銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+湯治編)78~79 フツの料理
フツの料理
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カンデンもキンタも温泉に浸かっては、温泉の外で風にあたることを繰り返しているうちに、身体は完全に温まり、しばらくの時間、外の寒さに身体を晒しても大丈夫になっていた。
ボーア老師は、何度か、温泉に浸かりながら、2時間くらいの間に、タチを八双に構えたコムロの身体の正面から、背中側の上半身のすべての部分の皮膚を掠めて、タチを振り下ろして見せた。
そしてカンデンに「次はカンデンじゃ。昼餉を済ませてから、『見切り』の続きをやることにしよう。」と言い渡して、着物を着て、沓を履いて、タチを携えてヤシキに向かったので、カンデンとキンタも服を着て、革のブーツを履いて、その後に続いた。
ヤシキに戻ろうとすると、ヤシキの中から旨そうな良い匂いが漂ってきた。
フツは平たい石を竈に据えて、熾火の上で厚く切った、鹿肉の腿の燻製をあぶっていて、それから垂れた油が、熾火に垂れていて、香ばしい匂いをたてていた。熾火の周りには、タイモが生けてあり、それが良い具合に焼けているようだった。
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ボーアー老師たちが戻ったところで、竈の周りに置いた灰色狼の毛皮を敷いた座に、皆が座ると、フツは皮がついたままのタイモを、椀に三個くらい盛って、塩を添えて、皆に配った。そしてタイモの皮を少し剥いて、塩をつけて、こんな風に食べるのよと、言うように、皆の前で食べて見せた。
フツは焼きあがった、大き目に切った鹿肉の腿の塊を、平椀に乗せて、きれいな切り出しナイフをそえて、皆の座の前に置いた。好きな量だけ切って、食べろということらしい。
そこまで昼餉の準備をしたところで、フツは皆に「お食べよ。」と声をかけた。
カンデンは熾火で焼いたタイモが特に気に入った、ねっとりした歯触りで、滋味があって、少し皮を剝いては、塩を少しつけて齧ると、控えめな甘みを感じた。
もちろん脂が乗った、塩味が適度に利いた鹿の腿肉の切り身も旨かったが、タイモの意外な旨さに、皆がお代わりをしたので、フツは追加のタイモを熾火に生けていた。
瓢箪から清水を飲みながら、皆が黙々と食事をしていると、フツが「男衆は張り合いがないね。そんなにあたしの作るメシは不味いかい。」と皮肉めかしていうと、ボーア老師が「焼いたタイモがあまりに旨いので、夢中で食べていただけじゃ。」と言い、それに続いてカンデンもキンタも「イモが旨いです。」と口ぐち言うと、フツは「そう来なくっちゃ、張り合いがないよ。」と苦笑いを顔に浮かべた。
「女はね。旨いのなら、旨いと、ちゃんと口に出して言ってくれないと、分からないんだからね。」と皆に釘を刺した。
鹿肉はたくさん残っていたが、フツは「こっちは夜の酒の当てにするわね。」と言って、火からおろして、冷めた鹿肉を別の平椀によけていた。
フツは「昼はがっつり肉を食べたから、夜は魚にするかね。」と一人ごとを言いながら、皆が椀に残したタイモの皮をひとまとめにすると、熾火にくべた。




