銀河騎士隆盛記 零 天の章 29~30 「本物だーっ。」
「本物だーっ。」
29
小ホールの扉の前に差し掛かった時、ベルセラは鳥肌が立った。左腰の光線剣に思わず手が伸びた。尋常じゃない、強いいジンウの揺らぎを感じたからだ。
扉を開けるとカンデンが、こちらに向け青い光の刃をむき出しにして、光線剣を構えているのが見えた。光線剣の刃を背中に回して、左手の掌をこちらに向けている。
ジンウの揺らぎは、カンデンの身体の中心に集約しているようにベルセラには感じられた。
最初、ベルセラにはカンデンが静止しているように見えたが、カンデンは、密かに緩やかに動いていた。
ベルセラは、カンデンが自分の存在を視界には納めているが、こちらに完全に視線を合わせていないことに気づいた。カンデンの視線は真っ直ぐ前に向けられていた。
ベルセラの鳥肌は収まることがなかった。こんな感覚を感じたのは生まれて初めてだった。ベルセラは心の中で叫んでいた。「本物だあーっ。」
30
ズシンッ。と言う地響きと同時に、バキンッという破裂音がして、それに遅れて衝撃がベルセラの肌に
直に伝わってきた。
カンデンが一連の緩やかな動きの最後に、光線剣を上段に構え、そこから一歩、踏み出すと同時に、光線剣を振り下ろしたのが見えた。恐ろしいことにカンデンが振り下ろした光線剣の軌跡は、光線の連続ではなく帯のように見えた。電撃のような強烈な一撃だった。
これが、ベルセラが心の中で叫んで40分ほど経過した後に起こったことだ。
その間、ベルセラは身動きもせず、カンデンの動きから一瞬も目を反らすことは出来なかった。
カンデンは構えを解いた。すると同時に、カンデンの身体の中心に集約していたジンウ力も消失した。カンデンは光線の刃を納めて光線剣を左の腰に吊るした。
ベルセラはカンデンの足元に素早く走り寄ると、足元で跪いていた。
「カンデン先生。この技(譲り刃)を私に是非、ご教授して下さい。お願いします。」その言葉に対して「この技は君にはまだ早い。基本から鍛えなおさないといけない。」そう言ったカンデンの顔をベルセラは見上げた。
さっきまでの真剣な顔から打って変わって、そこには最初に会った時と同じ、気が弱そうに見えるくらいの温和な表情が浮かんでいた。
「立ちなさい。」カンデンから言われてベルセラは立った。
父親が娘を諭すようにカンデンは言った。
「君に教えるのは、まず基本の型、『イチノタチ』。これは基本の型だが、同時に究極の奥義でもある。相手の剣を弾いて、相手の額を打つ必殺剣だ。この習得に短くて二年。まずはこれを極めなさい。この奥義を習得する為の鍛錬は、今まで君が積み重ねてきた鍛錬の蓄積を、すべて壊してしまうだろう。だが、それを乗り越えれば君は一回り、大きくなる。」




