1 『プラスチック・ブルーと37.5度の熱』
1 『プラスチック・ブルーと37度の熱』
六月の教室には、特有の湿度がある。
梅雨の湿気ではない。三十五人の人間がする呼吸。服が擦れ合い、シャーペンが紙を走る音。抑揚のない教師の声。それらが混ざり合って醸成される、生ぬるい家畜小屋のような湿度だ。
僕は窓際の後ろから二番目という、物語の主人公が座るにはおあつらえ向きな席にいながら、ただひたすらに自分の気配を消すことに注力していた。窓の外を見るふりをして、視界の端で教室全体を俯瞰する。
ここはいわゆる「学校」だ。
社会に出る前の予行演習場であり、均質な部品を生産するための工場。
黒板の前で世界史の教師が、ナポレオンがどうとかいう話を眠たげに喋っている。クラスメイトたちは、ノートを取る者、スマホを教科書の影に隠して操作する者、突っ伏して寝る者と、それぞれの役割を忠実に演じていた。
その灰色の景色の中で、一箇所だけ、異質な色彩を放っている場所がある。
教室の中央、三列目。
月島レイナの背中だ。
彼女のシャツだけが、なぜか他の生徒よりも白く見える。窓から差し込む光が、彼女の艶やかな黒髪に天使の輪のようなハイライトを描いている。
月島レイナ。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群。ついでに生徒会長。この学校の食物連鎖における頂点捕食者であり、誰もが認める「美少女」だ。
休み時間になれば、彼女の周りには常に人が集まる。男子は媚びるように冗談を飛ばし、女子は彼女の持ち物を褒めちぎる。彼女はそのすべてに、完璧な角度の微笑みで応対する。
まるで、高性能なAIが搭載されたアンドロイドみたいだ、と僕は思う。
エラーを起こさない。バグもない。入力された「期待」というコマンドに対して、常に最適な「正解」を出力し続ける。
僕のような、金型の隅っこで成形不良を起こしたような人間とは、パーツの構成材質からして違う。
ふと、月島レイナが顔を上げ、窓の方を見た気がした。
僕は慌てて視線を逸らし、スラックスのポケットに手を突っ込む。指先に触れる、硬質で冷たい感触。
ポケットの中のポリキャップ。これが僕の命綱だった。この息苦しい有機的な空間の中で、唯一、僕を論理的な世界へ繋ぎ止めてくれるアンカー。
チャイムが鳴る。
昼休みを告げる音は、工場の一斉休憩の合図に似ていた。
「月島さん、今日のお昼、一緒にどう?」
「あ、ごめんね。ちょっと生徒会室に用事があって」
「えー、また生徒会? 勤勉すぎ」
華やかな声を背中で聞き流しながら、僕は誰とも目を合わせずに教室を出る。
目指す場所は生徒会室ではない。もっと静かで、埃っぽくて、生と死の匂いが混在する場所。
北校舎特別棟の四階、生物準備室だ。
生物準備室の鍵は、本来生徒が持っていていいものではない。
だが、顧問の佐伯というやる気のない教師は、「管理が面倒だから」という理由で、唯一の生物部員である僕に合鍵を渡していた。
部員といっても、活動らしい活動は何もしていない。水槽のメダカに餌をやり、観葉植物に水をやる。それ以外、ここは僕の聖域として機能していた。
重い扉を開けると、鼻をつくアルコールの匂い。
僕は慣れた手つきで鍵を閉め、一番奥の実験台に向かう。そこには、読みかけの雑誌や参考書によって巧妙に作られたバリケードがあり、その内側に僕の作業スペースがある。
鞄から取り出したのは二つ。
一つは、コンビニで買ってきた味気ないおにぎり。
もう一つは、RG1/144スケールの「ガンダム」の箱。この箱のデザインがたまらない。
