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風任せで人任せな俺がここにいる理由  作者: 明月 文


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20/23

019 初回の作戦会議つか雑談

昔話が長くなったので2話に分けました。

 こうして時折、2人で雑談しながら歩いていると昔の旅を思い出す事も多くなった。


 先にも言った通り、今の俺とクラウの組み合わせは近距離の剣士と遠距離の弓師。素人目で見ても魔法使いと剣士の次ぐらいにはいい組み合わせだ。

 ちなみに剣士&魔法使い2人組の組み合わせの場合は、斬り込み&補助型と盾役&一掃型があるが、この世界ではどちらかと言えば後者が好まれる。特に剣士の適性は前者、後者どちらの戦い方であっても通常なら魔法使いの詠唱時間を守れる盾役の方がいい、とされる。剣士が守っている間に魔法使いが詠唱してなぎ倒す、という戦い方だ。


 俺らの場合、クラウは盾役も出来んわけじゃないだろうが装備的にも盾はなく、性格的にも斬り込み先制攻撃型だ(笑)。

 そして俺は詠唱不要な弓師だから、双方で素早い物理攻撃が、しかも遠近両方で出来るから、剣士&魔法使いコンビとは違って、斬り込み&補助型が最適正だろう。


 現状に比べ、最初の旅の時の日本から来て生き残った俺ら3人の組み合わせは、微妙な感じだった。自分達で組んだというより生き残ったのが俺らだけだったから仕方なかったわけなんだが。

 その生き残り3人組の組み合わせは、確実に遠距離で詠唱する時間も必要な真性魔法使いマサさん、本来遠距離なのかも知れないが少なくとも最初の頃はその射程の短さから中距離という中途半端なレーザー使いの俺、そして距離不明だが少なくとも短距離物理じゃない死人使いのシイちゃんだ。


 この微妙な組み合わせの一番の問題は戦闘スピードだった。


 マサさんの魔法は威力絶大だが詠唱時間が必要だし、広範囲をカバーしようと思えばフレンドリーファイアを防ぐ為に仲間に退避を呼びかける必要がある。意外と実戦闘ではこれがメンドーで、しかも前衛が退避行動する時間も必要だからワンテンポ、ツーテンポ遅れる。戦闘では致命的な遅れだ。大量の敵、強い相手であれば強力な魔法が必須なのでそれでもいいが、普通にCクラス程度の敵が群れて襲ってきた場合には素早く戦闘に参加出来ない欠点の方が大きい。


 死人使いのシイちゃんに至っては俺らが何かを倒してからが出番だ。

 死体があれば敵が味方に早変わりだから戦闘がいきなり有利に転ぶことも滅茶苦茶多かったが、先立つ死体がなければ戦闘力ゼロだ。一応、鎧っぽいモノは着てはいるが、盾や剣で受けられる騎士なんかに比べれば紙防御に近く、相手の先制攻撃を受ける手段も持たない。

 とにかく先制攻撃する手段がなく、受ける手段も持たないから前衛は向かない。


 レーザー使いの俺は、少なくとも初期の頃は剣士みたく自分から距離を縮めて戦うタイプではなかった。相手が射程距離に入るのを待つタイプだ。

 しかもレーザーには精神力が必要で今はともかく最初の頃は速射も連射もそうそう効かなかった。

 それでも弓よりかは速射出来るってことで3人の中じゃ一番前衛向きだから試練の迷宮では最後の方は剣士の林田さんと並んで前衛してたが、剣やら刀やら近距離戦闘武器は剣士のようには扱えない。無論、戦闘で盾役も務まらない。


 つまり俺ら3人には近場で先手必勝で飛び出せるヤツがいないのだ。


 反面、護衛と称する女騎士4人は正統派剣士のアイーシャ、短めの剣とナイフ使いで同じく超接近戦を得意とするレニ、普段はやはり近距離の剣士だが弓も使えるから場合に応じ遠距離も可能なミリー、そして後衛の回復兼防護役のリリアと近接戦闘面ではバランスが良かった。

 俺ら野郎組が物理攻撃力、防御力、それに瞬発力と実戦闘に大いに必要とされる能力が全く劣る使えない子達だったせいもあって、旅の少なくとも最初の方は彼女達がメインで戦いまくっていた。

