プロローグ 03
「しらねえよ!」
可憐なメイドにあるまじき暴言を吐く。
「…ってかお前こそ」
「…?ええええええーっ!?」
指摘した少年が見下ろすと、既に身体の性転換は完了し、着ていた服がメイドに変形完了する寸前だった。
その場の「オタク狩り」が全員可愛らしいメイドに変身するのに数分と掛からなかった。
「あ…」
「お前…そんな…」
「馬鹿な…」
みんな自分の身体を見下ろしたり、お互いの胸をつついたりしている。
とても現実に起こったこととは信じられなかった。だが、全身に感じる女体の感覚は紛れもなく事実だった。
「まあ、こんなところでしょう」
「じじい!テメエのしわざか!」
嘆かわしい!という表情で首を振る紳士。
「とりあえず皆さんには、わが喫茶店で働くメイドに相応しい言葉遣いと挙動を身に着けて頂きます」
ひょい、と手を動かす紳士。
「あ…」
何やら周囲の雰囲気が一変する。
パン!と手を叩く紳士。
「では挨拶の練習!」
すると、メイドたちは一斉に姿勢を合わせ、お辞儀をしながら可愛らしい声を合わせた。
「「「「「おかえりなさいませ!ご主人様!」」」」」
「よろしい。キミたちは今日からストリートギャングなどは卒業して、メイドとして働くのだ。引退するまでに淑女としての身だしなみを全て叩き込んであげよう。あ、心配いらない」
操られているのか、両手をスカートのエプロンの前で揃えて聞いていることしか出来ないメイドたち。
「キミたちはもう元の男に戻ることは出来ない。一生を女としてやり直すことになる。しかし、言葉遣いも仕草も全て女性のそれになっているが、意識は全て男時代のものを残しておいてあげている。これは温情だ」
思わずお互い顔を見合わせるメイドたち。それでも何も喋ることは出来ない。執事長の許可が無いと私語は厳禁だからだ。
「ギャングとしてのたれ死ぬよりもメイドとして奉公する生活の方が幸せはあるぞ。きっと。では、このまま店まで移動する。丁度いいキャンペーンだ。注目を集めるだろうが、我慢することだ」
紳士は楽しそうに目を細めた。
(続く)