銀河騎士隆盛記 零 天の章 17~18 近頃の二人
近頃の二人
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この頃、カンデンは光線剣で「譲り刃」の鍛錬を、絶え間なく繰り返している。
ボーア老師の言葉「この技を醸すのじゃ、それしかない。」を胸に、技を突き詰め、本気で「譲り刃」を醸すように、この技の極意を極めるつもりなのだ。
キンタは「ツバクラメ」の技に重きをおいて光線剣の鍛錬を繰り返している。技を切り返す時には、ボーア老師のように光線剣の軌跡が、線の連続ではなく、帯に見えるくらいの凄まじさとなった。
現在の二人の力量は、銀河騎士の中でも頭一つ、抜きんでている。練習の内容と量がまるで違うのだから、当然と言えるだろう。
本来なら、何らかの新しい使命が与えられもおかしくない頃なのだが、なんの音沙汰もない。その裏にはガイゼル老師、一派の思惑が働いているようだ。
10名の長老の前で開かれた試合の後、光線剣による真剣勝負ではないにせよ、騎士団長ドレフィスを破った、カンデンの取り扱いをどうするかで、試合に立ち会っていない23名を含めた、総勢33名のジンウ長老会では、色々な思惑が絡み合い、まっこう意見が分かれることとなった。
ガイゼル老師率いる主流派は、今回の試合は真剣勝負ではないので、正式なものとは認めずに、無視する立場を取り、それに対して末席のズウカイル老師を含めた少数派が、カンデンの技量を認めて、彼をしかるべき地位につけ、長老会、配下の銀河騎士を、彼の元へ派遣して、カンデンの指導を受けさせるべきだと進言したのだった。
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長老会は紛糾したが、結論を出さないままという訳にはゆかず、ドレフィスとの試合から一月後に、一応の結論を出した。
カンデンに銀河辺境方面の騎士隊、隊長補佐という名前だけの役職を与え、彼の元へ、長老会の中で一番、末席のズウカイル老師の弟子の中から、一名の銀河騎士を遣わすということが決まったのだ。
ズウカイル老師がカンデンの元に遣わせたのは、ベルセラという名の騎士で、ベルセラは騎士になって間もない、若い女性騎士だった。
ジンウ長老会は正式にカンデンを銀河辺境方面騎士隊、隊長補佐に任命した。その上で、ベルセラをカンデン配下の騎士として配属し、ベルセラは、銀河辺境方面、騎士隊付き、星間航行選船「ブルーノーズ号」の士官として、カンデンの元で任務に就くことになった。
ズウカイル老師は表面的には、ガイゼル老師率いる長老会の、主流派の意向を汲み、実績のない若い女性騎士を選び、今回の決定を有名無実なものとする風を、装っては見せていたが、ズウカイル老師の真意はそこには無かった。
試合の一月後に、長老会の決定を、いきなり知らされたカンデンは、自分の配下に士官として、騎士が派遣されることを聞かされて、ただ、驚いたというのが、正直な感想だった。




