銀河騎士隆盛記 零 地の章 11~12 オオヤシキの中
オオヤシキの中
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カンデン一行はオオヤシキ(この大きな建物のことらしい。)の中に招かれた。入口を潜り、土の階段を三段ほど降りると、土の土間がずっと広がっている。等間隔で太い木の柱が土間に埋まっており、それが茅葺の屋根を支えている。
それぞれ柱の目の高さ、くらいのところに平たい木の板がはめ込まれており、そこに土器の油壺がおかれていて、植物の繊維をねじって作った芯の先に、火がついていて、この土器の、燭壺のいくつかが、土間の中をぼんやりと照らしている。
ヤシキの横端から横端の中間に、石でかこわれた簡単な炉があり、それが等間隔で縦方向に複数ならんでいるようだ。夜になるとこの炉で火を焚き、煮炊きしたり、暖をとったりしているようだ。
土間の各所には、熊の毛皮の敷物が、等間隔に各所に敷かれていて、ところどころで、そこに座ったり、中には横になっているものもいる。
12
中央の炉の周りに、灰色の毛皮の敷物が炉を囲むように、円形に均等な間隔で並べてあって、族長のダイは、そこに座るようにカンデン一行を促した。
カンデン一行が灰色狼の毛皮の座につくと、族長のダイが傍らに控えていた、白い合わせの着衣の娘たちに何事かを告げると、娘たちは、大きな瓢箪と、土器に漆を塗った椀をいくつか手分けして、捧げもち、カンデンたちの前に椀をおいて、大きな瓢箪から、赤紫の液体を注いだ。果物を発酵させた酒であることは匂いから想像できた。
ラケアの椀だけは娘の一人が別の瓢箪から透明な水を注いでいた。酒を薄めるためだろう。アルコールが少年の身体によくないことは、ここの人々も経験的に知っているようだ。
「家族の契りにカンパイいたしましょう。」ダイはそう言うと土器の椀を両手で捧げてもち上に突き上げた、カンデン一行にコムロが、「族長と同じように椀を両手で突き上げて下さい。」と促す。
カンデンたちはそれに従って椀を突き上げると、コムロが、「一口、ビシュー(酒のことらしい)を飲んでください。」というので、カンデンはPE57Qに飲む恰好をするように告げ、YWC2に椀の中身の成分を分析するように告げた。
族長に続いて、カンデン一行は酒を一口飲んだ、もっともPE57Qには口に当たる発声器の周りに酒をこぼしただけだったし、YWC2は試料採取口を開いて、マニュピュレーターを露出させて椀の酒を一定量、採取しただけだったが、キンタだけは一口、酒を飲んで「旨い。」と思わずつぶやいていた。甘酸っぱくて甘みの強い酒だった。キイチゴの風味がした。