 とにかく彼女達は即時戦闘力があるので普段のD、Eクラスの魔物なら、結構数がいてもそれこそ俺ら使えない子達が何もする間もなく、彼女達が飛び出してサクサク倒してくれる。


 それも楽でいいかも知らんけど、いつまでもそういうわけにもいかない、のは俺らも分かっていた。

 D、Eクラスなら何とでもなるが、それ以上には一致協力して当たる必要があるし、最終的には魔王戦だ。俺らも戦闘経験を積まないと魔王に行きつく前にくたばっちまうのは、試練の迷宮の経験でよく分かってる。


 それに何だかんだで俺らも男の子だ。

 女の子だけに(しかも戦闘で)働かせるのは何か居心地が悪い。俺らは良くも悪くもギリ昭和なのだ。


 だいたい仮にも勇者と呼ばれているのだ。

 俺らとしても何か考えたいところだった。


「なんか効率が悪いな。」


 最後の方で俺ら勇者組3名と淑女騎士団上がりの4女騎士の7人で戦闘力をフルに活かせるフォーメーションがキッチリ組みあがってきた頃は、もうそんな話題は出もしなかったが、最初の頃、キャンプでシイちゃんがそこを話題にした。


「何が?」

「いや、ほら、俺ら真っ先に飛び出すタイプいねえし、こうやって行く先々でチマチマ魔物片付けてくのも手間暇かかり過ぎかなって。もっとのっけからドバッとサクサク行く方法はないかなって。」


 シイちゃんの話は真っ向から物理で戦おうという気がなく、少し斜めった解決法だったが、マサさんも更に斜めった方向で頷いた。


「まあ、それもそうかな。もっと楽してえよな。」


 選ばれて随行者になった彼女達は戦闘以外にも色々な能力が高い。

 野営能力もその1つで、彼女達はテキパキとテントを張って、捕まえた獲物と山菜で料理する。現代日本に育って、特にアウトドアとかサバイバルに詳しくもない我々にとっては、非常に助かる存在だ。

 今考えると、俺ら現代日本組だけで旅立っていたら2日目辺りで魔物に殺られるのではなく飢え死にしてたかも知れん。


 今も彼女達は俺らの作戦会議っていうか雑談を無視して、野営の準備をしていた。


 今日の食事当番はリリアだ。

 白魔導士の彼女は余興ではないだろうが後方支援の専門家でもあって、有り合わせの部材での料理にも長けている。今日は期待できるな。


「タカトがブワッて薙ぎ払ったらよくねえか?」

「ああ?俺の特技はレーザーっすよ?」

「んなこたあ、分かってる。」


 シイちゃんが右手を伸ばして水平に振り回した。


「レーザーでブバって焼き払ったらいいじゃん。」

「そんな簡単にゃいかねえんスよ。」


 俺は水筒の水を、うんぐっと飲んで説明した。

 水場の近くにキャンプを張ったから、飲み切って大丈夫だ。


「まずレーザーをヒトの、つか魔物の皮膚を貫通するぐらいの熱に高めにゃなんねえっす。レーザーポインターじゃねえんだ。これって普通の火魔法を細身に収束させてんのと一緒だから、魔物を焼ける温度プラス収束で、使ってる魔力がハンパねえんすよ。」


 魔法使いのマサさんが鎧の下に手を突っ込んで腹を掻きながら頷いた。

 その頃には俺らもだいぶ慣れてきてはいたが、鎧の下は汗が溜まって痒い。


 一度、アイーシャに「痒くない?」って聞いてみたら残念な子を見る眼差しで見られた後、「…紳士は女性にその様な話題は振らないものですよ。」と目が全く笑ってない笑顔で言われた。ちょっと怖かった。かなり反省した。


「まあな。説明されっとそれは分かる気がするわ。」

「それに距離があると威力が減衰すんすよ。長くしようとすると、そんだけまた魔力がかかる。コントロールもムズい。」

「おう?」

「だから、よく狙って撃たにゃならんし、薙ぎ払うみたいな使い方するとなると、見た目が派手な割に効かねえし、なのに大魔法並みの結構な魔力喰うンスよね。」


 マサさんが考え込んだ。


「…つうと、何か?ほら、映画の何とかサーベルみたいな使い方ってのは…」

「常時、あのレベルでレーザー実体化すんのは凄んげえ難しいし、仕組みから考えて、先の方にいけばいく程、斬れないって不思議なモンが出来上がりますよ。」

「マジか?」

「それに見た目は剣だけど、実際は熱の塊に過ぎんから、相手の剣とか受けると、接触した部分だけ剣がジュッと溶けるか、溶け切らんと、そのまま素通り。受けたりは全然ムリ。」