アニメの戦闘シーンを描いた派手なイラストではない。白を基調とした背景に、精緻なCGで描き出されたガンダムの顔がアップで置かれ、その傍らには端正な全身の立ち姿が添えられている。圧倒的な説得力を持って配置されている輝くゴールドの『REAL GRADE』のロゴと、機体番号『RX-78-2』のタイポグラフィは圧巻だ。
まるで高級時計や、精密な光学機器のパッケージのような佇まい。それは単なるキャラクターモデルの箱であることを忘れさせるほどの、冷徹なまでの美しさを湛えている。
そこにあるのは「子供のおもちゃ」という甘えではなく、「1/144スケールで本物を追求する」という、バンダイの技術者たちの狂気じみた矜持だ。
この箱を眺めているだけで、僕は陶酔できる。
なぜなら、この漆黒の箱は約束してくれているからだ。この中には、数百個の微細なパーツが詰め込まれていて、それらを正しく組み合わせれば、必ず「正解」という名の完璧な立像が手に入るのだと。
混乱も、理不尽も、曖昧な人間関係もない。
ただ、純粋な論理と精度だけが支配する世界への入り口。
僕は指先で箱の角を愛おしむように撫でると、ゆっくりとその封印を解いた。箱を開ける瞬間、僕の脳内でドーパミンが分泌されるのを感じる。
色とりどりのランナー。整然と並ぶパーツたち。説明書に記された複雑な工程。
これらはすべて計算されている。AのパーツとBのパーツを組み合わせれば、必ずCという形になる。そこに曖昧さは一切ない。人間の感情のように、日によって形が変わったり、突然爆発したりしない。
僕はタミヤの薄刃ニッパーを手に取り、白い装甲パーツをランナーから切り離した。
パチン。
小気味よい音が静寂に響く。
切り口に残ったゲート(注ぎ口の跡)を、八〇〇番のサンドペーパーで丁寧に削る。白化させないように、力を入れず、円を描くように。
シュ、シュ、シュ。
無心になれる時間。
教室での僕は「地味で無口な生徒」という不確定な存在だが、ここでは「製作者」という神になれる。指先一つで、モビルスーツという鋼鉄の巨人を組み上げていく創造主。
削り終えたパーツを光にかざす。完全な平面。美しい。
僕はふうと息を吐き、おにぎりの包装を破った。
その時だ。
ブーン、という低いモーター音が、部屋の隅から聞こえてきた。
忘れていた。僕以外にもここに住人がいることを。
僕は食べかけのおにぎりを置き、部屋の隅にある棚へ向かった。そこには、佐伯先生が気まぐれで購入した、家庭用の小型孵卵器が鎮座している。
透明なドーム状の蓋の中、三つの卵が転がっていた。
設定温度は三七・五度。湿度は六〇パーセント。
ウィーン、と僅かな駆動音がして、卵を載せたトレーがゆっくりと傾いた。自動転卵だ。定期的に角度を変えることで、中身が殻に癒着するのを防いでいるらしい。
さっき入れたばかりの卵だ。卵が孵化するまでにかかる時間は二十一日。五〇四時間。
僕は蓋越しに中の熱を感じ取る。
温かい。プラスチックにはない、生き物の温度だ。
この中ではいま、細胞分裂という爆発的な変化が起きようとしている。ドロドロの白身と黄身が、骨になり、血管になり、心臓になり、羽毛になる。
設計図なき変形。
ガンプラのように「説明書通りに組めば完成する」なんて保証はどこにもない。温度が一度下がれば死ぬかもしれない。湿度が足りなければ、殻が硬すぎて出られないかもしれない。
なんて不安定で、不合理なシステムだろう。
「……おまえたちは生きてんのか?」
僕は卵に問いかける。返事はない。ただ、指先に微かな熱が伝わるだけだ。
この卵たちは、いずれ「ひよこ」になる。
黄色くて、ふわふわで、か弱い命。
この過酷な学校という戦場に放り出されるには、あまりにも無防備な存在。
ガチャリ。
突然、準備室のドアノブが回る音がした。
僕は心臓が跳ね上がるのを感じた。鍵は閉めたはずだ。佐伯先生か? それとも見回りの用務員か?
