銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+湯治編)72~73 主導権を握るフツ
主導権を握るフツ
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二日後の晴天の朝、朝餉を終えたカンデンとキンタのヤシキ(竪穴式住居)にコムロとコムロのヨナ(嫁)のフツが背負子を一つ背負って、手でもう一つの背負子を抱えて、やってきた。
ボーア老師も一緒で、老師も背負子を背負っている。コムロもボーア老師もタチを背負子の右側に革ひもで結び付けている。その反対側に果実酒と清水の入った大きな瓢箪を、其々、一つづつ、結び付けている。
カンデンもキンタもコムロのヨナ(嫁)の顔くらいは見知っているが、軽く挨拶を交わしたことがあるくらいで、二人とも話をしたことは無かった。
そのフツが言うには、背負子には、沢山の魚の干物と、塊の鹿肉と猪肉の燻製と、カモの燻製と、他にタイモを多めに載せてあると言う。汁物は土器を持ってゆくわけには行かないので、湯治の間の食べ物は焼き物を、主にするという話だ。
他に火をおこすためのユミギリ(竹の弓に紐を渡した火起しの道具。)とヒミゾ(火起しの跡のついた乾いた木の板。火起しの道具。)とヒギリ(木のコマが付いた木の棒。火起しの道具。)を積んでいるという事だった。
カンデンとキンタが受け持ったのは薪を沢山乗せた背負子だった。カンデンはタチを背負子に結び付けた。
なにかフツが先にたって、ほかのみんなが突き従っているという、感じだった。
73
ボーア老師を先頭に、一行は出発した。それを進言したのはフツだった。ボーア老師もフツの言うことに、文句を言わずに突き従っていた。カネノカタには念のために医療キットの入ったバッグを背負って、持って行ってもらうことにした。
一行はサンマナの周りの木を切った後の平原を超えて、ブナの森に差し掛かり、森の中に自然にできた道を辿ると、山の麓に出た。
それから、しばらく進むと、林の中に開けた広場があり、そこの麓側には岩場があって、そこに湯気の立つ温泉が広がっている。そのそばに少し大きめの古いヤシキが建っているのが見えた。それが湯治用のヤシキのようだ。
一行は先ず荷物をヤシキに運び込むことにした。
フツが、ヤシキの竈に薪を組んで、ヒギリを使って火を起こす用意をしているのを見たカンデンは、ポケットに入れておいたオイルライターを取り出すのは止めにした。
フツは慣れた手つきで、ヒギリにユミギリの紐を一巻き巻きつけると、ヒミゾにヒギリの先端に当て、枯れ葉を載せて、器用にヒギリのキリの後端をキリコ(ヒギリのキリを押さえつける為の、丸い木の道具。)に押し当てて、ユミギリを押し引きし、ほんの七~八秒で、火を起こして、その火で、薪に火を付けた。