「お前、やった事あんな?」

「おう!ライトサーベルは漢のロマンっしょ!」


 俺は一応、形だけは持ってる短めの剣を抜いて上から下に軽く振って見せた。


「受けた相手の剣の根元辺りはジュッってイったけど、上の破片は勢いついてそのまま真っ直ぐまんま飛んできた。しかも鉄溶かす温度を維持するだけで、ヘロヘロっすよ、ヘロヘロ。」

「マジか?」

「だって、アレっすよ?炎上級魔法のブリザードファイアを手元で常時発現の上に、拡散せん様にコントロールしてる様なモンすよ?もうバカか?ってぐらい魔力喰うんだわ。」

「え!?飛んできた剣、どーした?」

「そのまま顔面にぶち当たったけど、面、下ろしてたから無事だった。でもマジ痛かった。」

「マジバカだな。」

「自分でもそう思った。隙間とかに刺さってたらヤバかったし。」


 シイちゃんがヘラヘラ笑いながら総括した。


「タカトのその話だけ聞いてっと、レーザー、マジ使えねえな。」

「そうでもないっすよ…つか、いつも見てんでしょうーが!」


 俺が吠えるとシイちゃんは冗談だよ、という風に無言で手をヒラヒラさせて答える。

 俺も別にマジでキレたわけじゃない。俺は胸を張った。


「いつも見てっと思いますけど一瞬だけなら、そう魔力は喰わねえ。詠唱不要で速射可能。直線でマジックミサイルみたいな使い方なら充分イケる。しかも光の速さだから、人間だろうが魔獣だろうが、見てから避けるとかマジムリ。最強じゃないすか?」


 が、俺の完璧なはずの俺最強説にマサさんが単純に異を唱えた。


「え、でも、この前、魔獣、避けてたじゃん?」

「アレは避けたっていうか、偶然動いたっていうか、つか俺がただ外したっていうか!」


 マサさんの反論を一瞬で潰した(?)のにシイちゃんも言った。


「迷宮の奴ら、当たっても死ななかったヤツいたじゃん。」

「だーかーら、今はそうでもねえけど、相手を貫くまで収束かけんのが大変なんだって!でも人間程度の相手だと、俺の手が一瞬光った瞬間に相手が倒れて死ぬみたく見えると思うんで、結構イケるかも。」

「まあ、でも俺ら基本、人間相手はねえけどな。」


 後日、北〇の拳に出て来る様な、お話合いとか考えるだけ無駄っぽいヒャッハー系な盗賊が襲って来て、人間相手も充分あると言う事を否応なく思い知らされた。ああいうの本当にいるんだ!って思った。

 けどこの時はまだ魔獣相手だけだったので、俺も頷いた。


「まあ…そうっすね。」


パチパチパチ。


 ミリーが上手に焚火をつけ、薪が燃える音がし始めた。


「…それに魔力は喰いまくりだけど、いざとなれば薙ぎ払うみたいな使い方も、まあ全然ムリじゃないっすけどね。」

「使い様って訳だな。」

「それ言ったら、シイちゃんの死体使いだって一緒じゃん。相手、殺したって、アタマ潰したら、耳も聞こえないからコッチの命令は聞こえんし。脳もないから、ヘタすっと立てもせんから戦力にならんし。」


 マサさんがくっくと笑った。


「だよな。こないだのレッサーボアみたく、ひっくり返ったまんま、ただ手足ヒクついてるだけだもんな。」

「手足ぶち切って失血死したサラマンダーもヒデかったっすよね。そもそも、コッチの言う事が分かるアタマないから、動けねえは、見当違いの方に炎吐きまくりだわで。」

「結局、命令とかが分かんねえヤツには中途半端に意味ねえんだよな、シイちゃんの魔法。」


 マサさんと2人で調子こいてディスってるが、実際にはそうでもない。通常のネクロマンサーの使うそれとは違い、シイちゃんの死人操り、つか死体操りは強力かつ特徴があった。