いや、鍵が開く音がしなかった。ノブが回っただけだ。
ガチャ、ガチャ、ガチャ。
しつこくノブが回される。そして、コンコン、と控えめなノックの音。
「……佐伯先生? いらっしゃいますか?」
その声を聞いた瞬間、僕は全身の血が凍るかと思った。
聞き間違えるはずがない。教室で毎日聞いている、あの上品で、どこか作り物めいた声。
月島レイナだ。
なぜ、彼女がここに? 佐伯先生がこの時間に、ここにいたことなどないのに。
思わず、辺りを見回す。
ガンプラのパーツやおにぎりが散乱しているこの惨状を見られるわけにはいかない。特に、こんなオタク趣味全開の現場を、スクールカーストの頂点に見られたら、僕の平穏な高校生活は「キモい認定」と共に終了する。
居留守を使おう。
僕は息を潜めた。こうしていれば、足音は去るだろう。彼女は忙しい人気者なのだから。
しかし。
カチャリ。
金属音がして、鍵が回った。
嘘だろ。
扉がキィィーと開き、六月の湿気を含んだ廊下の空気と共に、彼女が入ってきた。
「失礼しまーす……あれ?」
月島レイナは、手の中に「生物準備室」と書かれたタグのついた鍵を握りしめていた。佐伯先生から借りたのか。
彼女の大きな瞳が、部屋の中をスキャンする。
ホルマリン漬けの標本。人体模型。
そして、実験台の奥で固まっている僕と、その手元に散らばるガンダムの生首。
目が合った。
数秒の沈黙。換気扇の回る音だけがやけに大きく聞こえる。
「……あ」
月島レイナが短く声を漏らした。
教室で見せる完璧な笑顔はそこになく、あるのは、予期せぬバグに遭遇したような、無防備な驚きの表情だった。
「……佐藤くん? だよね。うちのクラスの」
名前を覚えられていたことに驚くべきか、この状況の絶望感に浸るべきか。
「……なんで、鍵を持ってるの……?」
僕の声は、情けないほどにかすれていた。
「あ、これ? 前の時間に佐伯先生に頼まれたの。『プリント取りに行くの面倒だから、月島、代わりに行ってきてくれ』って」
彼女はため息まじりに言いながら、僕の方へ歩み寄ってくる。
逃げ場はない。
彼女の視線が、机の上の物体に固定された。
「それ」
彼女の細い指が、僕の作りかけのRGガンダムを指差す。
「ガンダム……だよね?」
終わった。蔑まれる。「高校生にもなっておもちゃ?」と笑われる。僕は身構えた。心のATフィールドを最大展開して、来るべき嘲笑に備える。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。大丈夫。耐えられる……はずだ。
だが、彼女の口から出た言葉は、予想外のものだった。
「……すごい。これ、めっちゃ細かいね」
「は?」
「これ、色塗ってないんでしょ? プラスチックの色だけで、こんなに綺麗なんだ」
彼女は顔を近づけ、まじまじとパーツを見つめた。シャンプーの、甘い花の香りが鼻をかすめる。距離がめっちゃ近い。近すぎる。
「……やすり、かけて磨いてるんだね」
「え」
思わぬ言葉に、アホみたいな声が出た。
「ここ。爪の先くらいしかない部品なのに、表面がつるつるになってる。佐藤くんが削ったの?」
意外な指摘に、僕は思わず頷いていた。
「……ゲート処理だ。ランナーから切り離した跡が残ると、完成度が下がるから」
「へえ……。見えないところなのに?」
「見えないところだからこそだ。内部フレームの噛み合わせが悪くなると、可動域に影響が出る」
早口で喋ってしまった。オタク特有の、聞かれてもいない解説。やってしまったと口をつぐむ。
