six 分岐点
六話更新しましたのでどうぞ
「おーい、春香、いるかー?」
俺は、額に流れる汗を袖でふき取りながら自分の家の隣、春香の家の玄関で叫ぶ。
「ふうっ。」
とりあえずさっさと早退してきたのはいいモノの、さっきの話がまるっきりの冗談だったって言う可能性もある。
でも帰ってきたからにはとりあえず春香の様子を見ないとな。
「どうしたの?京也。」
おっ普通じゃん、やっぱ嘘か。
「いや、今日学校休んだのがちょっと心配になってな。」
それを言った瞬間春香の顔が輝かんばかりの笑顔になって体当たりするように抱きついてくる。
「心配してくれたんだっ!嬉しい!!」
俺に抱き着く春香の顔はいたって普通の笑顔だ、そんな恐ろしいことを考えるような顔には見えない。
「あ、ああ、とりあえず風邪とかじゃあないんだな。」
そういって、引っ付いている春香を引きはがした俺は踵を返して学校に戻ろうと思ったところで呼び止められる。
「………どこ行くの?」
一瞬背骨に凍えるような冷気を感じて振り返ってみるとそこにはさっきと変わらずこちらを向いて笑顔で立っていう春香がいるだけだった。
さっき感じた冷気に疑問を覚えながらも俺は春香に聞き返す。
「どこって学校だよ、無事が分かったんだから戻らないと。」
その言葉に一瞬春香の目が細まった後、いつもと変わらない笑顔で「ちょっと疲れたでしょ…寄って言ってよ。」と催促する。
確かに走ってきたせいでのどがカラカラだ。
「そうだな、水貰っていいか?」
「うん………いいよ。」
春香の許諾を得た俺はのどの渇きを潤すために春香の家に入った
もしここで断って学校に戻っていれば、俺は春香の狂気を孕んだ一面を見ずに済んだかもしれない
今回は前回少し字数が多かったのでバランスをとるために短くしました。
ご容赦ください、感想お待ちしています