 元々、アタマが一定以下のパー系統な魔物はこちらの言う事は聞かないかも知れないが、逆に一定以上の奴はよく言う事を聞く。命令を理解する脳のない奴らも目に見えるモノを敵、つかエサとして認識する。

 なので、通常は術者を除く周囲のヤツを見境なく攻撃するわけだが、シイちゃんがかけた場合、マスターであるシイちゃんを攻撃しないだけでなく、こちらのパーティー全員を何でか敵とは認識しない。だから制御は出来なくとも、勝手に俺ら以外の敵の方へは向かっていく。

 その上、アタマが一定以上でも元々魔物の殆どは(多分)人語を解さないにも関わらず、ゾンビ化されればシイちゃんの命令だけは聞いて動くものも多い。人に懐いたり言葉を理解したりしないはずのホオジロザメがシイちゃんの言う事だけは聞く様な感じだ。

 しかも通常ゾンビと違って生きていた時と同じ速さで動く。

 

 そうは言っても、手足をブチ斬った場合には動けもせんでその場でジタバタ暴れるだけだし、アタマぶっ飛ばせば、目も耳もないから敵を認識する事も出来ず、間違えてこちらに襲って来る事もないではない。完全にアタマがないと脳神経がないのと同じだからか動けもしないのも多い。


「犬系統みたいのとかだともっとイケるんだと思うんだけどねえ。」

「マジっすか?んじゃ今度、ケルベロスとか出たら試してみよう!」

「3つ、アタマあるヤツだよな。んだったら1つぐらいは潰しても問題ないべ?」

「あ~でもよく考えたらそりゃ向こうも同じっすかね?3つ潰さねえと死なねえ感じ、しません?」


 実際にケルベロスに遭った事がまだ無かったこの段階では俺らのトークは楽勝ベースで景気よくスベっていたけど、本番はこんな余裕はなかった。

 なんせライオンぐらいの大きさで見るからに凶暴そうなドーベルマンにアタマが三つついてて火まで吹く。火吹かんでも吠えてるだけで腹に響くのがめっちゃイヤ過ぎる。

 おまけに防御も固く、中級ぐらいの魔法は皮膚だけで弾かれ、俺らの中で最も物理で威力あるアイーシャの一撃は歯で軽く受け止められてぶっ飛ぼされた。

 

 けど、この時はまだ脳内にしか彼らはいなかったので無問題だった。


 が、そんな俺らのアホトークに対しシイちゃんだけが違った。

 彼は俺らに厳しい口調で言った。


「だから何度同じ指示を言わせんだ!アタマ潰したらコッチの命令が聞けなくなんだよ!アタマ潰す以外の方法で殺せよ!」

「どうやって?」

「心臓、一突きするとかあんだろ!」

「ケルベロスって火吹くアタマから潰すのがデフォでしょ?心臓狙いとか無駄に難易度高えよなー。」

「やっぱし、オレ最強?」


 いきなりのドヤ顔のマサさんを前にシイちゃんと俺は考え込んだ。


「うーん…」

「あー全く認める気はねえけどなー。」


 俺らの微妙顔を他所にマサさんのドヤ顔は続いた。


「ほらほらほら!いい加減、認めんさい!」

「だって…」

「なあ…」

「だって、何だよ?」


 シイちゃんと俺は顔を見合わせた。

 考えてる事は全然一緒だ。どっちが口にするかだけで、しかも双方とも遠慮する気はない。むしろ「俺、言っちゃっていい?」と顔を見合わせたのだ。


「普通に魔法使いだもんな。」

「どこにでもいるタイプ?」

「詠唱長えとか、運痴とか、魔法使いの特徴、そのまま全部入りだよな。」


 レニがチラッとこちらを見て視線を戻す。

 メシ、出来たのかな?


