銀河騎士隆盛記 零 地の章(コッポ修行編)9~10 イチノタチ
イチノタチ
9
その頃から、ボーアは時折、タケのトーウを手に、カンデン一行が、仮り住まいをしている、古い竪穴式住居を訪れては、二人に立ち会いを命じるようになった。だが時にそれは、寸止めの、真刀による立ち合いになった。カンデンもキンタも、真刀による立ち合いの時は命を削る心地だった。
二人が上段にトーウを構えてて間合いを詰めると、必ず、喉元にトーウの寸止めの突きがきて、身動きができなくなくなり。
青眼の構えから、トーウを上段に振りかぶり、打ち込むと不思議なことに、二人のトーウは必ず、師のトーウにはじかれて、まっすぐ頭に打ち込みが来る。二人が青眼に構えて間合いを詰めると必ず、手首に打ち込みがきて、トーウを弾き落とされる。
延々とこの繰り返しだった。真刀では、額の打ち込みが寸でで止まり、手首の打ち込みが寸止めで止まるというくらいの変化で、結果は同じだった。
キンタは竹のトーウの立ち会いの時、ボーア師に、真横からトーウで切り込んだり、文字どうりに大袈裟に、打ち込みの攻撃を挑んだりしてみたが、寸止めの突きを食らうか、手首の打ち込みで、トーウを弾き落とされるかのどちらかだった。
まだ若いキンタには、コッポの真価が理解できず、立ち会いをして負けても、それを素直に認めらず、悔しい思いをするのだが、どうして勝つことが出来ないのか、まるで分からなかった。
10
二人が修行を始めて、秋が過ぎて、二度目の冬が近づいた頃、師のボーアに立ち会いを、挑まれた時、カンデンが青眼の構えから、上段にトーウを振りかざし、まっすぐ降り下ろすと、師のトーウが弾けてボーアの頭をポンと打った。カンデンはどうして、自分のトーウが師の頭を打つことが出来たのか、さっぱり分からなかった。
ただ無心で、師の動きに、自然に身体が反応したという感じがしただけだった。
するとボーアは「今のをもう一度やってみよ。」と言い、カンデンは、もう一度、同じ構えから、師に打ち込むと、今度は師のトーウがカンデンのトーウを弾いてカンデンの頭を打った。
すると、ボーアは「自然に出来たことは、必ず、もう一度、出来る。最高の技とは、そのように体得するものじゃ。今のがイチノタチじゃ。」と言い、いつも無表情な、師の顔には会心の笑みが浮かんでいた。
ボーアは「自然に出た自分の技を、自分で思い浮かべながら、限りなく繰り返してみ よ。」と言い残し、カンデンの元を離れた。




