銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2編)60~61 愛があふれていた
愛があふれていた
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YWC2はラワンの傷口を糸で縫って、手術を終えた。手術に要した時間は20分ほどだった。ワランは手術の間、豪胆な彼らしく、痛いとも言わず、一度も泣かなかった。
手術を終えたワランの熱はすぐに下がり、彼はすぐに元気になって、その日はオオヤシキに、付き添っていた母親と一緒に、一晩、泊まったが、次の日の朝には母親と自分のヤシキに、自分で歩いて帰った。
PE57Qはラワンの母親に、二日は絶食して、一週間のあいだは、アワか、栗を完全に潰した、柔らかい粥と、水以外は与えないようにと指示して、大きなおならが出たら、完全に治ったということだと伝えると、母親は安心したように、やっと笑顔を浮かべた。
手術から半月ほどが過ぎて、ラワンが抜糸を終えて、包帯がとれて、完全に全快したのを聞いた、ダイとサンマナの人々は、よほど嬉しかったのだろう、オオヤシキでラワンの全快を祝うためのウター(宴会)を開くことが決まって、PE57QとYWC2はもちろん、カンデンとキンタ、ボーア老師も招かれた。
みんなはラワンを前に、手術の間、一度も泣かなかった、彼の豪胆ぶりを口々に褒めたが彼は、そんなことより、ウター(宴会)のごちそうの、カモの蒸し焼きに夢中だった。
カネノカタ(PE57Q)とアシナシ様(YWC2)は、みんなから拝まれっぱなしだった。
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カンデンは、竹串に差した、川鱒の塩焼きを齧り、甘い果実酒を飲みながら、しみじみと思った。このサンマナの人々が抱いてる仲間を思う気持ち、共同体意識の強さと、その暖かさの素晴らしさを。
思い返してみるとカンデンは銀河騎士の同輩にも、このような暖かな感情を抱いたことはない。
孤児の彼は、家族の温もりを知らずに成長したが、サンマナにきて、一生を託すことのできる師と出会い、沢山の仲間に囲まれたことを、心から幸せだと感じていた。
素朴だが、自然の旨い恵みを味わい、サンマナの美しい自然の中で、好きな剣の修行に没頭できる、今の暮らしの方が、バサラバートでの生活よりも、どれほど豊かだろうか。この未開の惑星の生活の方が文化的に遅れているなどとは、とても言えないと思った。
となりのキンタは「旨い、旨い。」と鴨肉のおいしさに感嘆しながら、果実酒を飲んで強かに酔っていた。そのとなりのコムロも上機嫌で、二人で肩を組んで意気投合している。
このマグーの宴には、溢れるばかりの皆の快活な笑顔が満ちていた。男衆も女衆も、子供たちも、みんなが笑っていた。そこには愛があふれていた。




