水木粗鋼の場合 02
第三節
「メタモル能力者」同士の戦いである「メタモル・ファイト」は、一般人相手との挙動と明確な違いが幾つかある。
まず、お互いが「メタモル・ファイト」を行うという意思表示を明確にすることだ。
基本的に敵意・害意のある相手にしか使えない能力なのだが、この「合意」によってリミッターが解除されるらしい。
「メタモル能力者」同士の戦い、「メタモル・ファイト」においては試合が終了すれば変化した肉体及び衣装は元に戻る。
勝利条件は「精神的に屈服させること」。
相手を性転換&女装させることは絶対条件ではない。
ただし、相手を性転換&女装させてしまえば同時に「コントロール」も掛かるため、屈服させるための有利な条件は整うのは間違いない。
多くの場合は、抱きしめてキスの一つもすれば参ってしまうので決着となる。
メタモル・ファイターは仮に相手の能力を食らって性転換してしまっても自分自身の発動できる能力を失うことは無い。その為、お互いが女に性転換してしまった状態で尚戦い続けることも可能である。
稀に試合が決着しても元に戻れない場合も存在するらしい。条件は明らかになっていないが、女体化することに慣れきってしまうと危険であると考えられている。であるので、勝敗に関わらず女体化経験回数を上げるのは賢明ではない。
可能な限り女体化せずに勝利することを考えるべきであろう。
「メタモル・ファイト」は敗者のリスクはあるが、勝者には名誉のみがある純粋な勝負である。スポーツの様なものと言える。
第四節
橋場は先ほどの勝負において、「スカートめくり」で勝利条件を満たした。
つまり、相手の「精神を折った」のである。
「精神的に屈服させる」解釈が様々にあったが、要するに自らの女体化&女装強制状態への屈辱を叩き付けられれば“折れる”のではないかと考えたのだ。
当然と言えば当然だが、大半の男にとっては「スカートをめくられる」のは滅多に体験しない。
女にとってすら非常に屈辱的で恥ずかしい仕打ちだ。
嘘かホントか、かつてはギャグ漫画の定番おちゃらけだった「スカートめくり」行為を女子生徒に行った小学生が刑事告訴されたという例もあるらしい。
それほどの「女としての屈辱」を、女にされたばかりの男が受けたなら、その精神的ショックは計り知れまい。
橋場はこれまでメタモル能力者以外に能力を発動した際には随分スカートをめくっていたぶってきた。それをメタモルファイトの決着に使うことも可能であることが分かった。
とはいえ、いつまでもスカートめくり程度では動揺しないという「女体化のベテラン」戦士もいるかもしれない。
だが、女の身体や女装に慣れて何とも思わなくなればなるほど、そのまま戻れなくなるリスクは高まるのだ。
実例を確認した訳ではないが、完全に別のメタモル・ファイターによる女体化で戻れなくなった場合は、能力も失って単なる女になると考えられる。
(続く)