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五つの神の末裔  作者: 麻白
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02 目覚める。(夢から)

ぱっ、と目を開けると見慣れた天井。

ふかふかの布団に、馴染みの柔軟剤の匂い。


ゆ、夢オチ??なんて古典的な………


起き上がって時計を見る。特別早く起きたわけでもないが、目覚ましがなるまであと30分といった所だ。

さっきの変な夢の事をを考えるのには、ちょうどいいくらいの時間だろう。私は枕元から夢日記を取り出して、さっきの夢をメモし始めた。


昔からこういうのは良くあった。私にとっては普通すぎて、最近までそれがおかしいのだなんて知らなかった。割と本気で。


友達に聞いてみたけど、普通夢は覚えてないようなことの方が多くて、時々やけにリアルなものを見るが、時間が経てば、というか朝が来れば忘れてるものらしい。


私はよく予知夢を見る。それに、そんな夢じゃなくてもいつも見る夢がリアルで、感覚――それこそ匂いまでしっかり感じて、しかもそのまま全部覚えてる状態で目が覚める。


テスト前なんかはよく助けられた。山を張ってないところの問題を解いている夢を見て、慌てて朝に見返してみたり。小さい頃からそんな小さな予知夢に助けられたのか、元々得意だったのか、勉強ができた私は高校3年となった今では模試をA判定でスルー出来てしまうくらいには、勉強できる。ズルしてる感は否めないが………。


テスト以外にも、例えばお誕生日の日の前にプレゼントの内容や隠し場所を知ってしまったり、あまり好きではない人に告白されることを知って、申し訳ないが告白場所になる所を1日中避けて通ったり。

体育の授業ですっ転んで大怪我する夢を見て、その日体育を見学したら別の子が病院に運ばれてしまったこともあった。あれは本当に罪悪感がひどかった………熱心に病室に通ったら、その子は今唯一心を許せる親友になったのでよかったと言えばよかったのだか。


今日の夢は………予知夢ではないな。


私が住んでいる金沢市は、東京とかに比べれはもちろん劣るがそれなりに都市部は発展している。

あんなに深い森………もちろんもう少し山よりの地域に行けばあるだろうが、そんな所に行く用事はたしか無い。


それに、なんと言うか………日本ではないような。そんな気がする。


誰かの目線から夢を見ているような感覚だった。

長い髪が走っている時に何度か視界に入ったが、彼女の髪は少し癖のある金髪だったし、それこそウィッグでもかぶってない限り外国人だろう。途中から出てきた少女は藍色のように見えたが……目は黒かったし、夜の夢だったからきっと綺麗な黒髪がそう見えたんだな。ただその子もアジア系の平らな顔立ちではなく、立体感のある、というか、整った顔立ちだった。お人形みたいな。


それに、私の夢の中だから意味は分かるのだろうけど、言語が違う。何となく、フランス語のような、流れるような音で言葉がつむがれていた。

日本語ではない。確実に。


しかも、確か黒髪の少女は彼女の事をリーリャ、と呼んでいた。

間違いなくアジア人の名前ではない。

西洋人の名前で聞いたことがあるかと言われたら無いが……まぁ、きっと知らないだけだ。


それにしても、物騒な夢だなぁ。


森の中を走って逃げる彼女はとても怯えていた。

何かから逃げているようにしか思えない。しかもその子の後ろから火の手が上がっており、大きな建物が崩れ落ちた時なんて、彼女の強い感情に揺さぶられて私まで悲しくなってしまった。


自分の住んでた所で、山火事かなにかが起こってきっと命からがら逃げ出したんだろう。崩れ落ちたのは、自分の家とか……大事なものだったんだろうな。おとうの家、とつぶやいてもいたし………あんなに派手に崩れたら、もし中に人がいたとしても生きてないだろう。


しかも途中から出てきた黒髪の少女が不気味なことばかり言っていた。何だっけ、


1人殺し損ねてることくらい、しかも1番消さないといけない子を消してないことに、気づかないわけがないじゃん


とかって、語尾に音符マーク付いちゃいそうな声で言ってた。あの声はほんとに場違いだったなぁ。


ん、ってことは彼女は殺されそうになって逃げてたのかな?

ますます物騒な夢だ……予知夢になってたまるか。


「優衣ー?起きてるー?」


「うーん、起きてるよー」


お母さんの声がする。スマホを開いて時計を見ると、もう起きてもいい時間だった。うっかりマナーモードにしていたのでアラームがならなかったらしい。


「今降りるよー」


スマホを片手に、私は居間へと降りていった。



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