銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2編)58~59 ワランの虫垂炎
ワランの虫垂炎
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楽しく実のあるタチ談義だったが、コムロもカンデンとキンタも普段の生活に戻っていった。
PE57QとYWC2はまたオオヤシキに通い始めた。砂鉄を使った色々な刃物の精製もある程度の数が、サンマナの人々にゆき渡ったので、頼まれることも少なくなっていて暇になっていた。
そんな矢先、青い顔をした族長のダイがPE57Qの元へやってきて、豪胆で我慢強いワランが、腹が痛いと言い出したと思ったら、高熱をだして寝込んだという。
医療知識のないPE57Qにも、それが虫垂炎であることは容易に想像がついた。そこでワランの一家が住
んでいるオオヤシキの側のヤシキに、YWC2と出向いていみると、熊の敷物の上で青い顔をしたワランが、ウンウン唸っていた。
YWC2が電磁共鳴映像で特定したところ、まさしく虫垂が腫れて炎症を起こしていた。
とりあえず鎮痛剤と消炎剤を、浸透圧注射器で注射して、いそいで盲腸の手術しなくてはならなくなった。
ダイの話では、毎年、何人かの子供がワランと同じような症状を起こして、苦しんで亡くなることが続いていたということで、サンマナの人々にとって、それは、耐え難い大変な不幸な出来事だった。
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PE57Qがワランの虫垂炎は簡単な手術で治りますとダイに告げると「カネノカタ。本当ですか、本当に治るのですか?」と何度も念をおすように聞くので、PE57Qが「大丈夫です。ワランは手術を受ければ、すぐによくなりますよ。」というと、今度はダイが感極まって涙を流しながら、PE57Qの手を取って「カネノカタ、アシナシ様、ありがとうございます。」と繰り返してお礼を言った。
PE57Qは、またカンデンとキンタに手術の手伝いを頼んだ。
次の日の朝から、カンデンとキンタと三人で、オヤシキに設置したままの医療テントの中とYWC2の本体をオゾン発生器で殺菌して、オオヤシキに運んできたワランの身体に、噴霧器で生理食塩水を噴霧して滅菌して、手術の準備を済ませた。漆を塗った土器に保存しておいた生理食塩水は、まだ劣化していなかった。
YWC2は、PE57Qに、ワランに横向きに寝て膝をかかえこむように、医療テントの外から、声をかけて、指示をさせて、外部マニュピレーターで、針の長い脊椎注射器を固定し、脊椎麻酔をおこなった。
麻酔が効いてきたのを確かめたWYC2は、胸部の四本のマニュピレーターを伸ばして、レーザーで腹部を切開し、虫垂の位置を探って、残りの三本のマニュピレータを使って虫垂に伸びている栄養血管を糸で縛り、止血して、レーザーで切除した。
YWC2が、赤黒く一部が紫色に変色した虫垂を、ワランの腹から取り出したとき、医療テントを取り囲んでいたワランの家族と、ダイと、その他の一同からはオーっと声が上がった。




