銀河騎士隆盛記 零 天の章 37~38 健啖家のベルセラ
健啖家のベルセラ
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カンデンがナッツ類がふんだんに入ったパンケーキの皿を、テーブルに乗せ始めると、空のワゴンを、今度はキンタが持って台所に向かった。10分程してから、今度はキンタが、コーヒーを入れたポットとマグカップを三つ乗せたワゴンを持って、食堂から出てきた。
テーブルの各位にコーヒーを配り終わってから「サンマナで食べていた焼き菓子みたいですね、先生。」とキンタが嬉しそうに言った。
ベルセラは何のことかわからなかったが、デザートとして出てきたパンケーキに手を伸ばして、口にして「あんまり甘くなくて素朴な味ですね。でも、とても美味しいです。」というとカンデンが「アスラのサンマナという村で現地人が作ってくれた、ヤマノイモという芋をすりおろして、森の木の実を砕いて混ぜた、焼き菓子が、村にいたころ頃には、何ということのない、旨いものもとも感じなかったのだけど。バサラバートに戻ってきてから、時々、無性に食べたくなってね。見よう見まねで、試してみるのだけど、どうもうまく行かない。」そう言って苦笑いしていた。
その小ぶりに焼いたパンケーキを、コーヒーをお供にベルセラは四枚(そのうち一枚は、カンデンの食べ残しを分けてもらった。)を食べて満腹になり、この日の夕食には、健啖家のベルセラも大いに満足した。
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食事を済ませた後、食器を片づけてから、PE57Qと三人はコーヒーの入ったマグカップを手に、居間に移った。ベルセラも食器を洗うのを手伝った。
水仕事のあとに手を拭くためのタオルは、どこからかPE57Qが持ってきて渡してくれた。手を拭いた後はPE57Qに渡した。
ベルセラがソファーに落ち着いていると、先生が反りのある黒い平たい棒と、褐色の真っ直ぐで、握りが丸い棒を持ってきた。
反りがある方がコッポの修行に使う、黒樫の木剣で、握りが丸くて真っ直ぐな棒は竹という特別な植物の幹を削って、四枚を合わせて皮をまいて、漆という特殊な塗料を塗った「トーウ」というモノだという。両方とも先生が手ずから作ったものだそうだ。トーウというモノは立ち合いの時に使い、樫の木剣は素振り用のものだそうだ。
先生から、当然のことのように樫の木剣で、素振りを一日中やるように言われて、ベルセラは思わず何回振れば良いですかと聞いたら、食事の時間と、用を足す時、以外、一日中と再度、念を押された。
素振りの型については、明日の早朝六時から、食事の前に教えると先生から言われて、どこかお客気分だったベルセラは、いきなり冷水を浴びせられたような気分になった。
先生はベルセラに事も無げにそういうと、居間のテーブルのパイプケースの中からパイプを取り出し、タバコの葉を詰め、パイプ用の細長いオイルライターで火をつけて、パイプを燻らせ始めた。キンタは、もう冷めているはずのコーヒーを楽しんでいるようだった。




