銀河騎士隆盛記 零 地の章(コッポ修行編)22~23 ボーア老師の言葉
ボーア老師の言葉
22
ボーア老師は珍しく饒舌にしゃべり始めた。
「我が弟子の中で、この公題に見事に答えたものは二人しかいない。カンデンお前と、コムロの二人だけじゃ。コムロは天賦の才、天が授けた才能を如何なく発揮する天才とするなら、カンデンお前は、突き詰めては悟る、悟りのカンデンといった処じゃ。」
そう言うとボーアは相好を崩して「カンデンお前とは不思議な縁じゃった。星の世界を超えて、出会ったお前じゃが、ワシは、お前のようにあっぱれな弟子を持てて、嬉しいぞ。」
と言った。
そして今度はキンタのことにも触れた。「お前の弟子じゃが、武骨があり、その分、伸びしろがある。この先がワシも楽しみじゃ。」その老師の言葉は、自身を褒められるよりカンデンにとっては嬉しかった。
この時、カンデンは、キンタがこの後で、この武骨な孤高の老師を狂喜させるとは、思いもしなかった。
23
ボーアから公題を授けられる前までは、カンデンは自分では気づかなかったが、いつも、どこかに憂いを抱えた者が持つ、影を抱いていて、行動にも考え方にも、どこか張り詰めた堅さがあったが、公題を授けられた後になると、その堅さも消え、柔和でありながら、飄飄とした佇まいを見せるように変わった。
以前の彼なら、キンタに対して、的確な口訣を与え、イチノタチの奥義を、如何に効率よく伝えるかを考えていただろう。
しかし今のカンデンはそういうことよりも、キンタの精神の成長のことも思って、自身で学び取ることの大切さを、より深く、知らしめたほうが良いとの思いに至たった。考えることよりも、感じること、思うことの大切さを知ったのだ。
キンタには自身と同じように、天啓が降りてくるようにするには、どうすれば良いのかに思いを馳せた。やはり、そのためには感受性を高め、想像する力を養うことに尽きる。
自然のなかの季節の移ろいや、その空気、そのリズムを感じ取って欲しかった。カンデンのキンタへのアドバイスもそれにつれて変化した。




