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水木粗鋼の場合 19


第四十一節


「要するにこういうことだろ。プレイヤーAとBが戦い、Bが変身させられた。そして何故か決着した後も元に戻らない」

「ええ」

「この場合、その状態を放置したままプレイヤーAがプレイヤーCとの対戦を成立させた。この時プレイヤーBはどうなるか?」

「その通り。どうなると思います?」

「難しい問いですね…」

 斎賀が腕組みをしている。

「複数のメタモルファイトを掛け持ち出来ない、という建前が厳密に適用され、それが「前のメタモルファイトの影響力も排除される」ということになれば、「プレイヤーAとC」が成立した瞬間に、プレイヤーBの状態は解消される…と言う風にも解釈出来ると思いますが?」

 水木は首を振る。

「残念ながら不正解です。この場合、プレイヤーAにとってはあくまでA対Bの試合は決着がついており、Bから受けた影響は既に解消しています。つまり、新たな対戦を成立させるための制限は一切なく、これによってBの状態が自動的に解除になることはありません」

「対戦が決着していない場合は次の試合の成立に支障をきたすが、決着がついているか、さもなきゃ無効が確定していれば始める分には問題ないってことだな」

「そうなります」

「これも良く分からん。分かり切ったことだろうが。そもそも試合が終わった後も変身後の状態を維持させることを、意図的に起こせるんならともかく」

 にこにこしている水木。

「…あるんですね?」

「何だと!?」

 同時に立ちあがる橋場と武林。



第四十二節


「馬鹿な!メタモル能力者同士の戦いの場合、終わったらすぐに戻っちまうってのが決まりだろうが!」

「そうだそうだ!」

「自分で好んで戻らないってんならともかく、他人に戻らないことを強制されうるのか!?それじゃあ一般人相手と変わらんじゃないか!」

「まあまあ落ち着いて。あくまでも裏ワザみたいなものですから」

「どういうことだよ?」

「例えばですけど、ぶりんさんがここで形式上「試合」を成立させてボクを女子高生にしたとします」

「うむ」

「ボクが女子高生のまま、例えば斎賀さんを同じく女子高生に出来るかどうか?」

 腕組みして考えている斎賀。

「出来ませんね。メタモルファイターがメタモルファイターを変身させられるのは、あくまでも試合の結果としてであって、水木さんが女子高生であるということは「試合が継続中」であるということなので、試合を掛け持ちできない原則から僕との試合はそもそも成立できません。つまり、試合の結果としてのメタモルファイターの女子高生を量産することは出来ない…です」

 ぱちぱち、と乾いた拍手をする水木。

「満点の解答です。ですが何事にも例外はあります。メタモルファイトに存在する厳密なルールというのは、あくまでも意志の力の常識的な流れ…はっきり言えばお互いの合意に従います。合意していさえすれば、『勝敗・引き分け』も自在に操れます。つまり、…「解除条件」もお互いの合意があればある程度は変更可能ってことです」

「そうか!」

 今度は斎賀が立ちあがった。

「間違ってたら訂正してくださいね。勝利側…つまり優位側が『投了』を受け入れる条件として、「変身解除条件」を設定することが出来る」

「その通り。勿論、相手方の同意が必須です。ですから普通は「解除条件の設定」などというものを持ち込むことは出来ません。お互いに談合状態にでもなっていない限りはね。これは(むし)ろ「簡単には戻らない様に」変身させられた側が勝利側に設定して『もらう』性質のものなんですよ」

「あー!分からん分からん!どうしてそうなるんだ!」



(続く)


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