週もさせられるだけの
クソゲーと化しているから5分で眠くなっちゃう。
流行りのリズムでガチャなスマホゲームも。
色んな作品があるけど、びっくりするぐらいゲームシステムが同じで。
あまりに個性がなくて驚愕しました。
もうホーム画面とかほぼ同じだからね。
自分のリズム感の無さをレアキャラクターの強さで補うっていう
謎の仕様がもうそれリズムゲームじゃないよね…って思うし。
※個人の感想です。
あとは乙女ゲー。
面白い作品多いんだけど、妙にグロいんだよね。
ううん、グロいのは別に良いんだけど選択肢選んであとは読むだけの
お手軽ゲームのはずなのに、1つでも選択肢を間違えたらグロいデッドエンドって展開多くない?
そんなの知らないって?ですよね…。
はぁー……。
「鬱だ」
別に鬱でも何でもないけど、そんなことを一人でつぶやきながら、私は本屋さんで目当ての漫画本や小説を黙々と漁るのだった。家に帰ったら愛猫と遊ぼう。ああ、素晴らしきかな私の人生―。
「そんな、普通で楽しいオタク人生を送っていたはずなんですよ」
「すまない、ちょっと何を言っているのか分からない」
「ここどこですか!?」
「ここは、サンタンカ。プロテア、ドラセナ、サンタンカという3つの国がある大陸で、ここはサンタンカっていう三国で最も治安の良い国だよ、お嬢さん」
グッバイ、私の素晴らしいオタク人生。
私、豊里絵梨はよく分からない異世界へ召喚されたみたいでした。