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沢尻瑛子の場合 21


第四十五節


「戻れるとなったら惜しくなってきたわ。もう一日待ってくれねえ?」

 瑛子が吐き捨てる仕草をした。

「はぁ?何言ってんの。気持ち悪いんでやめてくれない?」

「お前こそ男を女にして女装させといて何を言ってんだよこの変態が!」

「何であたしが変態なんだよ!」

 といって思い切り女子高生の胸を鷲掴みにする。

「いたっ!…だからそういうところが変態だってんだよ!」

 手を振り払う女子高生。

「…あんだとこら…」

「女になったからには制服もいいけどもっとセクシーな恰好とかしたいなあ。ああそうそう、スケベ写真撮りまくって売りさばいて大儲けしようかね。どうせ明日には元に戻ってんだから気楽なもんだ!あはははは!」

「…女になってまで女を使って金儲けかよ…呆れたアホだなあんた」

「何とでも言えよ!お前ら女なんてどれだけ偉そうなこと言ってもいざセックスとなれば俺の下でアンアン言うだけじゃねえか!」

「…気が変わった。もうお前一生女になっとけ」

「…へへ…な、何言ってんだお前…」

「そんなみっともねえ恰好の馬鹿女が女とセックスした時の自慢話か?この変態が。次にお前がセックスするのは男とだよ!今度はお前がアンアン言っとけこのビッチが!」

 飛び掛かってくる女子高生。

 だが、今の瑛子にただの女の子が勝てるわけがない。

 訳なく攻撃をいなし、仰向けにひっくり返して馬乗りになる瑛子。

「…テメエ…本当に懲りねえなクソが…」

 半狂乱になって暴れる女を押さえつけるのは大の男でも苦労するが、今の瑛子なら暴れ牛でも抑え込めるだろう。

 見下ろす瑛子の目に宿る怒りが本物であることに本能的に気が付いた女子高生は恐怖に震えた。



第四十六節


 駆け付けた救急車には、気絶していた清美が乗せられ、瑛子も同乗を許された。

 案の定「脱法ハーブ」と呼ばれていた(現・危険ドラッグ)大麻の変種を嗅がされていた清美はそのまま暴行され、性交渉の跡も認められたらしい。

 幸か不幸か妊娠には至っていないとのことであった。


 女になった細マッチョは気付かれない様に放置しておいた。

 瑛子もあれが目当てで入学したに等しい可愛らしい制服を売りさばかれたりするのも虫唾が走るのでビリビリに引き裂いておいた。

 生憎あいにく瑛子も生まれつきの女なので相手をやり返すことが出来ない。出来るならやっただろう。


 あのアホ男二人に殴られ、蹴られ、組み敷かれまくったので制服のあちこちがボロボロに擦り切れてホコリまみれになっていた。

 悔しいが、まんま「何かあった後」の有様である。そして、突如発動したあの力が無ければ正にそうなっていただろう。


 清美の両親に加えて、沢尻家の両親も駆けつけていた。

 意識の無い清美は仕方が無いが、瑛子はもう一生分怒られた。普段なら言い返すところだけど、黙って聞くことにした。

 ムチャクチャに仲の悪い弟も珍しく駆けつけて一緒になって神妙に話しを聞いていやがる。


 両親の後は警察だった。

 細マッチョと背後の男の人相風体について嫌と言うほど詳しく聞かれた。

 はっきりとは言わなかったが、この手の事件の常習犯であるらしく、警察は話を訊く前からある程度辺りを付けていて、それを確認しているだけに感じられた。



(続く)


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