しかし、月島レイナは僕を馬鹿にするどころか、どこか遠い目をして呟いた。
「いいなあ」
「何が」
「削れば、綺麗になるってこと」
彼女はふらりと実験台の椅子の一つを引き寄せ、どかりと座り込んだ。スカートのプリーツも気にせず、背もたれに体重を預ける。
「私はさ、削っても削っても、中から汚いのが出てくる気がするんだよね」
その言葉の響きは、教室の彼女からは想像もできないほど、深く、重く、疲弊していた。
なんで僕にそんな話をするんだ? まさか僕のことが好き……とか? いやいや、ないだろ、そんなマンガみたいな展開。でももしかしたら、ちょっとくらいは可能性がある? ATフィールドを少し弱めてみようか。
などと想像、いや妄想をしている時、生物準備室に不格好な音が鳴り響いた。
ぐうう、という、低く、長く、そして切実な振動音。
僕ではない。
実験台の椅子に座り込み、アンニュイな表情で遠くを見ていた月島レイナの腹の虫だ。
彼女の表情が凍りついた。頬に差していた化粧の赤とは明らかに違う種類の赤色が、耳の先まで一気に広がっていく。
「……いまのは……」
月島レイナは恥ずかしそうに口を開いた。
「ああ。腹の虫……だね」
「忘れて」
「善処する」
無理な相談だった。あの完璧な美少女が空腹で腹を鳴らす。その事実は、彼女を構成している高解像度のテクスチャを剥がし、ただの生身の女子高生へと引きずり下ろすのに十分すぎる破壊力を持っていた。
彼女は両手で顔を覆い、深い溜息をついた。
「……お昼、食べる時間なかったの」
指の隙間から、言い訳が漏れる。
「次の英語の予習と、生徒会の資料作成と、あと進路指導室に呼ばれてて」
「ブラック企業だな」
「ほんとそれ。……お腹すいた」
その声はあまりに無防備で、僕は毒気を抜かれたように肩の力を抜いた。なんかいつもの月島レイナよりずっと身近に感じられる。
僕は視線を彷徨わせ、実験台の脇に避難させていたコンビニの袋を見た。
「……食うか?」
「え?」
「これしかないけど」
僕が取り出したのは、「メロンパン」だ。
ただのメロンパンではない。学内の購買部で一日限定五十個しか入荷しない、隣町の有名ベーカリー『こむぎ』の特製メロンパンである。外側のクッキー生地のカリカリ具合と、中の生地のしっとり感のバランスが絶妙で、昼休みのチャイムと共にダッシュしなければ手に入らない代物だ。僕にとっての、ささやかな勝利のトロフィー。今日のおやつだった。
月島レイナは目を見開いた。
「それ、『こむぎ』の?」
「知ってるのか」
「知ってるもなにも、いつ行っても売り切れで買えたことないよ」
「やるよ」
僕は袋ごと差し出した。
「半分こ、とかいう器用なことはできないから、全部やる」
彼女は一瞬躊躇したが、生存本能には勝てなかったらしい。ありがとうと小さな声で言い、袋を受け取った。
ガサガサと袋を開ける音。いただきますという声に続いて、サクッという軽快な音がした。
彼女は上品に、しかし大きな一口でメロンパンにかぶりついた。
「……ん!」
口元にクッキーの欠片をつけたまま、彼女が目を輝かせる。
「おいしい……。すごい、なにこれ。外側がサクサクなのに、中がふわふわ」
「だろ。そのギャップがいいんだ」
僕はデザインナイフの刃先を交換しながら応じた。
彼女は夢中で食べている。リスか何かが木の実を頬張っているようだ。教室で見せる、あの計算され尽くした食事風景とは別人のようだった。
「……甘い」
半分ほど食べたところで、彼女が呟いた。
「疲れてたからかな。砂糖の味が、脳みそに染みる感じがする」