「運痴とか言うな!それにお前らのソレ、欠点ばっかしじゃねえか!大魔法もいけるし、風火冷水土の5種使いだぞ!普通はいねえんだぞ!」


 胸を張るマサさんに対する俺らはハイハイと頷いた。


「まあ、小器用なのは認めるよな。」

「小とか言うな!」

「でも、1番、アタマ悪いのに高学歴枠の魔法使いとか意味が不明だよな。」

「一番アタマ悪いとか言うな!」

「だって、県立B高でダブって中退だろ?挙句、ゲーマーなろうとしてトチって、今、コンビニ掛け持ちとかアタマ悪過ぎ。」

「俺ら以外に友達とかいなそうっすよね。」

「うっせえわ!学歴は友達とは関係ねえだろ!」

「偏差値40の高校中退とか学歴って話じゃねえし。後衛なのにアタマ悪過ぎで指示出しも出来ねえし。」


 本来、戦闘時は後衛の魔法使いが指示出しの方がいい気がする。実際、女4人組の中では隊長はアイーシャだが戦闘中は後衛のリリアが指示出しする役目が多い。

 けど俺らの場合、マサさんが早々に「俺、指示とかムリそうだわ!」と明るく断言したので、試練の迷宮にいた時から指示出しはシイちゃんの役目だ。

 もっとも少し真面目な話で言えば、治癒、防御中心の白魔法使いと違い攻撃系の魔法使いは魔法を唱える必要があるので元々戦闘中の指示出しは向いてない、という面もある。


「アタマ関係ねえ!俺はソロプレー中心だったの!」

「ゲーマーなのにチーム苦手とか有り得なくね?レイドとかどーすんの?」

「そもそも今はソロプレーじゃなくないすか?」

「だいたい1人でネトゲとか意味が分からん。何が楽しいのかが分からん。理解できん。」

「やっぱ友達いねえんじゃん。」


 俺らの息もつかせぬディスりの連続にマサさんも負けじと喚く。


「だー!うっせえわ!『鬼畜の世界エロドランド』じゃ1人無双で有名だったんだぞ!」

「うっわ!ナニそのタイトル!?ネトゲっつうかエロゲっすよね!?」

「キモオタ丸出しだな。エロゲで無双とか、エバるとこ、そこじゃねえ感しかねえんだけど。」


 一転してドン引きの俺とシイちゃんの後ろでは女4人組がテキパキ働いている。


「だいたい魔法使いは護衛いねえと1人じゃ戦えねえし。」

「何するにも時間かかるの、戦闘じゃ致命傷って言っていいっすよね。」


 シイちゃんと俺の魔法使いに対するデフォルトのディスりにマサさんも抵抗する。


「バカやろう!大魔法で遠距離から纏めて薙ぎ払えば問題ねえんだよ!」

「こないだのアレか?威力も範囲も調整出来ねえから周囲ごとコナゴナだったじゃねえか。味方いるトコだと危なくて使えねえだろ。」

「でも役には立っただろが!」


 マサさんの主張の通り役には立った。けど俺も一言言わずにはいられない。


「無人だったからいいっすけど、村とかキレイサッパリ吹き飛んだし。」


 ウグッとなったマサさんにシイちゃんが追い討ちをかける。


「しかも、マサさんがクソ長え詠唱してる間、守ってる俺らの苦労もハンパなかったし。」

「よく考えたら、アレ、迷宮でやられてたら俺ら自爆で全滅っすよね、間違いなく。」

「オメエらじゃねえだろ!守ってくれたのはアイーシャ達だろ!」


 最初の頃は少しマジだったはずなのに、既に脱線し過ぎてワケが分からなくなって来た俺らに背後で準備してたミリーから声が掛かった。


「おう!リリアのスープはまだだけど、先に肉、焼くぜ!」

「「「おー!!!」」」


 俺らは全く有意義な結論が出ていないままだったが、高校生、大学生、20代のヤロウは肉の魅力には逆らえない。ミリーの声に俺らは申し合わせたかのように雑談をサックリ中断して立ち上がって火の方に向かった。



 今の俺はなるべく早くレーザーは使わない。人前では絶対に使わない。

 この世界で無双する事に興味もないし、前にも言ったが、前回が露見する可能性があるからだ。露見してマズいかどうかは分からないが、分からない間は俺は目立つ事はしたくない。


 今の俺は弓師だ。

 あの3年の旅の間、習い覚えた技は10年が経った今も役立っている。今の剣士クラウとの2人旅でもちゃんと役に立ってる。

 これは俺の才能云々とかは全く関係なくて、師匠が淑女騎士団で一番の弓師と言われたミリーだったからだと思う。彼女には感謝しかない。


次回からは次のフェーズに移ります。

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