女騎士との遭遇
そんなこんなで短かな会話もそこそこに青年オークは祖母オークに依頼されたきのこと山菜を採りにゆくことに。
山菜はそうでもないのだがきのこというものは暗く湿った森林地の場所なんかに生えている場合などが多い為やや遠出をしつつ採取する必要性があった。
まあ遠出をすると言ってはいても結局は普段通りの彼が営んだ木こり業務における採掘の現場ではあるので正直な話そんなに言う程の手間ではないのだけれども。
数時間ほど経過したであろうか頼まれた品々も揃い一段落した青年オークは腰掛けた切り株から
立ち上がるとしばし傍らにある採取カゴを背負い込みながらいざ帰宅しようかとする際にそれは起きたのである。
「最近ふもとの街で悪さをしているというのはお前らだな?」
森林の茂みにある木陰から突如甲冑に身を包む一人の女性が現れた。
何分その身なりや格好から推測してそれなりの地位にある騎士なのだろう。
そしてこの険しい山道を従者のただ一人引き連れず単身で訪れていたところなどを見て
武力の実力などは今分不明ではあるが相当の体力と根性を兼ね備えた者なのは受け取れた。
女性とはいえ戦闘に携わる身でありながらも不用心に束ねられずあるがまま伸ばされた白銀色のまっすぐに長くなだれるその毛髪は悔しくはあるが美しい。
やや疲労感は見せるものの自信に満ち溢れた勝ち気そうな赤い瞳の眼差しがこちらのほうへ視線を落とすと
ようやく見つけたと言わんばかり薄桃色の形よい唇の口角をわずかに釣り上げ
女性らしい細腰に括りつけられた鞘へと収められる長剣を手にこちらへじりじりと迫り来ていた。
「一体なんのことだ」
俺は祖母に頼まれた薬草を採りに来てただけだと口にするすんでのところ
引き抜けられた長剣の刀先が青年オークの心臓をめがけ停止する。
「街に現れた盗賊団の一味というのはお前だな?この山中に潜伏しているという目撃情報があった」
なまじオークにあるまじき外見がいけなかったのだろうどうやら人間の悪人と間違えられているらしい。
「俺はここに住むオーク一族で人間じゃないぞ」
青年オークは大恋愛のすえ結ばれた人間である故人
つまりオークの祖父の外見が隔世遺伝していたので外見上は人間とほぼかわりなく
むしろ幼少期はオークらしかぬ外見を持っていた為に過去いじめを受けていた経験があった為
外見に反しその内面は以外にもおとなしいというかいわゆる草食系男子(ベジタリアンという意味合いではなく、性格が)というやつであった。
このままでいては彼は刀の礎とされてしまう。