銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+湯治編)76~77 見切り
見切り
76
20分も温泉に浸かっていると、カンデンとキンタはのぼせそうになった。慌てて温泉から出ようとするとボーア老師は「もう少し我慢した方が良いのじゃがな。まあ、熱い湯に慣れていないのじゃから仕方あるまい。」と言い、悠々と温泉に浸かりつづけた。コムロもお湯に慣れているのか、老師と肩を並べて、湯に浸かっている。
カンデンとキンタは身体の前を隠して、岩場に腰かけて身体を冷やした。しかし、外に出て、五分も吹きぱなっしの冬の風に当たっていると、身体は寒さでちじこまり、寒さに震えあがった、カンデンもキンタも慌てて温泉の湯に戻った。
カンデンとキンタが再び、温泉に浸かり、身体に暖かさが、戻ったころにようやくボーア老師とコムロは温泉を出て、岩場に腰かけて、冬の風に当たっていた。二人は30分以上、温泉に浸かっていたことになる。
そんな感じで、もう一度、温泉につかったカンデンとキンタが三度、温泉に使ったり、出たりを繰り返しでいる間、ボーアー老師とコムロは二度目のお湯に浸かり、30分ほど経ったころ「そろそろ良いかな。」とボーア老師が声をかけるとコムロは「はい、先生、出ましょうか。」と答えた。
二人は冬用の靴を履いて、合わせの着物を羽織り、麻の帯を腰に回して、着物を着ると、肩を剥き出して、着物を開けて上半身だけ裸になると、二人は各々、枯れ木の上のタチを手に取り、鞘からタチの刀身を抜き出した。
ボーア老師は、まだ湯につかっているカンデンとキンタに「そのままで、見ておれ。」と声を掛けた。
77
コムロは、老師の前で老師に対峙すると、八双の構えで右肩の上でタチを立てた。するとボーア老師は手にしたタチを上段に振りかぶり、素早く振り下ろした。
カンデンとキンタは「おお。」と声を上げてしまった。ボーア老師がコムロを本気で切ろうとしているように見えたからだ。
ボーア老師のタチの切っ先は、八双に構えたコムロの左腕を、ギリギリのところで掠めて、振り下ろされた。
カンデンはピンと来た。内心で「ははーん、これが、『見切り』ということなのか。」とつぶやくと、直ぐに、老師は、タチを振り上げると、また、コムロの右腕を掠めて抜き身のタチを振り下ろした。
老師は立つ位置を微妙に変えながら、タチの切っ先で、右腕から肩にかけてのコムロの身体をタチの切っ先で掠めていった。それを20分ほど、繰り返した後「そろそろ身体が冷えてきたかな。」とコムロに声をかけた。
「そうですな。先生は如何ですか。タチを振るって疲れたのではありませんか?」と老師に問い返すと「そうじゃな、汗をかいて、だいぶ冷えてきたわい。そろそろ湯に戻るとするか。」と答えると、二人ともタチを鞘に納めて、積み上げた枯れ木の上にタチを置いて、、腰の帯を解いて、着物と沓を脱ぎ始めた。




