銀河騎士隆盛記 零 天の章 43~44 ベルセラとYWC2
ベルセラとYWC2
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そんな感じでベルセラのコッポ修行が、始まって一週間が過ぎた。ベルセラは素振りにも慣れてきて、一万回素振りをしても、痛くて手が肩から上に上がらないということも無くなった。
先生から勧められた、バスソルトを入れた、ぬるめのお湯に、肩まで浸かるという入浴法が効果、抜群だった。掌の豆は一度、全部、潰れてしまってから、また出来たが、痛みは一度目よりはだいぶ和らいだ。
日曜日の朝、いつものようにベルセラが素振りを始めようとすると、先生が来て「日曜日は、一日、身体を休めなさい。その代わりにアシナシ様(YWC2)からコッポの映像を見せてもらって学びなさい。修行も大切だが、学ぶことも必要だ。」と言われた。
先生から言われて初めて気づいたのだが、ブルーノーズ号の艇内を見学したとき、操縦席の真ん中に鎮座しているYWC2のことを、星間航行船修理特化型ロボットであるとカネノカタ(PE57Q)から紹介されて見知っていたが、そのYWC2が今日は屋敷に来ていた。
カネノカタの語るところによると先生から頼まれて、キンタがイオノクラフトでドックまで行って、連れてきたらしい。
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アシナシ様はベルセラを前にして「ピー・ギー・ジー・グギュルー」と電子音を発した。
傍らにいたカネノカタに「なんて言ったの?」と聞くと「身体の筋肉に軽い炎症を起こしているので、消炎剤を飲む必要があると言っています。」と言うと早速、カネノカタは薬を取りに小ホールを出て行ってしまった。
5分後、水の入ったコップを持ったカネノカタに、トローチ型の錠剤を二つ渡されて、ベルセラは有無を言う暇もなく、それを飲まされることになった。
カネノカタに長椅子に座るように言われたベルセラの、1メルト(1メルトは、ほぼ1メートル。)ほど前に、アシナシ様(YWC2)は座すと唐突に3D映像を展開し始めた。
その映像には白い合わせの着衣を、上半身から腰まではだけた壮年の男性が、太古の銀色の片刃の剣を振るって舞っている姿が映っていた。壮年の男の髪は黒く、瞳の色も黒かった。
朝霧に木漏れ日が差す中で、アスラの男は剣を手に、時には優雅に、時には力強く、剣を振るっていた。
その姿を見ているうちに、だんだん、ベルセラは自分の意識が、外に向かって広がってゆくのを感じた。それにつれて、下腹から頭の天辺まで、一筋の線が通り、頭の天辺に何かが達し、それが噴水のように吹き出した。同時に眉間に紫の雷光が迸った。




