表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/87

水木粗鋼の場合 23


第四十九節


 人気のない電車の中で、武林と別れた橋場と斎賀が話している。

「…凄かったな」

「ええ」

「お前本当は今夜一晩女子高生として過ごしてみたかったんじゃないのか?」

「…どうですかね。そういう橋場さんこそどうです?ご協力しますよ」

「へっ!冗談は顔だけにしろよ。プライベートでまで女装なんぞ寒気がするわい」

「でしょうね。それにしても彼は大丈夫なんでしょうか」

「水木か?あれはあれでいいんじゃね?」

「僕が解除条件付き変身をあれくらいで遠慮したのも、ちょっとリスクが怖くてね」

「…どういうことだ?」

「この間の中華料理屋での一件ですが」

「ああ、あいつな」

「水木くんは盛んにお互いの同意によるシステム利用みたいなことを解説はしてくれたんですが、あのオーナーのウーという女性の能力は開始の同意を必要としないタイプでした」

「…そうだな」

「それでいて『メタモルファイトの掛け持ちは出来ない』法則は使えたのでどうにか勝てましたけど、正直基準が良く分からないんです」

「…まあな」

「ウーさんにしても、メリットもありますがデメリットもあります。僕らみたいな基本型はともかく、例外型は間違いなくメリットと共にデメリットもあってそれでバランスを取ってると思うんですよ」

「例外型なんて余り遭ったことが無いからイメージしにくいな」

「この能力って単に付与されたメリットだとはどうしても思えないんですよね。女性化時間が長ければその分の代償が必要…ってことになったら怖いんで。だからあれくらいで終わらせたんです」

「そういうリスクが一切ないことが保障されていたらどうした?」

「そりゃ今頃まだ水木さんとお揃いの制服でいちゃいちゃしてましたよ…とか言わせたいんでしょ?」

「いや、そういう訳じゃ…」

「その通りです」



第五十節


「何となくの予想ですけど、一晩とまでは行かなくても一ヶ月、いや一週間で飽きる様な気はしてるんですよね」

「オレは一日で飽きるね」

「ともかく今日は色んな意味で勉強になりました。きっとこれから応用出来ますよ」

「そうだな。流石にこっちからの情報が少なすぎたんじゃないのか?」

「一応、あの中華料理屋は教えておきましたけどね」

「はぁ!?あのドSババアの?」

「ええ。十分注意しろと警告した上でね」

「ふーん…まあ、俺の知ったこっちゃねーや」

「あと、彼の見せてくれたアルバムなんですが」

「ああ、女装写真集な。気持ち悪い」

「女装って…まあ女の子が女の子の服を着るのも女装には違いないですが…とにかく一部らしいんですけど、見せてもらったんですよ」

「どうだった?」

「意外と言えば意外ですが、やっぱり制服が多いですね。ポルターガイストみたいに思春期の男女に「覚醒」する能力なのかもしれません」

「制服だから学生に限ってる訳じゃないだろう」

「確かに。でも能力発現時の環境に依存するものが多いのは確かです」

「へっ!なら医者に能力が目覚めたら看護婦を量産出来るってか?」

「安易ですけど、そういうことなのかも」

「下らん。思い付きだけのコスプレ予想じゃねえか」

「その伝で言うとあのメイド衣装が気になるんですよ」

「別に珍しくもないだろ。あいつはハッキリ言ってなかったけど、あんな感じの解除条件だったら間違って暴発もしねーだろうから、女のまま女のコスプレしまくった写真かもしれねーじゃねえか」

「なるほど…橋場さん冴えてますね」

「単なる思い付きだ思い付き!」

「…しかし、女性がそういうコスプレをしたい時ってどうするんですかね?写真スタジオとか行くんでしょうか?」

「それこそしらねーよ!案外女装スタジオに行ったりしてな」

「女装スタジオ?女性なのに?」

「分からんけど、そういうところってエキセントリックなコスプレ衣装とか大量にありそうじゃん。女でも便利なんじゃね?あ、でもサイズが合わねえか。男仕様だからな。なんちって!」

「橋場さん」

「何だよ」

「今度秋葉原行きましょう」

「気色悪いな。デートの誘いかよ」

「まあ、そんなところです」

「マジか…。言っとくがオレは出来レースには協力せんからな。セーラー服で歩きたい願望には貢献できんぞ」

「お構いなく。…それにしてもこの能力って、恐らく水木くんみたいな人に一番欲しかったであろう機能だけは無いんですよね」

「…何だっけ?」

「これも僕がさっき訊いたんですけど、自分で自分を触って変身することは出来ないんだそうです。恐らく星の数ほど試したであろう彼が言ってるんですから本当でしょうね」

「だろうな」

「もしそれが出来たなら彼も能力者を探してあてのない旅をする必要も無かったでしょうね」

「へ…世の中そう都合よく出来ちゃいねえよ」

 斎賀は電車の窓から外を見た。夜の都会の喧騒が広がっていた。



*橋場英男 メタモル・ファイト戦績 五勝〇敗一引き分け 性転換回数二回

*斎賀健二 メタモル・ファイト戦績 六勝一敗二引き分け 性転換回数四回

*武林 光 メタモル・ファイト戦績 一勝二敗一引き分け 性転換回数二回(ケンカは除外)


*水木粗鋼 メタモル・ファイト戦績 〇勝三〇敗三引き分け 性転換回数一三二回



(続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