銀河騎士隆盛記 零 地の章(続コッポ修行編)5~6 キンタの貫禄
キンタの貫禄
5
立ち合いの約束の刻限よりも少し前に、カンデンとキンタは、キンタが何時も素振りをしている林の奥の、拓けた平地に来ていた。
この日は冬にしては珍しく、澄み切った晴天で、そのせいもあってか、冬の寒さも和らぎ、少し溶け始めた雪のため、足元は少し濡れていた。
林の蔭からコムロが姿を表した瞬間から、カンデンとコムロは目を見張った。
物静かだが、隙が無く、品と貫禄がある。歩き方一つをとっても、違うのだ。
身の丈1.7メルト(1メルトは1メートル相当)ほどの身体に、合わせの麻の着衣の袖を邪魔にならないように、革ひもを、背中で交互に、襷掛けにして右わきで、結んでいる。
額には幅広の柿渋色の紐を鉢巻きに、結び、真っ黒な髪は束ねて、後ろで結んでいる。そして片腕のにトーウを下げている、その姿が、凄味があるだけでなく、本当に格好良いのだ。
コムロはこちらに目をむけると「少し遅れましたな、失礼しました。」と言い、頭を垂れた。二人も一礼して頭を垂れた。
余談だがカンデンとキンタは、いつも夕餉の後に、一時間程度、PE57Qを相手に、この東の民の言葉を覚えるための、会話の練習をしていて、もうそれが二年近くも続いているため、サンマナの人々との、日常の会話には事欠かないほどになっていた。二人は当然ながら、コムロの言葉の意味を理解していた。
6
時はヒノ恒星が天空にくる時刻になった。
天を仰いだカンデンはそれを見て離れて立っている、コムロとキンタを両手で、促しながら「立ち合いを始めましょう。」と二人に声をかけた。
二人が、竹の渋色のトーウを青眼に構えたのと同時に、「始め。」と声をかけた。
コムロは青眼の構えから、微かに、すり足でキンタとの間合いを詰めてゆく。それは巌に滴る水の流れのようになめらかな動きだった。
それに対して、キンタは緩やかに青眼の構えから、トーウを八双へ、そして、上段の構えと移してゆく。
コムロの動きが見事なのは確かなのだが、むしろカンデンの目を引いたのが、キンタの動きであった。
「キンタめ、いつのまにこのような貫禄と、見事な動きを身につけたのだ。」カンデンは内心で唸った。
アスラの自然の中での、二年の修行が、この直情的で、短慮なところのある若者を、いつのまにか、一門の剣士へと変貌さしめた。そのことがカンデンにとっては、目頭を熱くさせるほど嬉しかった。




