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始業式①

題名に書いていますが、あんまり関係ないという詐欺

俺彼でも書いたんですが、うまい事行けば1週間に1回更新できるペースです。

でも何時このペースが乱れるか分からないのでご了承願います

「あぁ~・・・マジで帰っちゃダメかな~?」


(ダメに決まっておろう、主よ。確かに力を隠しているから退屈なのは分かるが、主が学校に通うと言ったのだぞ?全く・・・あの時素直に准騎士の誘いを受けておればよかったものの・・・)


俺の呟きに返すのは、この世界の魔法師が憧れてやまない四大精霊の一人、火を司るサンドラだ。四大精霊は俺と契約はしているが、普段は精霊界や、この世界を好きに見回っている。しかし、一度俺が呼びかけると直ぐに俺の元まで駆けつける。


しかし、このサンドラだけは例外で常に俺の傍におり身辺警護をしている。偶に実体化し俺と触れ合ったり下級魔法(と言ってもそこら辺の野良精霊と契約した奴の上級魔法より遥かに強い威力なのだが)の指導や、魔法と格闘混合戦の戦い方を教えてくれている。


サンドラが張る結界は俺の全力の上級魔法でやっと破壊できるレベルの強度なので、下級魔法を使う魔法戦を思いっきり何の支障もなく出来る。周りにばれる事も無いのでのびのびと訓練が出来る。


「それを言われると弱いな・・・。でも、学校に通う事で将来のコネを作れるし現在の騎士と魔法師の差別がどのレベルか知れるから良いじゃねえか」


(別に悪いとは言っていないぞ主よ。しかし、決められた事はキチンとこなさなければ無かろう?唯でさえ主は落ちこぼれと周りから蔑まれているのにサボったりなぞしたら余計悪化するでないか。それと、周りから蔑まれているのに将来のコネなぞ獲られる筈がないと我は思うのだが、どうであろうか主?)


「ぐっ・・・。俺だって、まさかこんな風になるとは思って無かったよ。軽く出来損ないレベルをしようと思ってたのに、まさかの劣等生だもんな~・・・」


「おや、また独り言かいシャレイル」


「ん?ああ、グランツか。久しぶりだな」


「うん、久しぶりだね。元気だったかい?」


「俺は何時もどおりさ。お前は今年も騎士科のトップ頑張れよ」


「君に言われると完全に嫌味なんだけどね」


苦笑してそう答えるグランツ。彼は、騎士科期待のホープで既に准騎士の推薦が来ている優秀な生徒だ。・・まあ、俺は騎士の中でも2番目に栄誉ある王国騎士団から推薦が来ているから本当に嫌味にしか聞こえないんだろう。


グランツは俺の騎士としての実力を知る数少ない学校の友人だ。彼は現在騎士科の2年生で同級生、そして圧倒的な実力で騎士科全体でトップの成績を上げており、今や騎士科を代表する生徒として君臨している。


何故グランツに俺の実力がばれたかだが・・・簡単に説明すれば、去年騎士の家の俺が魔法師科に居る事を憤り俺に決闘を仕掛けてきた。何でも俺は騎士科に相応しいから自分が勝ったら騎士科に移転しろと言うのだ。俺は騎士科には行く気が無かったので珍しく本気で戦い圧勝。


学園長と学年主任、魔法師科と騎士科両方、のみが見ている決闘であったため実力バレが最低限で済んだのは僥倖だった。それから、先生の俺を見る目が多少改善された。と言っても責任の重い役職の先生だけに情報を教えたらしくほかの一般教師からの評価は相変わらず低い。


その決闘後からグランツは俺によく絡むようになった。最初は苛立ったが、少しするとどうでも良くなり適当に扱う事にした。そして、グランツは准騎士の推薦が来ていると言ったが・・・実は俺が上のほうに推薦した。


結構骨があり将来有望だと伝えると、俺が他の騎士を褒めているのは珍しいと話になり、俺が定期的に通っている王国騎士団の修練にグランツを呼ぶように言われ連れて行き、その結果准騎士の推薦を実力で獲得した。最初は俺の推薦があったとはいえ准騎士の推薦は紛れも無く実力で獲ったため誇れるぞとグランツに言うと、最初は喜びの顔を見せたがその後顔を引き締め、「シャレイルは王国騎士の推薦を貰っているのだろう?お前は俺の目標だからな。准騎士の推薦くらいで喜んでたらあっという間に置いて行かれちまう。俺は、まだまだ強くなりたいんだ」と野望に満ちた目をしていた。


