時空泥棒
その男は親の顔を知らない
周りの人は「それは悲しいことだ」
と言うけれど男にとっては特に気にする要素では無い
夜が怖かった
よく分からない恐怖に身体と精神が蝕まれてゆく
奴は男の前に決して現れはしない
確実に見えないところから
じわじわと苦痛を与えてくる
毎度頭の中を奴に支配されかける
上手く酸素を吸うことが出来ず
ただ奴が消えるのを願う
最近では食欲も湧かず、
いつの間にか背骨が浮き出ていた
そして考えを巡らせているとカラスが泣き出す
こんな生活が続くと思うと存在価値を問いたくなる