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悲しみの向こう側に

作者: 希央

自分が書きたくてかいただけなので、本当に暇な人だけ読んでください。

 セカイが悲しみで埋もれたのはいつだっただろうか。

人々が、ちっぽけな幸せに身をすがり、悲しみから逃れて暮らすようになったのは。


 ある科学者がある装置を発明した。

 その装置は、特殊な電波をセカイ中にとばし、その電波を浴びた者は自分の感情を物質にして表すことができる装置だった。電波を浴びなかった者は、誰一人としていなかった。

 その装置のおかげで、人々のコミュニケーションは大きく発達した。

 ある者は、誕生日の人に誕生日を祝うための気持ちをあらわすために。ある者は、自分の恩師に感謝を伝えるために。また、ある者は、好きな人に告白するために。

 言葉では表せないほどの気持ちを伝えるために、そして、恥ずかしくていえないときに気持ちを形にして伝えるために。

 その幸せな気持ちの詰まった物質は、伝える人の気持ちの大きさによって大きさが変わった。

 そして、その物質に色は、見る人によって色を変えた。なぜなら、人によってイメージする色は違ったからだ。

 その色は、黄色、ピンク、オレンジ、黄緑、水色、藍色などの様々な色だった。

 例えば、「感謝」というイメージの色が、黄色に感じる人もいれば、水色に感じる人もいたからだ。

 気持ちを伝えるために物質化された感情は、時間が経つと、消えて行く。

 その感情は、消えるまで、周囲の人々にある効果があった。

 その効果は、プラスの感情なら、周囲の人々の心を明るくした。マイナスの感情は、なんの働きもしなかった。

 そんな、夢のような装置のおかげで、人々は幸せな暮らしをした。幸せな感情が、幸せをよび、幸せが永遠と続くような幸せのスパイラルだった。


 ある日のことだった。

 世界大戦が勃発し、殺し合いがはじまった。

 人々は、その装置を使い、悲しみを訴えた。

 その物質は、セカイ中に広がった。

 でも、それは一時的なことであったが、偉い人たちには大きな働きをした。

 本当は、なんの働きもしないはずなのに、まるで働いているような気がしたからだ。

 偉い人たちは、無人兵器を作り出し、死人がでないようにした。

 だが、その兵器を量産するのには、莫大な労働力を必要とした。

 その労働力は、鉄を採掘するためだったり、工場での仕事だったり。

 死人はでなかったが、苦しく、きついような時間がずっと続いた。

 そんななか、高度な人工知能をもつロボットが開発され、そのロボットが苦しく、きつい仕事をするようになった。その高度な頭脳をもったロボットは、自分の修理や、新しい高度な頭脳をもつロボットの生産すらした。


 あるとき、ロボットも人間と同様にあの装置をつかうようになった。

 悲しみを訴えたロボットの感情は、どれだけ時間が経ってもきえなかった。

 なんの働きもしないマイナスの感情に人々は怯え、恐怖した。

 そこで、一部の人々は、戦争による被害、そして、マイナスの感情から身を守るための巨大なシェルターを作り、その中で暮らすことにした。

 そのシェルターは、特殊な素材でできており、この一つのシェルターでセカイ中のすべての特殊な素材をつかいきってしまった。だから、一部の人しか悲しみから逃れて暮らすことはできなかった。


 それから、何年もの年がすぎた。

 シェルターの中では、不思議とマイナスの感情は物質化されず、プラスの感情だけが物質化した。

 人々は、そのシェルターが悲しみに包まれていることも知らずに、幸せに暮らした。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] もしも、感情が羽毛だったら……。 羽毛なんて、鼻息で飛んでいってしまうほど軽いものです。 けれど、世界中の人々の感情が残らず羽毛になったら、それはそれは重くなることでしょう。 もしかしたら、…
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