04 珍しい居眠り
―――ぁ、ここは、夢の中だ。
なんで分かるの?と言われたら説明出来ない。
ただ、私はさっきまで授業を受けてて。
得意な英語の授業。眠くなるはずがないが、どうやら私は寝落ちしてしまったらしい。
(受験生なのに……だらしがないなぁ)
とりあえず、真上に大きく伸びをした後、前にちょこんと座っていた女の子と向かい合った。
「ユイ面白い。ここは夢の中、いうなれば今のあなたは心だけみたいなもの。なのに伸びなんかして、習慣、みたいなものなのかな?面白い」
思っていたとおりの、あの鈴を転がすような声が響く。
藍色の………黒ではない。明るいこの空間ではっきりと分かる腰まで伸びた藍色が、彼女が首をかしげる動きに合わせて左右に揺れる。
「いきなりで驚いてるのがわかる。でもそれは、自分では隠しているつもりでいるのよね?……ほら、まだ驚いた」
日本人でもあまりいないような、深い黒色の瞳に、私の姿が映りこんだ。吸い込まれるような気さえする。何も感情が入っていない。
「私の名前はクレア。クレア・エウ。……もちろん、あの時のイーリャの中にあなたがいたことも気づいてる」
あの時………まさか、あの夢?森の中をかける……彼女の夢?
「そう。すべて見えたの。私の鏡は現在ならどこでも、なんでも映す。闇の力にイーリャの里が襲われていることも、イーリャは逃れて森を逃げていることも、イーリャのなかにあなたの、ユイの魂が入っていることも」
クレアは微笑を浮かべつつ、しかし感情のこもらない声で淡々と言葉をつむいでいく。
「ユイ、あれは夢じゃない、現実。あなたの光の力……1000年に1度とも呼ばれる力があなたに力を与えている」
光の力?………え、なにそれ。
と、普通の人ならなるだろうが、不思議なことに私には心当たりがある。
「その通り。ユイが祓う力、あれは光の力に由来する。人間世界でそんなに力を出せるなんてさすがね。ジルや、リトには……そこまでの力はない。ユイを探すのも、だいぶ苦労してたわ」
ん………? ジル、リト?
聞きなれない名前に、思わず首を傾げる。
視界に白色の髪がはいる。……ん、白?
…………銀髪!?
「あら、人間世界では黒い髪だものね、驚いた?」
でも大丈夫、とクレアは続けた。
そして空間に手をかざして何かをつぶやき始める。すぐに、私の前に大きな鏡が現れた。
そこに写る姿を見て、私は愕然とした。
「それが本来の、ユイ
ユイシャ・リュエルの姿よ」