銀河騎士隆盛記 零 地の章(続コッポ修行編)7~9 試合
試合
7
コムロは青眼の構えのまま、静かに間合いを詰めてゆき、それに対してキンタは緩やかに上段に構えてしまってからは、微動だにしなかった。それは、ツバクラメを放つ戦略のキンタにとっては当然の定石であった。
コムロがキンタの間合いに入った刹那、キンタは上段からトーウを打ち込んだ。
その切っ先を、ト―ウを身体の前でまっすぐ立てて、寸での際の見切りでコムロはかわし、その時、キンタは右足を半歩、踏み込んだ。その刹那、コムロは右足を後ろに引いて、体を斜めにしていた。天才の感がなせた動きだ。
切り返されたキンタのトーウの切っ先は風切り音を発しながら、コムロの頬を掠め、次の刹那、キンタはトーウを切り返し、袈裟気味にコムロの肩を打ち、コムロはまっすぐ立てたトーウを、キンタの額に打ち込んだ。同態だった。
カンデンにはそう見えた。しかし恐るべきことに、コムロのトーウはキンタの額の寸前で、寸止めにになって止まっていたのである。
8
「そこまで。」とカンデンが声をかけたとき、コムロとキンタは息を止めていた。
二人は止めていた息をフーと吹くと、構えを解き、そして同時に「私の負けです。」との言葉が、二人の口から出た。
コムロは自分が切り込んでも、振りかぶりが足らず、額を深く傷つけることは出来なかったと言い、キンタは袈裟に切り込むことが出来ても、その時には、額を割られて自分は死んでいたと言った。
剣士としての格としていえば、額への攻撃を寸止めしたコムロの方が一枚、上手だが、この試合は同態とみるのが正統だろう。立会人としてカンデンは「この試合は、二人の同態。引き分けとする。」と宣言した。
コムロは「それにしても今の切り返しの技は、恐ろしい技ですな。キンタ殿、今の技はなんという技ですか?」と聞いた。それにたいしてキンタは「ツバクラメという技です。大先生がつけてくれた名前です。」と答えた。
「なるほど。」と言ったコムロは、神妙な顔をして、なにかを考え込んでいるようだった。
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この時、この天才は、ツバクラメとカゲノタチを組み合わせた新しい技を、考えていたのだった。その技については別の機会に語ることにする。
春先になってカンデンとキンタにとって、慌ただしい日々が過ぎたが、実りの多い日々でもあった。
この後、起こったことは、語り部をPE57Qに替えて、PE57Qに語ってもらうことにする。