「糖分は脳のエネルギーだからな。メンテナンスには必要だ」
「メンテナンス、か」
彼女は残りのパンを見つめ、自嘲気味に笑った。
「佐藤くんって、面白い言葉選びするよね。私を機械みたいに言う」
「誉め言葉のつもりだけどな。バグがないってことだろ」
「バグだらけだよ。ただ、外側の装甲を厚く塗り固めて、見えないようにしてるだけ」
彼女は指先についた砂糖を舐め取った。
「このメロンパンみたいにさ。外側は硬くて甘くて綺麗だけど、中はスカスカかもしれない」
そんなことはないと思う。少なくとも、僕が知る限り、彼女は中身も詰まっている人間だ。だが、いまの彼女に何を言っても空虚に響くだけだろう。
僕は作業に戻ることにした。
黙々とRGガンダムの脚部フレームを組む。
月島レイナは、残りのパンをゆっくりと食べ終えると、満足げに息を吐いて、「ありがとう。ごちそうさまでした」といった。
ばあちゃんが言っていた言葉を思い出す。ありがとうとごちそうさまを言える人は貴重だと。月島レイナはガンベ(ガンダムベース)限定のガンプラ並みのレアものなのか?
月島レイナが勢いよく立ちあがる。ブルーチェックのスカートがふわりと舞った。
帰るのかと思いきや、月島レイナは部屋の隅にある孵卵器の前へ移動してしゃがみ込んだ。ブラック企業に属していながら、いまは暇なのか? プリントを持っていかなくていいのか?
「ねえ、これ、卵孵してるの?」
彼女がガラス越しに中を指差す。
「ああ」
「まだ生まれないの?」
「さっき入れたばかりだからな。予定日は三週間後だ」
「三週間? そんなにかかるの?」
「ああ。いまはまだ細胞分裂が始まったばかりだ。これから殻の中で、ドロドロの中身が心臓になり、血管になり、生きるためのシステムを構築していく」
僕はパーツを磨いている手を止めて、彼女の隣にちょっと距離を置いてしゃがむ。
孵卵器のデジタル表示は三七・五度を示している。
ガラスの向こうには、三つの白い卵。物言わぬ楕円形の物体。
「……温かいね」
月島レイナがガラスに手を触れた。
「ここだけ、学校じゃないみたい」
「どういう意味だ?」
「学校は冷たいもん。エアコンの風も、教室の空気も、みんなの視線も。……でも、ここは三七度ある。微熱の温度だね」
彼女は膝を抱え、卵を見つめ続けた。
「私さ、またここに来ていい?」
唐突な問いに、僕は言葉を詰まらせた。
「……退屈だぞ。おれはプラモ作ってるだけだし、卵は動かないし」
「いいの。静かな場所が欲しいだけだから」
彼女は上目遣いに僕を見た。
「それに、この子たちが生まれるところを見てみたい」
断る理由はなかった。というか、スクールカースト最下層の僕に、頂点の彼女の願いを却下する権限など最初から存在しないのだ。なんか我ながら卑屈だな。
「……好きにすればいい。ただし、条件がある」
「条件? メロンパンを返せとか?」
「返せっていうなら、元々あげてない」
「冗談だって」
女子耐性のない僕には、本心か冗談かの区別なんてつくはずがない。
「おれがここにいることと、ガンプラ作ってることは、誰にも言うな」
一瞬の沈黙の後、月島レイナの目が笑った。
「善処する」
どこかで聞いたことのあるセリフを口にした後、彼女はクスっと笑った。それは作り物ではない、共犯者の笑みだった。
「了解。二人だけの秘密ね」
二人だけの秘密……。なんだか心がムズムズとした。だけど、それは不快ではなかった。
こうして、僕らの奇妙な関係は始まった。
それは僕にとっては青天の霹靂……いや、曇天の快晴だった。