それ以降、グランツは毎日授業後に修練をしに行き着実に実力を付けていっている。そろそろ巡回騎士と戦ってみても良いと思う。そしてそのレベルの高さを見せつけ、それによってグランツの実力も上がる筈だ。


「ん?どうしたんだ黙り込んで」


「いや、そろそろ巡回騎士と戦ってみても良いんじゃないかなって」


「確かに今戦ったら善戦出来るとは思うけど・・・もう少し基礎を固めたいから遠慮しとくよ」


「む。そうか・・・。まあ、学生のうちに強力な土台を作っておいたら後から複雑な剣技を使う時にもスムーズに動かせるから良いと思うぞ」


「・・・因みに、シャレイルは何時俺くらいの土台を持っていたんだ?」


「家は騎士の修練は5歳から始めるから俺が10歳の時には今のグランツより少し上くらいは有ったぞ?12で一応王国騎士団員無傷で倒せたくらいだしな」


「完全に嫌味だよな・・・。それは天賦の才だけ、な訳無いよな」


「当たり前。コレでも血の滲む努力をしているんだぜ?まあ、それを表に出さないようにしているんだけどな」


「・・・努力は誇るもんじゃないって事だな」


「多少は誇っても良いけど過度に誇る必要は無いのさ。准騎士の推薦取るのに努力したって言うのは良いけどそれで、俺はこうこうこう言う事をしてこんな風に戦ったから取れたんだぜって詳しく言って誇るのは愚図のすることだな」


「ああ~・・・。うちの科にいたな。俺がいかに努力して10位に入ったかってえばってた奴。まあ、その後弱みを握って対戦相手をわざと負けさせたことがばれて止めさせられてたけどな」


「あんな奴が騎士団に入るのは勘弁だからな。そうそう、アイツの家潰れたらしいぜ」


「マジかよ!何で潰れたんだ?」


「何でもアイツの親がやってた賄賂とか財産偽装がばれて断絶らしいぜ。それと、どっかの名家がアイツの家の不正を垂れ込んだんだとよ」


「へ~・・・・ちなみにどの家が垂れ込みしたんだ?」


「勿論フランブルグ家だけど?」


「やっぱりお前かよ!!」


「そりゃな!騎士の世界において不正なんぞゆるさねーよ!」


「・・・流石だな」


「ま、剣に不誠実なのはむかつくからな」


「流石は、騎士の家系の上位家は違うな」


「グランツ・・・。お前も上位家の一つだろーが」


「ははっ!確かに上位家だけど、お前の所みたいに頂点に近い訳じゃないからな。考え方も柔軟なんだよ。ま、その点魔法も覚えようとしているシャレイルも柔軟だよな」


「・・・(言えね~。実は魔法使えるから行ってるなんて言えね~)」


「あん?どうしたまた黙り込んじまって」


「いや、そろそろ始業式始まるんじゃねーか?」


「えっ!?もうそんな時間かよ・・・。じゃあ、また後でな!」


「後にも会うのかよ・・・って行っちまいやがった」


はぁ~と息を吐き出し、俺も魔法師科の始業式に向かう。


因みにさっきまで話していたグランツ、本名を『グランツ・エル・ルインズ』は、さっきも言った様に騎士の家の中でも上位に入る。うちは限りなく頂点に近い家と呼ばれているが、グランツの家は、精々巡回騎士のトップをはれる人間しか輩出した事が無い。


では何故上位に入れるのか。それはルインズ家がどの騎士の家の中でも最も連携に優れているからである。上位家は7つあり、その中で頂点をほぼ握っているのがうちフランブルグ。この家は代々英傑を輩出している。他の家はまた今度言うが、その中でもルインズ家は最下層に存在する。しかし、その特出した部分とは一人一人の練度はそこそこなのだが、こと集団戦においてルインズ家に勝る物なしと呼ばれる位連携が強い。


だから代々チームのトップを輩出し、その多くが集団戦において輝かしい功績を残しているルインズ家が上位家に入っているのだ。その中でもグランツは期待の星で、このまま行くとルインズ家始まって初の王国騎士団員になる可能性もある。アイツもまた、才能を持った一人なのである。


(考え事も良いが主よ、本当に時間が無くなってきておるぞ。早く向かう方が良いぞ)


「げっ!マジでやべえよ・・。仕方ない、腹括ってさっさと行きますか・・」


そうして俺はサンドラに急かされ魔法師科の始業式に向かった。

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