銀河騎士隆盛記 零 天の章 51~52 タチの真価
タチの真価
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そしてそのタチが今、ここにあるということは無事に検閲を通過して、バサラバートに持ち込むことに成功したということになる。
このタチは、実は、ずっと長い間、ブルーノーズ号の修理工具ロッカーに放り込まれたままだったのだが、カンデンがベルセラを受け入れるに当たって、あったほうが良かろうということで、キンタに頼んで、修理工具ロッカーから持ってきてもらったものだ。
カンデンが久しぶりにタチを抜いてみると、植物油を多めに塗っておいてせいで錆も浮いていなかったし、刃こぼれもしていなかった。
アスラの滑石に相当する硬度と粒径の研磨剤も、ナイフの小売店に相談して、手に入れて、おいたし、それと一緒にタチに塗るのに最適な丁子油も用意しておいたので、屋敷のほうでカンデンが手入れをして、ベルセラの元へ、今、持ってきたという訳だ。
ベルセラは、カンデンが何故、タチを自分のもとへもってきたかということには、見当がまるで、ついてないという具合だった。
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「先生。そんな太古の刀剣が今、必要なのですか?」ベルセラがそう聞くのも無理はない。
そう問われてカンデンは「理屈で説明するのは簡単だが、それよりタチを取りまわすことの意味は、君が自分で実感するのが最良だと私は思う。とにかくタチを握ってみるといい。」と答えて、右手で持った柄を、ベルセラの左手に渡して、柄の先を握らせてから、右手を鍔もとに添えて、慎重にベルセラにタチを構えさせた。
「タチを青眼に構えて、振り上げてみて。柄の握り方は光線剣と同じだ。左手で柄の端の方をしっかり握ってささえ、右手で鍔、黒い楕円形の部分の元に右手を添えるようにして、握って。」そこでカンデンは言葉を止めた。
「そこで止まって。そこからタチを下段まで振り下ろすのだが、タチの重みと反動で左の脛を切らないように、慎重に振り下ろしてごらん。」
ベルセラは先生の言葉に従ってタチを、ゆっくりと振り下ろして、下段の位置でタチを止めようとしたら、思っているよりも遥かに強い力が、右手に加わって、柄が手から外れそうになった。このタチを取り回すのはそうとうの訓練が必要なことを、ベルセラはすぐに理解した。
カンデンはこのようなベルセラの感覚の鋭さを高く評価していて、早めにタチに慣れさせる方が良いと考えて、タチを持たせることにしたという訳だ。




