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沢尻瑛子の場合 17


第三十六節


 ウソかホントか、男には女になりたい願望とか女装してみたい願望があるらしい。そしてそれと同じくらい、「女になっちゃったらどうしよう」恐怖症もあるんだとか。ホントかね?

 少なくとも生まれてこの方ずっと女である瑛子には「女になっちゃったらどうしよう」という恐怖は無い。そりゃな。

 もっといえば「強制的に女装させられ」ることへの恐怖も無い。

 まあ、物凄く露出度が高い恰好とかさせられるとしたら恥ずかしいかもしれないけど、ビキニ水着で海に泳ぎに行ったことも普通にあるし、常識の範囲内の大胆な恰好はしたことがある。

 つまり「強制女装」も怖くない。少なくとも生まれつきの男に比べれば遥かに少ないに決まっている。

「うわ…うわあああああっ!」

 マッチョ体型を強調する露出度の高い恰好だった細マッチョは、この時点で完全に思春期の女子へと肉体が性転換してしまっていた。

 声もすっかり可愛らしくなっている。

 その細マッチョがなお吠えている。

 不思議なことに瑛子には細マッチョの身の上に何が起こっているのかハッキリ分かった。

「ふん…なかなか似合ってるじゃん」

 上から目線の発言だった。

「お前…」

 細マッチョの黒いビキニパンツが、白いシルクのパンティに変化したことが分かったのである。



第三十七節


「へー…何だか分からないけど、女装までするんだ」

 理屈もメカニズムも分からないが、目の前で起こっている超常現象が自分が引き起こしたものであることは何となく理解出来た。

 男が女になるなんて、マンガやアニメの中の話である。

「よせ…やめ…あああっ!」

 身をよじる細マッチョ。

 恥ずかしさに真っ赤に染まった顔と、大きく揺らぐ美しい黒髪。

 これまた瑛子には何が起こったのか分かった。

 途端にニヤニヤする瑛子。

「へー男ってやっぱブラジャー付けられるのって恥ずかしいんだ」

 瑛子は敢えて『ぶらじゃあ』と強調して発音する。

 男が無理やり女装させられる屈辱は、女である瑛子には完全には分からないが、少なくとも恥ずかしいことであることくらいは分かる。

 それを女にやられて攻め受けが逆転するくらいの屈辱はあるまい。

「お…お前まさか…」

 抜けきった腰で必死に後ずさろうとする背後の男。脚がわたわたとその場で空回りする。

「そんな…ばかな…」

 長い髪に包まれたそんな可愛い顔で言ってもねえ…と胸を反り返らせる瑛子。徐々に余裕が出てきた。



第三十八節


「うっ!おいよせ!やめ…あああっ!」

 どこからともなく出現したスリップがブラジャーの上、服の下で胴体を覆っていく。へーこんなところまでやるんだ。

 変化は止まらず、首元まで閉まったブラウスに襟までが出現し、可愛らしい真っ赤なリボンが「ぴょこん」と出現した。

「ああ!」

 寸詰まりになった上半身をクリーム色のベストが覆っていく。

 まんまるなバストがより強調される。ベストの左胸には瑛子たちの通っている高校の「校章」までが縫い取られるディティールの細かさだ。

「きゃーかーわーいーいー」

 敢えて感情のこもらない適当な声を出す。

 正直、見た目は可愛いとは思うがそれはあくまでも「制服マジック」によるものであって、こんな汚れた男に自分たちとお揃いの制服なんぞ着て欲しくなかった。

 そして…筋肉を強調するためなのか、スタイリッシュな細い脚を強調するためなのかぴっちりと張り付いていたズボンが一瞬にして収縮する。

「わああっ!」

 健康的な脚が一気にむき出しになった。

 黒いズボンは膝丈のチェック柄のプリーツミニスカートへと変貌してしまった。

「おー、大体出来たね」

「あ…あ…ああ…」

 細マッチョ…だった男は、今や全身可愛らしい制服に身を包んだ女子高生になってしまったのだった!



(続き)


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