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水木粗鋼の場合 08


第十九節


「えっと…はしばさん…でしたっけ?一緒に映ってくださいませんか?」

「はぁ?どうしてオレが!」

「大丈夫ですって!メタモルファイターは試合を掛け持ち出来ませんから、お互いに絶対安全です」

「そういう話をしてんじゃねえよ!何でオレが男と仲良く写真に納まらなきゃならんのだ!気持ち悪い!」

「え…」

「大体なんだお前は!さっきからきゃぴきゃぴしやがって!男ならもっとシャキッとしろよこのオカマ野郎!」

 沈黙が流れた。

 棒立ちになった水木…ブレザーの美少女女子高生…の目に見る見る涙が溜まってくる。

「あーあ、泣かしちゃった」

 斎賀が冷たく言い放った。

「やかましい!こいつ男じゃねえか!」

「そういう橋場さんもこの間ボクにスカートめくられて『きゃー』とか言ってませんでしたっけ?」

「あ、あれは…」

 と言いかけた瞬間、涙を四方に振り飛ばしながら水木が食いついてきた。

「そうなんですか!?」

「うわあああっ!寄るな!寄るなよ!」

「あ、そうなんだ~.へー。それだけ男らしくしてるはしばさんもⅤ(ぶい)って訳じゃないんだ~」

「…水木さん、ちょっといいですか?」

「何でしょう?」



第二十節


「先ほどおっしゃっていたⅤ(ぶい)とは何ですか?」

「あ、それはメタモルファイターの中でも全勝者か或いはファイトの経験が(ほとん)ど無い人のことです」

「どうしてⅤなんです?勝利の頭文字ではないですよね?」

「えっと…すいません。正確には変身させられたことが無い人って意味です」

 少し考えている斎賀。

「あ、そういうことですか…」

「オレにはさっぱり分からんぞ!」

 これは武林。

「はっきり言えば「バージン」の頭文字です。未経験者、処女の隠語ですね」

「…ついていけねえや」

「別におかしくないでしょ。船や飛行機を例える場合は英語でも女性名詞を使うし、『処女作』『処女航海』みたいに、初めてのことを象徴させたりは普通ですから」

「ともかくオレはそんな写真なんぞ撮らん。試合の協力もせん!」

「橋場さんの能力は古風なセーラー服で、しかもふくらはぎまでのロングスカートに腰まである長い黒髪がセットだからオススメなんですけどねえ」

「おい斎賀!テメエ!」

「ほ、本当ですかぁ!?」

「だから寄るなって!」

「お願いします!コレクターとして是非体験したいです!」

「お前は良くても俺が嫌なの!」

「…どうしてですか?…」

 悲しい顔になる水木。可愛い。



(続く)


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